A moment during the Synod Assembly (VATICAN MEDIA Divisione Foto)
(2022.10.21 Vatican News)
シノドス総会の討議状況などに関する定例会見が21日午後、総会に参加している司教やシスターなどが同席して、開かれた。
21日はこの後、夜9時から聖ペトロ広場で平和への祈りを込めたロザリオの祈りが行われたが、それに先立って、総会の全体会議で以下のような特別アピールが出された。
「血が流されている中東の若者たちを助け、希望を失わず、彼らが苦しみや祖国を離れることだけを考えることのないように、教会として、司牧者として、平和を実現する手立てを提供するように」。
バチカンのルッフィーニ広報省長官によると20日午後から21日午前にかけての総会の全体会議、作業部会は、「中東、ウクライナ、アマゾンなどの戦乱や苦しみの場所からの、非常に力強く、情熱的で深遠な証言」で特徴づけられ、それに対して会場から強い支持と共感が寄せられた、という。
討議要綱に基ずく討議に関しては、21日朝のセッションの終わりに、モジュール B3 に関する 35 の作業部会の報告書がシノドス事務局長に提出された。作業部会の報告取りまとめには310人が参加し、同時に今総会全体取りまとめ文書作成に向けた会議も開かれた。
*ルッフィーニ広報省長官「教皇との交わりは最高のメッセージ」
会見で、ルッフィーニ長官は、20日午後から21日朝にかけての討議では「権威と共同責任の間の政策決定の関係における識別の問題」が主として話し合われ、「 シノダリティ(共働性)は、『権威』を排除するものではなく、一定の背景を置いて権限を理解するもの」との意見があり、「権威の必要性」と「議論したり意見の相違を求めることを恐れないこと」などの指摘もあった、と述べた。
また討議では、「紛争の場を通過の場に変えてくださる聖霊」により頼み、対話を進めていくこと、全員が互いに耳を合うことが優先されることも指摘され、特に、「他の宗教に属する人、先住民の人、『教会に歓迎されていない』と感じている人、『教会に属していない』と思われている人、差別を受けている人、人とのコミュニケーションに障害のある人など、すべての人の声に耳を傾けることの重要性が強調された、という。関連して、LGBTQの個人への対応については、進んで受け入れ、「彼らに対するあらゆる形態の暴力を拒否する」義務が指摘された。
総会の討議で重視されたのは、「教皇との交わり」で、 ペテロと根本的な交わりを持たない人々は「教会であるキリストの体を傷つけている」という意見があった。「交わりは、二極化、外国人排斥、戦争で特徴づけられた世界に対する最良のメッセージです」の述べた。
*ピレス総会情報委員会委員「教会の意思決定に女性の声の反映、性的虐待問題に継続的な育成が必要」
シノドス総会情報委員会のシーラ・ピレス氏は、「討議テーマには、『女性と聖職者の役割』があり、特に教会の意思決定の過程で女性の声が反映されることの重要性が強調されました」とし、「聖職者主義が再び反省の中心にあり、虐待問題への取り組みも可能にする継続的な育成の必要も提起されました。 虐待問題については、それと闘うための適切な仕組みの必要性が強調され、虐待の悲劇に対処するための新しい仕組みを導入された教皇を支持する意見が出た。また、「大人と子供の両方を含むすべての個人を保護するための、あらゆるレベルでの取り組みを促進することの重要性も強く主張された」という。
再度取り上げられた「デジタル時代における宣教の使命」については、「人々が現実の生活に関わるものであるため、純粋に仮想的なものであってはならない」との主張出た。
ルッフィーニ長官は、討議内容の共通点は、「貧しい人々に奉仕する」という教会の使命を再確認したことであり、主は、蓄積された知識ではなく、私たちが最も小さな人々をどのように愛してきたかによって、裁かれるという認識が背景にある」と語った。
*ペルーのヒメノ枢機卿「総会の経験は、神の一致における多様性の地平を開く」
