・「最優先事項は、ロシアに連れて行かれたウクライナの子供たちの帰国実現」と和平特使

Cardinal Matteo Maria ZuppiCardinal Matteo Maria Zuppi 

(2023.7.5 Vatican News  Roberto Paglialonga and Deborah Castellano Lubov )

    ロシアが続けている軍事侵攻からウクライナの平和を取り戻すため、教皇フランシスコの代理として先月、両国を訪れた和平特使のマッテオ・ズッピ枢機卿が4日夜、記者団との会見に応じ、現在の最優先事項は、(ロシアに拉致された)ウクライナの子供たちを故郷に戻すことであり、両国での政府高官や宗教関係者との会談結果などはすでに教皇フランシスコに報告している、と述べた。

 枢機卿は「最優先している注力しているのは、子供たちのような、もっとも不利な立場に置かれている人々のために働くことです」と述べ、必要なのは、彼らを助けるメカニズムを開始すること、強力な人道的な取り組みだ、と指摘。

 そして、「私たちはそのことを最も年少の、最も弱い人々から始めようとしています。子供たちがウクライナに戻れるようにしなければならない。そうして、次にすべきは、子供たちの実態を調べ、一番脆弱な者から、どのように連れ戻せるか、考えることです」と語った。

  枢機卿は、モスクワ訪問に先立つ6月5,6両日、キエフに飛び、聖ソフィア大聖堂での祈りを皮切りに、ゼレンスキー大統領はじめ政府の指導者たちと会談、ロシア軍によって数十人が虐殺されたブチャの集団墓地訪問のあと、議会の人権委員、ルビネツ氏と会い、ロシア軍の占領地域のウクライナ人の子供たちの問題や民間人を含むウクライナ人捕虜の状況について説明を聞いた。

 キエフ訪問の後、枢機卿は6月28日から30日にかけてモスクワ訪問。プーチン大統領の外交政策問題担当補佐官のウシャコフ氏や、児童権利委員リヴォヴァ=ベロワ氏などと、ロシア正教のキリル総主教ら教会関係とも会談。訪問後の声明で、ロシア政府関係者との会談では「(ウクライナへの軍事侵略がもたらしている悲惨な状況の)人道的側面と、切望されている和平を達成するための緊急性が強く強調された」、キリル総主教とも「実りある」会談を行い、「教皇の挨拶を伝え、平和的解決を促進する人道的取り組みについても話し合った」とした。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年7月6日