「神は誘惑しない」と仏カトリック教会が「主の祈り」改定(CJC)

 【2017.12.11 CJC】フランスのカトリック教会が12月3日、「主の祈り」の改定を発表した。フランス語では、「主の祈り」を「ノートル・ペール」と呼ぶ。

 「主の祈り」で、日本のプロテスタント教会の多くが「我らをこころみにあわせず」と祈るところを、フランスでは「我らを誘惑に従わせないでください」と訳したものを1966年から使用してきた。しかし、これまでにも、信者が罪を犯すよう神が誘惑していると誤解されることがあった。そこでカトリック教会は改定を検討し、「待降節」(アドベント)初日の12月3日から、「われらを誘惑に入らせないでください」という訳で祈っている。プロテスタント教会にも、これを承認したところもあるという。

 カトリック教会の典礼責任者ギー・デ・ケリメル司教(グルノーブル教区)は、AFP通信に「訳自体は間違ってはいなかったが、解釈はあいまいだった」として、人々が新しい文言に慣れるまでは「しばらくは幾分かの不平が出るだろう」と語った。英紙『ザ・テレグラフ』が紹介している。

 新訳についてフランスでは少数派プロテスタントの福音主義協議会(CNEF)は、「神が人を誘惑する」という考えを避けることには同意するが、新しい「主の祈り」は「神の主権を水で薄めている」と指摘する。

 日本では、プロテスタント教会は「我らをこころみにあわせず」という文語訳を使用しているところが多い。カトリック教会と聖公会は2000年に共通の口語訳を制定し、「わたしたちを誘惑におちいらせず」という訳を用いている。正教会は、主の祈りを「天主経(てんしゅけい)」と呼び、「我等を誘に導かず」としている。

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2017年12月12日