・バチカン改革のための新使徒憲章が、枢機卿顧問会議で”継続審議”に (2019.9.25 カトリック・あい) カトリック関係者の注目を集めているバチカン改革の仕上げともいえる新使徒憲章の決定が予定されていた今月からさらに12月以降に延びる見通しとなった。 当初は17日から19日までバチカンで開かれた教皇フランシスコを補佐する6人の枢機卿による顧問会議で確定するとみられていたが、原案を基に世界各国の司教団などから寄せられた意見、提案を基にした議論が煮詰まらず、結論は12月上旬に開く次回の顧問会議へ持ち越された。バチカン広報が19日に発表した声明では「憲章原案の”第一読解”は、霊的交わりと合議制の精神のもとに教皇の指示に対する意見の聴取と検討をへて、終結した」と述べている。 新使徒憲章は、1988年6月に当時の教皇ヨハネ・パウロ2世が公布されたバチカン改革の使徒憲章に代わるもの、実施のためには教会法の改正も必要になる大掛かりなものになる、とされている。 顧問会議のメンバーであるインド・ボンベイ教区長のオズワルド・グラシアス枢機卿は前回の会議終了後の7月初めのCruxとの会見で、原案は出来ているが、箇所によっては追加提案が出されており検討している、とし、新使徒憲章で予定される重要なメッセージは福音宣教、奉仕、慈善にあり、具体的には、まず、教皇庁が教皇を助けるとともに、司教協議会を助けることを明確にする。 さらに、枢機卿は、バチカン改革のための使徒憲章のポイントして各国の司教協議会に中心的な場を与えること。Synodality(共働性)と collegiality(合議制)も課題として出てきており、福音の宣教(注:の教皇庁における体制強化)も主要課題の一つになっている、とし、福音宣教省を関係の評議会と合体させて、新たの部署(これまで省、評議会などに分かれていた各部門を「部署」に一本化する)を作り、これまでバチカンの機構で国務省に次ぐ最上位に置かれていた教理省の上に位置付ける、医療福祉関係の部局を部署への昇格などが具体的に検討されていることを明らかにしていた。 調整が難航しているのは、教皇フランシスコが強く望まれている中央集権化したバチカン、教皇庁の権限を可能な限り、各国の司教協議会に移すことや、世界における福音宣教を重視するために、教皇庁の機構再編で福音宣教省を強化、上位に置くこと、などに”伝統”を重視する高位聖職者”保守派”の強い抵抗が続いているため、との見方も関係者の間にあるようだ。 ツイート 関連