(2019.7.26 バチカン放送)
アフリカ北東部のエリトリア政府がカトリック系の医療施設を相次いで強制的に閉鎖していることに対し、教皇庁立基金「苦しむ教会への助け」は26日、強い危機感を表明した。
同基金によれば、ここ数週間でカトリックの修道会や教区が運営する22の医療施設が閉じられた。「国家を社会事業の唯一の運営者とする」と定めた法律を根拠としており、2017年から2018年にかけて既に8つの施設が没収。現地の関係者は、これらの病院の閉鎖後、患者の移送は行われず、地元の住民たちは医療サービスを受けることができなくなっている、と窮状を訴えている。
エリトリアのカトリック人口は、全体の5%に過ぎないが、カトリック系の病院は宗教の区別なく、患者の治療にあたってきた。
病院と共に隣接の修道院なども閉鎖され、修道者たちは別の修道院に移ることを余儀なくされているが、政府は40歳以下の女性、および兵役経験のない50歳以下の男性の海外渡航を禁じており、海外の修道院に移ることもできない。
病院に加え、現在心配されているのは、エリトリア国内に50あるカトリック系の学校と100以上ある幼児施設だ。存続の成否は、新学期が始まる9月にならないと分からない、という。エリトリアで唯一の神学校は既に閉鎖され、司祭志願者が勉強できる場所は無くなった。閉鎖前に在校生の名前を警察に提出することを拒否した司祭1名と、修道女1名が逮捕されている。
10年以上前に同様の圧力を受けたエリトリア国内の正教会は、国家に教会のすべての献金を差し出し、司祭らは政府から給料を受け取ることになった。2006年にアントニオス総主教が自宅監禁され、別の総主教が政府によって立てられてからだというが、アントニオス総主教は現在も自由を与えられていない。同国のあるカトリック関係者は「政府は我々の教会にも同様のことを試みたが、私たちはそれを拒絶した。我々の教会は『唯一の独立した声』であり、それだけに当局にとって目ざわりな存在になっている」と語った。
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