若者シノドス準備の「世界の若者が置かれた状況に関する国際セミナー」開かれる

(2017.9.19 バチカン広報・報道機関向け発表)来年10月に予定される「若者、信仰、召命の識別」をテーマにしたシノドス(全世界司教会議)の準備の一環として、9月11日から15日にかけて、ローマで「世界の若者たちが置かれた状況についての国際セミナー」が開かれた。

 セミナーには欧州、米国、アジア、アフリカ、オセアニアから若者21人、カトリック系大学の専門家17人、他大学の専門家15人、若者の召命担当者20人、教皇庁の担当者9人など82人が出席し、テーマに関心のある若者を含む50人も傍聴者として参加した。

 若者と自立、若者と異質性、若者と企画立案、若者と技術、若者と超絶性などが具体的な課題となり、午前中のセッションは聖書をもとにした黙想に始まって、幅広い討論の後、イタリア語、英語、フランス語、スペイン語をそれぞれ話すグループに分かれて議論を続けた。

 初日11日は、ロレンゾ・バルディッセーリ枢機卿の開会あいさつ、聖書をもとにした黙想に始まり、5人の若者が、自分たちが置かれている戦乱の現状、価値観の回復、直面する日々の課題、約束と決断などのテーマで基調報告をし、最後に二人の専門家が研究事業について紹介した。12日は、自立の問題が取り上げられ、「自立を求める若い男女」「若者の自立を育てる場」というテーマで専門家二人が報告。さらにこれに関連して、完全な自立を育てるための教育の重要性なども話し合われた。

 13日は専門家による「若い人々と仕事」「若い人々と移住」というテーマの基調報告を受けた議論で、多くの若者が自分の国を出るのは、内戦から逃れるためだけでなく、よりよい未来を得たいとの思いもあり、それらが重なっている、という意見も出された。午後には、「若い人々の社会とのかかわり」「若い人々と政治とのかかわり」のテーマで専門家の基調報告があり、政治の世界に対する不信から、若者たちが連帯を求めて社会とのつながりを求める傾向にある、などが指摘された。また「若い人々と技術進歩の将来シナリオ」「若い人々と技術進歩の人類学的側面」が報告され、とくにニューメディアの急速な普及の中で、新たな可能性が開かれ、宣教活動にも新たな手法が提起される一方、人類学面、倫理面、人間関係面などで複雑な問題が起きていることが指摘された。

 15日は「若い人々、聖なるものと信仰」「若い人々と教会」をテーマにした基調報告があり、若者たちがどのような形で霊的な体験をしているかなどが、若者たちから語られた。午後は、これまでの四つの言語に別れた分科会の議論の内容の報告がされたあと、セミナーの総括に移り、来週に予定される若者シノドスの概要の説明が教皇庁の担当者からあり、若者たちが制作した「私たちは家族。互いの話に耳を傾け、ともに成長していこう」と題するビデオが上映。教会の中に家、家族、共同体を見出し、それによって人生の選択をし、共通善に寄与することができるという若者たちの熱意が示された。専門家たちからは、より良い世界を作ろうとする若者たちの要請に応える教会の姿勢とともに、若い世代とともに歩む前提と条件を整える必要を強調した。最後にバルディッセーリ枢機卿の感謝の挨拶で締めくくった。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2017年9月20日