・「被造物を大切にする世界祈願日」と「すべての命を守るための月間」について・菊地大司教

すべてのいのちを守るための月間(9月1日から10月4日まで) 2020.9.1

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 教皇フランシスコは、2015年に回勅「ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に」を発表され、全世界の人に向けて、「私たちの共通の家」という総合的な視点から、エコロジーの様々な課題に取り組むことを呼びかけられました。その上で教皇は、毎年9月1日を「被造物を大切にする世界祈願日」と定められました。日本ではこの世界祈願日を9月最初の主日と定めていますので,今年は9月6日が祈願日です。

 この日は、東方正教会の兄弟姉妹との一致のうちに、また他の教派やキリスト教共同体とともに、「被造物の管理人となるという自らの召命を再確認し、すばらしい作品の管理をわたしたちに託してくださったことを神に感謝し、被造物を守るために助けてくださるよう神に願い、わたしたちが生きているこの世界に対して犯された罪へのゆるしを乞う(2016年教皇メッセージ)」日です。すなわち、環境問題への行動を促し,生きる姿勢において回心を求める日でもあります。

 日本の司教団は、昨年11月の教皇訪日を受けて,教皇フランシスコが日本から世界に向けて発信されたさまざまなメッセージを具体的に生きていくために、訪日のテーマである「すべてのいのちを守るため-Protect All Life」を深め、黙想し,祈り、行動するために、特別な期間を設けることにしました。「ラウダート・シ」に記されたメッセージこそ,教皇が日本から世界に向けて語られた、賜物であるいのちへの強い思いを具体化するものです。

 そこで日本の司教団は、9月1日から10月4日(アシジの聖フランシスコの記念日)までを、「すべてのいのちを守るための月間」と定めました。司教協議会会長の髙見大司教様は、「すべてのいのちを守るためには、ライフスタイルと日々の行動の変革が重要であることはいうまでもありませんが、とくにこの月間に、日本の教会全体で、すべてのいのちを守るという意識と自覚を深め、地域社会の人々、とくに若者たちとともに、それを具体的な行動に移す努力をしたい」と呼びかけておられます。

 今年は新型コロナウイルス感染症対策のため,教会における特別な行事などを制限せざるを得ませんが、教皇様の呼びかけを心にとめ,司教団で用意した祈りなどを共に祈りながら、「私たちの共通の家」への心遣いを深め、また私たち一人一人の回心のときとしていただきますように,お願いいたします。

 なお東京大司教区ホームページに特設サイトを設けています。こちらのリンクです。

 また同じ期間を、全世界の教会も被造物を大切にする月間としています。ご存じのように、この一年、来年の5月までは、教皇様が定めた「ラウダート・シ」特別年の最中です。

 それと併せて,数日前にアジア司教協議会連盟(FABC)の人間開発局(Office for Human Development)から,この特別月間のための祈りが送付されてきました。この祈りには、FABCの会長であるミャンマーのチャールズ・ボー枢機卿のメッセージがつき、環境問題に取り組んでいるインドのOHD事務局担当者が作成した祈りや聖体礼拝の手引き、さらには毎日の祈りが添付されていました。

 日本の司教団の公式の翻訳ではなく、東京大司教区の広報担当者が,3日4日ほどの時間しかないなかで,すべて翻訳してくれましたので、ホームページに掲載してあります。

 通常こうした祈りは,翻訳後に,典礼の専門家などの校閲や助言を経てから公開されるものですが、何といっても今日から始まる月間ですし、送付されてきたのが先週ですから(日本人も、みんな英語が分かる、と思われているのかもしれません)、まだ専門家の校閲をしていない荒削りの翻訳ですし、言葉ももう少し練る時間があれば良かったのですが、その作業をしていては9月はあっという間に終わってしまいます。それではあまりにもったいないですので、このまま掲載することにしました。皆様の霊的成長の一助となることを願っています。

(菊地功=きくち・いさお=東京大司教)

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2020年9月1日