ペルーのワンカヨ大司教で、アマゾン司教協議会会長でもあるペドロ・リカルド・バレト・ヒメノ枢機卿は、”シノドスの道”は「最初は小教区から教区、国レベル、そしてと大陸レベルと2年かけて、総会に向けて準備されてきました。私たちは聖霊が教会に告げた言葉を集めてきた。私たち司教は、自分の教区に責任を持ち、同時に普遍的な教会全体に対して、教皇フランシスコと共同責任を負っています。各国、地域の多くの司教たちを代表して参加しています。修道者、信徒、司祭も代表しています」と述べた。
そして、この総会で「生きた経験を集めるだけでなく、普遍的な教会の生活、つまり人種、文化、言語は多様だが、すべてが一つの聖霊、聖三位一体を源とする聖霊において一致するという活動を小規模なグループで体験する機会」を得たことを喜び、「 神は交わりであり、使命であり、参加—このシノドス総会の経験は、私たちに神の一致における多様性の地平を開きます。教会は内外で直面する困難の中でも、キリストと人類に仕えるために前進し、歩み始めているのです」と楽観的な見方で締めくくった。
*ドイツのオーファーベック司教「聖職者による性的虐待多発で始められた”ドイツ・シノドス”—常にうまくいったわけではない」
ドイツのエッセン教区長で軍担当のフランツ・ヨーゼフ・オーファーベック司教は、2018年に始まり昨年終了したドイツ教会の”シノドスの道”の歩みについて語った。司教は「私たちがこの道を歩み始めた理由は、この国で多数の聖職者による性的虐待事件が明らかになったためでした」と前置きし、この問題への取り組みは、教会内のさまざまな専門家グループ代表者を含むドイツ・カトリック中央委員会と協力して進められた、と説明。
「 この『悔い改めと再生の道』には、教会活動の再生に緊急に必要な問題に取り組むために、教会の働きを自己批判的に検証する作業が含まれていました… 求められたのは、神学的知識の根源への回帰―学術神学上の新たな発見を通しての聖書とカトリックの伝統の確認に始まり、キリスト教の信仰宣言を信頼できるものにするために、信者の信仰と時代のしるしを 、福音の光のもとに解釈することです」とし、「もし神学、教導職、あるいは伝統と時代のしるしに、調整不能な、あるいは相容れない矛盾があるのであれば、誰も説得することはできず、ドイツの総人口の30パーセントでしかないカトリック教徒に、指針を提供することもできないでしょう」と述べた。
そしてこの「再生の道」では、専門委員会を作って、権力、神権、女性の役割、性道徳という 4 つの問題を研究し、フランクフルトで 開かれた5 つの主要な会議で、教会として取るべき行動のリストをまとめ、これをもとにドイツ司教協議会が一連の文書を発表した。
司教は、「こうして、私たちは一致のための新たな活動の形式を選択しました。これは、ドイツの教会レベルのシノドス総会の形に近いものでした。総会では、司教たちの投票で3分の2以上の支持を得た内容だけに、拘束力を持たせることにしました。”ドイツ・シノドスの道”の3 年間で 15 件の拘束力を持つ決定がなされました」としたうえで、「この道は常に経験に学びながら、シノダリティ(共働性)を実践するものでしたから、すべてが常にうまくいったわけではありません。それで、私たちは、シノダル(共働的)な集まりを継続できるような教会会議の概念をまとめることで合意したのです」と語った。
そして最後にオーバーベック司教は、司教、司祭、修道者、信徒が「創造と現地の住民の保護」に共に働くことを決めたアマゾン地域シノドス(代表司教会議)の経験を高く評価。「慣習と伝統主義にしがみつかず、常にイエスを信仰の中心に置くことです。批判的に検証すれば『真理の階層』に優先順位はありません」と強調した。
*フランスのエシェンヌ司教:「人口15万の教区と100万の教区に共通する主題は『共同責任』だ」
フランス、グルノーブル・ヴィエンヌ教区長のビシュポ・ジャンマルク・エイシェンヌ司教は、トゥールーズ南部、”フランスのアマゾン”とされている地域での経験を語ることから話を始めた。
この地域は貧困が蔓延しているのが特徴だが、キリストと福音の霊的な探求が熱心に行われている。そのような人口15万の地域から、経済的、社会的状況は異なるものの、多くの共通の課題と類似点を持つ人口100万の現在の教区に移ったことによる経験を詳しく語った。
