・バチカンのズッピ・ウクライナ和平代表、中国外務省のユーラシア事務特別代表と会談-”対話促進”で合意?

Cardinal Matteo Zuppi leads a prayer for peace in BerlinCardinal Matteo Zuppi leads a prayer for peace in Berlin 

(2023.9.15 カトリック・あい)

    教皇フランシスコからウクライナ和平に向けた関係国との交渉を委ねられているマテオ・ズッピ枢機卿が13日から中国入りし、中国外務省でウクライナ問題を担当する李輝ユーラシア事務特別代表と協議、和平実現のための対話促進に両者が協力する必要を訴えた。

 現地時間14日午後、バチカン報道局が発表した声明によると、両者の会談は「オープンで心のこもった雰囲気の中で進められた」とし、「ウクライナ戦争とその悲劇的な状況について意見を交換し、対話を促進し、和平につながる道を見つけるための努力を重ねる必要性が強調された」と説明。

 また、世界の食糧生産国であるウクライナへのロシアの軍事侵攻によって、世界の食糧安全保障が危機にされていることについても、「特に最も危険にさらされている国々への穀物の輸出が速やかに保証されることを期待する」という形で両者が言及した、としている。

 ズッピ枢機卿は、ウクライナ和平への教皇の強い思いを受けて、6月上旬のウクライナを皮切りに、同月下旬にロシア、さらに7月中旬に米国を訪問し、各国政府や教会の担当責任者と会談、和平への協力を要請してきた。

 バチカン報道局は、今回の枢機卿の中国訪問に当たって、「人道的取り組みを継続し、公正な和平ににつながる道を追求するという教皇が果たそうとする使命の新たな一歩」としていた。

 李輝ユーラシア事務特別代表は、前職が駐露大使で、それ以前も旧ソ連時代の中国大使館勤務を長く続けて来た”ロシア通”。 5月にもモスクワを訪問し、ラブロフ外相や、独立国家共同体(CIS)を担当するガルージン外務次官と会談している。ただし、外相や次官よりも格下で、外交政策の実権を握る共産党におけるランクは高くないと見られる。しかも、中国では7月に秦剛外相が就任から半年余りで解任され、後任に前外相で外交を統括する王毅・中国共産党政治局委員が復帰したばかり、という状態で、今回の会談の結果が、中国のウクライナ和平への取り組みにどれほどの影響を与えるのか判然としない。

 

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2023年9月15日