・シノドス最終週②「Synodality”(協働性)」と「性的虐待再発防止」が主題に

(2018.10.25 VaticanNews Russell Pollitt, SJ)

 「若者シノドス」は大詰めに近づき、25日の定例記者会見では、出席者から、教会を前進させるための方策としての「Synodality(協働性)」と「教会における性的虐待スキャンダル」が主なテーマとして取り上げられた。

Synodality(協働性)が発揮されたことを高く評価

 最初に発言したペルーのヘクトル・ミゲル・カブレヨス・ビダルテ大司教は、今回のシノドスについて、「素晴らしい協力がなされ、synodalityについての教会の理解が進みました」と評価。「synodalityがシノドスのキーワードとなり、聖霊の真の賜物となった」としたうえで、「教会はこの賜物をもとに働き、成長させねばなりません。司教たちに対して、教会における協力体制をさらに強くしていくことが求められているのです」と強調した。

 ケープ・ベルデのアーリンド・ゴメス・フルタド枢機卿は「今回のシノドスで印象に残った経験は、霊的交わりです」とし、「これを模範として、自分の教区でも活用していきたい」と述べた。また今回のシノドスの進め方は「参加者が喜びと霊的交わりの中で議論を進めるのに役立ち、これこそ、教会が追い求めるべき前進の方法だ」と高く評価した。

 一般信徒の代表としてブラジルから参加したルカス・バルボザ・ガラルド氏は「今回のシノドスはとても自由な雰囲気で喜びに満ちていました。若者たちの声も聴いてもらうことができました」と語り、「シノドスが閉幕した後も、このような取り組みが続くことを確信しています」と述べた。

*聖職者による性的虐待スキャンダルへの対応は-イタリア司教団は11月に会議開く 

 この記者会見の発言者たちがそろって、口にしたのは、聖職者による弱者に対する性的虐待に関してだった。

 ガラルド氏は「被害者やその同僚たちが証言した内容はとても酷いものでした。若者として、とても辛い」としたうえで、「このような教会は、私が知っている教会、私が子供の時に、信じることを経験した教会ではない、今回のシノドスで経験した『共に旅する』教会でもありません」と語り、「友人たちは、性的虐待が世界中の教会で起きているように言いますが、今のような状況の中で教会を弁護するのは難しい。虐待をする教会はイエス・キリストの教会ではない、別ものです」と訴えた。

 ビダルテ大司教は「ひどく損なわれたのは、子供たちの身体だけでなく、心もです。本当に辛い」と心中を告白し、「このようなことはすべての教会でなく、一部の教会でなされた、と考えるといいでしょう」とする一方で、「教会は生まれ変わって、現在の状況から抜け出す必要があります」と述べた。

 フルタド枢機卿は「これは教会にとって大変なスキャンダルですが、社会全体の問題でもあります」とし、この問題を根絶するために、教会と社会が協力し合わねばならない、と訴えた。さらに、この問題は我々にとって受け入れがたいものだが、この問題を除去するように、社会を助ける必要がある、と語った。

 また、イタリアのガルテロ・バセッティ枢機卿は「性的虐待はキリストの体全体を傷つけました。起きた事ゆえに、教会全体が苦しんでいます」と語り、「教会は、捜査当局、司法当局と協力することも含めて、この責任を取る必要があります」と言明。

「再発防止が最重要の課題であり、各神学校は、司祭、修道者を志願する者に対して、人間科学のあらゆる手段を使って、犠牲者を生まないようにする必要がある。起きてしまったことを報告するだけでは駄目です。予防のためにあらゆる可能な手段をとらねばなりません」と訴え、そうしたことのために、イタリアの司教団が11月にまる一日にかけて、議論を深めることを決めた、と今後の取り組みにも言及した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2018年10月26日