・保守派のサラ前典礼秘跡長官、次期教皇選出宣言の”栄誉”ある役割外れる(LaCroix)

The retired Guinean cardinal had been the senior cardinal deacon, but Pope Francis hasreligion/cardinal-sarah-no-longer-in-line-to-announce-the-next-pope
M.MIGLIORATO/CPP/CIRIC

(2021.5.3 LaCroix Xavier Le Normand | Vatican City)

 教皇選挙(コンクラーベ)の最後に常に発せられるのがこの言葉だー「Annuntio vobis gaudium magnum:habemus papam(私は皆さんに大きな喜びを告げます。教皇が選ばれました)!」

 バチカンの聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーから発せられる言葉で、サンピエトロ広場に集まった人々、そして世界中の人々に、枢機卿たちが選んだばかりの「ローマ司教」そして「世界の教会の筆頭司牧者」を宣言するのだ。

 そしてこの宣言の役割を担う者には、三段階の枢機卿の位階の中で一番下の助祭枢機卿のうち、最も長くそのポストを務めている人が選ばれ、枢機卿に選ばれた日が同じ者が複数存在する場合、教皇が選任を先に発表した者が選ばれることになっており、2013年に教皇フランシスコを選出した際、この宣言の役割を担ったのは、フランス出身の故ジャン=ルイ・トーラン枢機卿だった。

 現時点で、最も在任期間が長い助祭枢機卿は、現在では廃止されている「正義と平和協議会」の議長を務めていたレナート・マルチーノ師だが、2012年に80歳になった段階で教皇選挙権を失っており、教皇選出を宣言する資格はなくなっている。従って、その役割を担う可能性がある80歳未満の助祭枢機卿の”筆頭候補”は、先日、典礼秘跡長官を退任したロバート・サラ師、ということになるはずだった。

 だが、そうではなくなった。教皇が今週、サラ師を、他の7人の助祭枢機卿ととともに、「司祭枢機卿」に格上げする人事を発表したためだ。そして、新教皇選出を宣言する役割を持つ80歳未満の助祭枢機卿は、現時点では、バチカン市国長官のジュゼッペ・ベルテッロ師が該当することになったものの、ベルテッロ師は来年11月に80歳の誕生日を迎える。それ以降に教皇選挙が行われるなら、その役割は、奉献・使徒生活会省長官のジョアン・ブラス・ジ・アビス師にお鉢が回ってくつことになる、と考えられる。

 もっとも、教皇選出を宣言するだけが助祭枢機卿の役割ではない。教皇選挙が結論を出せず、続けられる際には、他の重要な役割を務めることが求められる可能性がある。

  ヨハネ・パウロ二世の使徒憲章「UNIVERSI DOMINICI GREGIS(使徒座空位と教皇選挙に関して)の定めでは、「3日続いても教皇が選挙されず選挙が難航する場合は、祈ったり、選挙者同士の間での意見交換、助祭枢機卿による講話を聞くために1日選挙を休む。その後同じ方法で選挙をし、7回投票しても結果をみない場合、祈り、意見交換、講話のためにもう1度休みを取る。投票を再開し、7回投票しても教皇が選出されない場合は、同じように休みをとる。そして投票を開始し、また7回繰り返す」(74条)とされている。

 要するに、このように事態になった際には、助祭枢機卿に、選挙の休止期間の講話を担当する役割が与えられるのだ。現時点では、ベルテッロ師がその役割を果たす可能性もある。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年5月5日