「二つの教区に共通する主要課題は『共同責任』。シノダリティに関する今回のシノドス総会は、教会がこの概念をどのように受け入れることができるかを共に考え、検討することを意味している、と思います。そしてその先にあるのは、少数の個人が責任を負う教会から、全員がキリストと福音の宣言に責任を負う教会、つまり、 誰もがキリストの体の一部であり、全員に関わる問題の最終決定のために各人が意見を表明する教会の姿です」と強調した。
司教はまた、刑務所訪問の経験について語った。「受刑者たちと集まり、神の言葉である福音書を読み、各自が感想や意見を語ります。彼らの多くは文字が読めず、社会からひどくのけ者にされてきた。しかし、朗読された聖書の箇所について、はっとするような素晴らしい言葉が、彼らから発せられることがあるのです」。
また「 共同責任」について、「本当のシノダル(共働性)の経験をすることを意味します。それは、新しい教区司祭が赴任した際、彼が奉仕者であることを強調するために、信徒たちの足を洗う儀式を行うことと似ています」と指摘。さらに、「地域社会で、人々に命令を下しているのは一人ではなく、若者、高齢者、障害者で構成される『私たち』であり、共通の責任があることを象徴的に示しています。小規模な教区チームには、「地域に関する決定で高位聖職者を助ける司教代理の女性とともに、女性も参加しています」と述べた。。
*シスター・ニルマリーニ
インド人のシスターで、Apostolic Carmel Congregationの総長、インド修道会連盟会長のシスター・マリア・ニルマリーニは、「シノドス総会というこの美しい経験と素晴らしい旅には、同行の奉献者の仲間たちの祈りと支援があること」を指摘したうえ、「文化や背景の違いがありながら、恐怖や心理的圧力を受けることなく総会に参加し、枢機卿、司教、神学者、若い修道者、信徒、そして自分のような者と、どのようにしてそれぞれの経験や考えを自由に分かち合ったか」を語った。 「総会が終わってインドに戻る時、地域社会のすべてのメンバーが参加する進行中のプロセスである”シノドスの道”を持ち帰ります」とし、「平和、移民、難民のために分かち合い、祈りを捧げるあらゆる時の重要性」を強調し、 「私たちは、それぞれの出自に関係なく、皆、神の家族の一員です」と締めくくった。
*「女性助祭と既婚助祭—問題は、神学生のいなくなっている現状で、教会をどう生き延びさせるかだ」
女性助祭と既婚男性司祭の叙階の問題について、記者から再度質問され、ヒメノ枢機卿は、「このシノドス総会は、7500平方キロのアマゾンの地域シノドスの経験の延長にある。この地域シノドスの重要な決定の一つが、すべての信者が参加するアマゾン教会会議 (Ceama) の創設でした。教会の歴史で初めてのこの経験を積む必要があります」と述べた。
オーヴァーベック司教も「ドイツ教会会議の過程で提起された聖職者の性的虐待問題を含むすべての問題は、人々がもはやイエス・キリストとは何者なのかについて明確な認識を持たず、宗教も理解していない”ポスト世俗国家”という状況の中で生じたものでした」としたうえで、「ドイツではプロテスタントの牧師の半数が女性です。 助祭職は1968年から存在しており、助祭職における女性の役割と将来の存在について問題が指摘されています。終身助祭は重要ですが、それは単なる『権利』ではなく『召命』なのです」と強調した。
また記者から、ドイツでの”シノドスの道”の歩みが、このシノドス総会に与えた効果とドイツにおける影響について質問されたのに対して、オーヴァーベック司教は「ドイツ教会の”シノドスの道”の歩みでなされた全てのことが社会に影響を与えている、という印象を持っています。噴出する問題に対処するうえで、inculturation(文化的受容)と神学の役割をよく考える必要があります」と述べ、既婚男性の司祭叙階の可能性については、「長年にわたる歩みがありました。(司祭候補となる)神学生はほとんどいなくなっている。問題は、教会におけるミサなど秘跡をどう救うか、だけでなく、教会をどうやって生き延びさせるか、です」と指摘した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)