☩「前世紀の世界大戦の悲劇を忘れた私たちをお赦しください。戦争から私たちを解放してください」教皇、聖母へ奉献の祈り

教皇フランシスコ、ロシアとウクライナをマリアの汚れなき御心に奉献  2022年3月25日 バチカン・聖ペトロ大聖堂教皇フランシスコ、ロシアとウクライナをマリアの汚れなき御心に奉献  2022年3月25日 バチカン・聖ペトロ大聖堂 

 教皇フランシスコは25日夕(日本時間26日未明)、バチカンで共同回心式を行われ、式の終わりに、ロシアとウクライナをマリアの汚れなき御心に奉献された。

 「神のお告げの祭日」、聖ペトロ大聖堂では、復活祭をより良く迎えるためのゆるしの秘跡が、多くの聖職者、修道者、信徒ら参加のもと、共同回心式の形で行われた。

 教皇はこの説教で、「赦しの秘跡にあずかることは、私たちから神への歩みよりではなく、私たちを包み、驚きをもたらし、感動させる、神から私たちに対する抱擁です」と強調。「すべての内的な再生、霊的な転換はいつでも、神の赦しから始まるのです」と話された。

 神は私たちの弱さを知っておられ、私たちの過ちよりもずっと偉大な方、と教皇は述べ、「自分の弱さやみじめさを恐れることなく神の御前に置くことで、苦悩は復活の機会となるでしょう」と語られた。

 天使がおとめマリアに、マリアが聖霊によって神の子を宿したことを告げた時、そこには多くの恐れるべき理由があったにもかかわらず、マリアは「はい」と答えた。マリアには「恐れることはない」(ルカ福音書1章30節)というお告げの天使の言葉、神が与える安心だけで十分だったからである。

 「私たちは自分たちの確かさから出発し、その確かさを失った時にだけ神に向かう。しかし、これに対し聖母は、神から出発し、その信頼において、残りのすべては与えられることを教えてくれます」と教皇は説かれた。

 ロシアの残虐非道なウクライナ攻撃が今も続けられていることについて言及された教皇は、「ウクライナの多くの無防備な兄弟姉妹たちの家々が爆撃される中、死のニュースや映像が次々届いています」とされ、「残忍な戦争は多くの人を殺し、苦しめ、一人ひとりに大きな恐怖や無力感を引き起こす中で、私たちは『恐れることはない』という言葉を聞きたいと感じています」と話された。

 そして「世界を変えたいなら、まず私たち自身の心を変えなくてはなりません」と説かれ、「神はマリアと共に救いと平和の新しい歴史を始め、マリアの御心の扉をたたくことで歴史を変えられました。神の赦しを新たにした今日、私たちも、マリアの御心の扉をたたき、世界の司教と信者らと一致し、私たちが体験していることのすべてを、マリアの汚れなき御心に厳かに差し出しましょう。聖母において教会の奉献を新たにし、全人類、特にウクライナの人々とロシアの人々をその御心に奉献しましょう」と呼びかけられた。

 神のお告げを受けたマリアの口から出た美しい言葉、「お言葉どおり、この身に成りますように」(ルカ福音書1章38節)は、「受け身の承諾でも、あきらめの言葉でもありません。それは神の平和のご計画への最も密接な参加を表すものでした」とされた教皇は、「私たちも、神のこの平和の計画に参与する者となるために、自らをマリアに奉献しましょう」と世界の全ての教会、信徒に促された。

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 共同回心式の終了後、教皇は、聖母像の前で、ロシアとウクライナをマリアの汚れなき御心に奉献する祈りを唱えられた。

 教皇はこの中で、「私たちは平和の道を見失いました。私たちは前世紀の悲劇の教訓を、(二度にわたる)世界大戦の無数の死者たちの犠牲を忘れました。国々の共同体としての義務を尊重せず、人々の平和への夢と、若者たちの希望を裏切りました」と述べ、「人類の強欲とエゴイズム、神に対する無視、欺瞞に満ちた生き方、自分たち以外のすべてに対する無関心」に、神の赦しを懇願された。

 そして、「人間の罪のみじめさ、悪と戦争の不条理の中」で、聖母の救いと、慰め、助けを求めつつ、「戦争の嵐の中で私たちを遭難させないでください」、「憎しみを消し、復讐をなだめ、赦しを教えてください」、「戦争から私たちを解放し、核兵器の脅威から世界を守ってください」と願い、人類の兄弟愛と世界平和を祈った。

 教皇は、マリアの汚れなき御心に、全人類を、特にロシアとウクライナを託して奉献し、「戦争を止め、世界に平和を整えてください」「あなたに全人類の未来と、人々の必要と願い、世界の苦悩と希望を奉献いたします」と厳かな祈りを捧げられた。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年3月26日