(2021.7. 5 La Croix Élise Descamps | Vatican City)
バチカンの高位聖職者が絡んだロンドンを舞台とした巨額不動産不正取引事件は、バチカン検察当局が前列聖省長官のアンジェロ・ベッキウ枢機卿を含む10人と3つの法人を複数の罪で起訴するという事態に発展し、バチカン裁判所での審理が27日から始まる。
ベッキウ枢機卿の”犯行”当時の上司だったピエトロ・パロリン国務長官・枢機卿が4日、訪問先のフランス・アルザスでLaCroixとの会見に応じ、「バチカン裁判所から出廷要請があれば、応じる用意がある」と語った。
長官は「彼ら(検察当局)が『起きたこと(起訴対象となっている事柄)すべてについて(私に)責任がある』と言うのであれば、私には間違いなく、それに答えることがある」とし、「彼らが私に責任が無いと考えるのなら、法廷で証言することは求めないだろう」と述べた。
パロリン長官は3日に起訴された10人の中には入っていないが、起訴対象となっているロンドンの不動産不正購入のためのバチカン銀行(正式名称「宗教事業協会=IOR])による融資に影響力を持つ国務省の最高責任者だ。問題は、ベッキウ枢機卿が関わる不正取引と不正なバチカン資金の流用について、長官が知っていたのか、それとも、まったく知らされていなかったのか、だ。
また、長官はLaCroixに対し、起訴と裁判の開始について「司法当局がこの決定に達するまでに1年半以上かかった。今回の決定は私にとって極めて悲しいことであるとしても、捜査の結論で出たことはよいことだ」とも述べた。
パロリン枢機卿は、バチカンで最も経験を積んだ外交官の一人とされ、将来の教皇候補の可能性も取りざたされている。、今回の事件の起訴内容については「まだ公式文書を読んでない」として、言及を避ける一方、 「私は人を裁くことをしない。おそらく、誰かが悪い振る舞いをしたのだろう。裁判所の判断はすべての要素がテーブルに置かれた段階でなされるだろうし、真実に到達することができるように願っている」と語り、「裁判が短期間で済むことを希望している。なぜなら、この事件が多くの人々を苦しめ、多くの人々が苦しみ続けているからだ」とも述べた。
また、国務省が民事訴訟を起こしたことについては、「それは教皇フランシスコのご判断の結果だ」とし、「我々はすべての捜査について直接知らされなかった。我々は犠牲者、と考えている。我々は、聖座の名誉を守らねばならない。そしてまた、失われた資金のいくらかを取り戻す力を持つ必要がある」と説明した。
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