(2018.6.1Tablet Rose Gamble)
中国政府・共産党の管理下にあるカトリック愛国協会と中国司教協議会が、「中国におけるカトリック教会の中国化のための発展の5か年計画」を開始した。Asia Newsが伝えた。
この計画は先週、これら二つの組織によって承認された。教皇に公式に認証されていないこの二つの組織は、中国共産党政府を、宗教分野も含めた中国における最高権威と認めている。ローマに忠誠を誓う非公式の”地下教会”はこの計画の策定には加わっていない。
中国のカトリック教会も含めた宗教の”中国化”は2015年、習近平・国家主席が、中国共産党中央委員会直属の機関で諸宗教に対する規制・管理の権限をもつ「統一戦線工作部」の会議で実施を宣言していた。”中国化”は宗教的な表現から、”外国の影響”を排除し、中国文化への同化を促進するもの、と言われ、”外国の影響”からの自立とは、教皇の権能を無視し、共産党に従って活動することを意味する。
5月22日付けで両組織がウエブサイトに載せた発表には5か年計画の詳細は明らかにされていない。Asia Newsによると、あるカトリック関係者は、この運動はバチカンの感情を害するものではなく、バチカンは現在も中国政府と、特に中国における司教任命の権限について交渉を進めている、としている。
一方で、中華民国のJohn Hung Shan-chuan台北大司教は、5月18日付けのSouth China Morning Post紙で「教皇は私に、自分は交渉のためにカトリック教会の原則を曲げるつもりはない。司教の任命権は教皇になければならない、とお話しになった」と明言し、交渉は最終合意に至っていない、と述べた。交渉が、バチカンと中国政府の外交関係の完全な樹立に繋がれば、中華民国・台湾の独立国としての地位を認めないとする世界の多くの国々に追随することになるに違いない。
(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)
(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)