☩教皇ギリシャ訪問:「パウロに倣い、歴史的な信仰の”実験場”で働き続けるように」カトリック関係者へ

(2021.12.4 ギリシャ入りされた教皇フランシスコは4日夕、首都アテネのアレオパゴスの聖ディオニシオに捧げられたカテドラルで、司教、司祭、修道者、助祭、カテキスタたちと会見された。

 ギリシャでは、全人口の約86%をギリシャ正教会の信者が占め、カトリック信者は1.22%と少数派。ギリシャ司教協議会は、ラテン、東方二つの典礼の司教で構成されている。

 会見で教皇はまず、西洋の基礎を築いたギリシャの偉大な文明に触れ、初期のキリスト教は、この豊かな文明の中で、信仰の「受肉」の”実験”を始めた、とされ、「ギリシャ文明とキリスト教の出会いの”実験場”において、多くの教父たちがその聖なる生き方と著作を通して貢献しましたが、”実験”に最初に着手したのは、使徒パウロでした」と指摘。

 そのうえで、教皇は、パウロのアテネにおける宣教について二つの特徴を挙げ、今日の福音宣教の模範とするように促された。

 特徴一つは、「神への信頼」。

 パウロがアテネで人々と討論していた時、哲学者の中には、「このおしゃべりは、何が言いたいのか」(使徒言行録17章18節)と首をかしげる者もいた。そして、彼をアレオパゴスに連れて行き、その教えについて問いただした。

 教皇は、アレオパゴスに連れて行かれたパウロの状況を想像するようにと勧められ、「彼は、たった一人で、少数派の論者として、成功の見込みはないと分かっていました。それでも、おじけづくことなく、福音を宣べ伝えることを決して諦めなかったのです」とし、そこに「神に信頼して前に進む」という真の使徒の特徴がある、と指摘された。そして、「イエスは小さき者や貧しい者を選ばれ、彼らがその謙遜さを通して歴史を変えていったように、『小さな教会』であることは『雄弁な福音的しるし』です」とされ、「パウロのように神に信頼し、この世の、からし種、パン種となって、静かに成長していくことを召命とするように」と促された。

 アテネにおけるパウロの宣教姿勢のもう一つの特徴は、「相手を受け入れる態度」。

 パウロは、頭ごなしに教えを説くのではなく、アテネの人々の宗教精神を受け入れた。彼は「アテネの皆さん、あなたがたがあらゆる点で信仰のあつい方であることを、私は認めます。道を歩きながら、あなたがたが拝むいろいろなものを見ていると、『知られざる神に』と刻まれている祭壇さえ見つけたからです」(使徒言行録17章22-23節)と言い、相手の尊厳を認め、その宗教的感受性を尊重している。その点に、教皇は注目され、「今日、私たちにも人間性・文化・宗教の違いの中で、交わりを育てようとする熱い心、受け入れの態度が必要とされているのです」と説かれた。

 アテネでパウロが福音を告げた時、多くの人はあざ笑い、去っていったが、「しかし、彼に付いて行って信仰に入った者も、何人かいた。その中にはアレオパゴスの議員ディオニシオ…もいた」(使徒言行録17章34節)。

 多くの人は去っていったが、「その時に残ったディオニシオに、このカテドラルが捧げられていること」に教皇は感慨を表され、「わずかに残った者から、神は今日まで歴史を織り出されてきたのです」とし、「ギリシャのカトリック教会が、この歴史的な信仰の”実験場”で働き続けること」を心から願われた。

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2021年12月5日