詳細は不明だが、現在中止されている公開ミサなど典礼奉仕を通常に復帰させることや、これまでの国内の経済活動の停滞による貧困と失業の増大で起きる可能性のある社会的緊張への用意などが中心になっている模様だ。
イタリア司教協議会(CEI)のイヴァン・マフェイス事務局長がイタリアの日刊紙il Fatto Quoditianoに語ったところによると、司教団は、5月3日から、参加者たちが適当な社会的距離を置き、マスクと手袋を着用するなどの条件付きで、公開ミサ、葬式、洗礼式、結婚式を再開することを、暫定的に提起している、という。
イタリア政府は、国民に課している厳格な規制の一部を、5月4日から解除することを予定しており、タバコ屋や食料品店、子供服店などが営業を再開された場合、公開ミサなどの典礼中止を受け続けることに信徒たちが強い不満を抱くのは必至で、スペースの余裕のある大きな教会で信徒が参加した典礼の再開は避けられない、との判断だ。
事務局長は「緊急事態に求められるあらゆる注意を払って、私たちは通常の教会生活に戻らねばなりません。そのことが強く求められているのです… 要求に応じることは、社会の結束への貢献を意味します」と述べている。
司教協議会の代表は17日に政府関係者と会い、公開ミサの再開などについて話し合った。会議の結果を受けて、司教団は原案を修正したうえで、政府側に再提示することになった、という。
ミラノ大司教区は21日にウエブサイトに声明を出し、公開ミサなど典礼の再開から祈祷や慈善事業の活動再開にわたる様々な教会活動についての「アイデアや優れた慣行」の提案を信徒たちに求めた。出された提案は、特別の集まりを開いて検討したうえで、政府との協議に諮ることを前提として、司教協議会に提出する、としている。
同大司教区の評議会議長のブルーノ・マリノーニ師は、「『第二段階』はかなりの時間続くと予想されるので、私たちはキリスト教共同体とすべての神の民と定期的な対話を始めたいと思っています。そうすることで、現在の極めて特別な時を、司牧のしるしを共有する形で受け止め、教区の人々とともに歩むように、大司教を助けてもらいたいのです」と説明した。
バチカンでも22日に、ピエトロ・パロリン国務長官と全省の首脳が集まって、5月4日からのバチカンの「第二段階」について協議した。詳細はまだ明らかでないが、バチカン広報局の声明では、「持続可能な方法で危機に対処するために、教皇がされているた努力」を受けて、「通常の典礼奉仕の段階的な再開」を決めた。「新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための予防策を守りながら、聖なる父と普遍的な教会への奉仕を確実にする」としている。
これとは別に、カトリックのいくつかの慈善団体は、貧困の増大などに対応する活動の準備を始めている。イタリア司教協議会の公式ウェブサイトで掲載された記事で、イタリア国営食料銀行のジョバンニ・ブルーノ社長「新型ウイルス感染拡大防止のための規制の解除は、段階的なものであっても、新型ウイルスによって聞き起こされた問題を去らせることはないだろう」と語り、例えば今も、食糧支援を求める人は増加を続けている、として、南部の町、コゼンツァの場合、この二週間で、食糧支援の対象者が十倍の600人に増えたことを挙げた。イタリア全体でも支援者数は4割増えており、地域的には南部に集中している。現在の支援者数は約150万人だが、今後数か月でさらに大きく増えると見ている。
カトリックの国際慈善団体、カリタス・インターナショナルでは、支援基金の開設など、新型コロナウイルスによる被害者対策で具体的な動きを始めているが、カリタス・イタリアは22日に出した声明で、「第二段階」に備える際の、潜在的な問題について「貧困の拡大と不平等の増大、そして、これによる新しい社会的緊張が懸念される」と指摘。これらを回避するには、「迅速かつ断固とした行動が必要。その責任はすべての人にあり、個人の選択と公的機関の決定が重要となる」と言明し、カリタスは、最貧困層を始めとする家計の収入減少に早急に対処する全ての具体策の実施を支援する」と約束している。