・バチカン、社会教説に沿った新投資政策を実施へー不正不動産投資による巨額損失発生受けた措置か

(2022.7.19  カトリック・あい)

 バチカンの財務事務局が19日、広報省を通じて新聞発表を行い、‎新たな投資政策を9月1日から実施することを明らかにした。

 「カトリック教会の社会教説」に沿う形で、バチカンの活動のための収益を生み出すような資金運用を目指す、としているが、バチカンでは現在、教皇フランシスコの側近の1人だった元国務省次官・枢機卿が絡む不正不動産投資による巨額損失事件が裁判になっており、そうした事態の再発を防ぐのが本当の狙い、との見方が強い。

 2億5000万円という、教区の財政規模からみて巨額といえる不明瞭な投資によって損失を出し、それに対する社会常識的に見て、適切な処理、責任の取り方などが、いまだに明確にされているとは言い難い長崎教区にとっても、参考にすべきことがあると思われる。

 

(2022.7.19 Vatican News)

*投資は”‎投機”ではない、教会の社会教説に沿って行う

 ‎新聞発表によると、新投資政策の目的は、「バチカンによる投資がより公正で、持続可能な世界に貢献することを保証するため」とし、具体的には「バチカンの保有する資産の価値を維持し、バチカンの様々な活動への資金供給を持続可能な方法で行うために十分な運用益を生み出し、かつ、『カトリック教会の社会教説』に教えに沿い、生命の神聖さ、人間の尊厳、共通善などを基本原則とし、それに反する投資、本質的に投機である投資は行わない」と言明している。‎

投資資金はバチカン銀行の使徒座管財局の口座に置かれる

 また、投資の具体的方法としては、「バチカンの使徒座管財局 が聖座の資産を管理する機関として、多様な投資のための単一の基金を設け、各機関の資金もここにまとめ、収益を支払う」とし、「バチカンの各機関の投資のための資金、あるいは海外の金融機関やバチカン銀行に預けられていた証券は、バチカン銀行に開設される使徒座管財局の口座に移されねばならない」としている。

*新使徒憲章で設けられた投資委員会の役割

 新聞発表は、先に教皇フランシスコが公布されたバチカン改革の新使徒憲章によって新設された投資委員会についても言及している。同委員会の役割は、「使徒座管財局による適切な投資戦略の実施に関する協議を行い、投資が教会の社会教説の原則を遵守して行われることに特に注意を払い、投資の判断の妥当性について評価する」ことにある、と強調している。

  なおバチカン財務事務局が19日発表したところによると、委員会の活動の内部統制は、財務事務局長が任命するコンプライアンス責任者に委ねられ、委員会の透明性と良好な機能を保証するだけでなく、利益相反がないことを保証し、リスクの正しい管理を監督することを目指す、としている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年7月19日