☩「限りなく交響的で共働的な教会の実現に働くように」教皇、新枢機卿たちに叙任式で注文

   

(2023.9.30 Vatican News  By Lisa Zengarini)The new Cardinalls during the Consistory

   教皇フランシスコは30日、聖ペトロ広場で、21人の新枢機卿の叙任式を主宰され、式中の説教で、「教会の一致と多様性」に注意を向けられ、「共に歩む主人」である聖霊の導きの下でのシノダリティ(共働性)の重要性を指摘。 「枢機卿団は、教会の調和とシノダリティを表現するシンフォニー・オーケストラに似るたものとなるように求められています」と強調された。

 説教の中で教皇は、式中に読まれた使徒言行録2章1‐11節、聖霊が使徒たちに降った箇所を取り上げ、エルサレムで使徒たちの説教を聞いた「さまざまな国籍や言語のユダヤ人たち」と、「世界のあらゆる地域、多様な国々から集まった現代の司教や枢機卿」との類似点に注意を向けられ、「伝統的に教会の司牧者たちを使徒たちと重ね合わせる見方とは異なる見方、つまり救いの神秘の告知—Kerygmaを受けたエルサレムの人々、そしてそれを歓迎のうちに、すべての言葉を話す教会の構成要素となった人々の見方」を提起された。

 そして、現代の司教や枢機卿たちも、「使徒」である前に、司祭、司教、枢機卿、牧師である前に、自分たちが改宗したユダヤ人と同じ「パルティア人、メディア人、エラム人など」であることを思い起し、「神の恵みを受けたことに、 祖父母や両親、カテキスタ、司祭、修道者を通じて、それぞれの自分の言語で福音を受けたことに感謝すべきです」と説かれた。

 さらに教皇は、「福音を伝えられたこと、今も福音を伝えられていることへの驚きと喜びを心に抱き続けている限り、私たちは宣教者です。この驚きと喜びは、常に存在する賜物であり、私たちの記憶と心の中で絶えず新たにされなければなりません」 と強調。「聖霊は、十字架上で亡くなられ、復活されたイエス・キリストの神秘を伝えるという驚異の働きを、私たちの民に直接してくださいました。自分たちの言葉で、伝えられました。信仰は、母親や祖母によって、その地の言葉で伝えられていきます」と指摘された。

 また、「聖霊降臨は、過去に起きたことではなく、神が継続的に新たにされる創造的な行為。教会は、洗礼を受けたすべての教会員は、聖霊の働きを通して神の今日を生きているのです」と語られ、叙任式でビレッタ(枢機卿であることを示す赤い角帽)を受けた新枢機卿たちに対し、彼らの新しい役割が「教会における、そして教会のための、自身の召命と使命」を新たにすることを強調された。

 最後に教皇は、オーケストラをイメージしつつ、教会の多様性と統一性を同時に体現する枢機卿としての使命について、 「多様性は必要不可欠ですが、それぞれが奏でる音色が、調和した楽曲になるようにする必要があります。 だからこそ、皆が互いに耳を傾けることが欠かせないのです」とされ、オーケストラの指揮者には「演奏者一人ひとりと全体が最高の”創造的忠誠”を育む」よう支援することが求められている、と強調。そして、枢機卿たちに対し、「多様性と統一性を創造し、調和そのものである聖霊を信頼し、これまで以上に交響的、共働的な教会」となるために働くよう強く求められ、「私たちは、聖霊の優しく力強い導きと聖母マリアの慈悲深い配慮に身を委ねます」と祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

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2023年9月30日