(2021.12.5 Vatican News staff reporter)
ギリシャ訪問中の教皇フランシスコは5日朝、レスボス島にある移民受入・登録センターを訪問され、移民・難民から直接、訴えを聴かれ、現在なされている人々の”移動”は「すべての人に関わる人道危機。”文明の難波”を止めねばなりません」と訴えられた。教皇が同島で難民・移民たちとお会いになったのは、2016年4月以来、二度目。
(2021.12.5 バチカン放送)
この朝、アテネからレスボス島南東部、ミティリニの空港に到着された教皇は、郊外の海岸地帯にあるミティリニ・移民受入・登録センターで、若者や子どもたちを中心に、出身地も様々な移民・難民たちに励ましを与えられた。
サケラロプル大統領も出席した集いでは、移民・難民とボランティアを代表して、コンゴ民主共和国出身の難民申請者と地元のカトリック信者が、それぞれの立場から、困難や希望、連帯の体験を語った。
これに対して教皇は、「移民・難民が急増している問題は、世界の問題であり、世界の一人ひとりに関わる人道危機です」と語られ、「気候変動(がもたらす地球規模の危機)や新型コロナウイルスの世界的大感染に代表されるように、(地球規模の)大きな問題は、断片的な対策では解決できません。皆で取り組む必要があります」と強調。
世界の現状を見ると、新型コロナに対して世界規模でワクチン接種を進める努力がなされ、気候変動問題に対しても不十分ながら共同の取り組みが進んでいるが、「移民・難民問題はまるで押し隠されているように見えます。これは、人間の命に関わる問題、皆の未来に関わる問題なのです」と教皇は語られ、「世界の人々が力を合わせ、最も弱い立場の人々と和解する中で問題に対応していくことで、平和で繁栄した未来が開けます」と訴えられた。
そして、教皇は、「貧しい人々を押し戻すことは、平和を押し戻すこと」とされ、「兄弟姉妹である移民・難民の方々の顔、眼差しから、『私たちから目をそらさないように、同じ人間である者たちを拒まないように、私たちの経験を共有し、私たちの悲劇を忘れないように』と訴えているのが分かります」と話された。
最後に教皇は、身ごもった親類エリザベトのもとに急いで出かけたマリアを思い起こされ、「聖母が、苦しむ人に駆け寄ることを教えてくださるように」と願いながら、お告げの祈りを唱えられた。