・「教皇は『降伏する形で停戦交渉をせよ』などとは言っておられない」-バチカン報道局長がウクライナ戦争で

(2024.3.10 Vatican News  Salvatore Cernuzio)

 教皇フランシスコがスイスの公共放送のインタビューに答えた中で、クライナに対し「白旗」を掲げて、降伏する形でロシアとの停戦交渉をするよう呼びかけたと、日本はじめ世界のマスコミの一部に誤解して伝えられている。これに対して、バチカンのマッテオ・ブルーニ報道局長が10日午後会見し、インタビューをした人が「白旗」という言葉を使って質問をしたのに答えただけで、教皇は「和平交渉は、決して『降伏』ではない」と明確に語っておられる、と強調した。

 報道局長によると、このインタビューでは、質問者が「ウクライナでは、降伏の勇気と白旗の勇気を求める人もいる。 しかし、これによってより強い政党が正当化されるだろうと言う人もいる。 どう思いますか?」と尋ねた。

 これに対して、教皇は、「それは一つの解釈です。 しかし、私は、状況を見て、国民のことを考え、”白旗の勇気”を持って交渉する人が強いと信じています。 そして今日では、国際勢力の助けを得て交渉が可能となっている。 『交渉』という言葉は勇気の出る言葉です。『 自分が負けている、物事がうまくいっていない』を分かった時、交渉する勇気を持つことが必要です。 恥ずかしいと思うかも知れませんが、何人死んだら終わるのでしょうか? 時間内に交渉してください。 仲介してくれる国を探す。 たとえばウクライナ戦争では、調停を望む人がたくさんいます。 トルコは自らこれを申し出た。  事態が悪化する前に、恥ずかしがらずに交渉してください」と答えられた。

 報道局長は、「教皇は、ウクライナ戦争の(ロシアを含む)すべての当事者に対し、公正かつ永続的な平和を求めて外交的解決の条件を整えるよう呼び掛けたのであり… 『交渉は決して降伏を意味しない』という言葉は、ウクライナ戦争だけでなく、あらゆる戦争、紛争に対しても言及されている」と強調した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年3月11日