☩「自分に問いかけよう-私の信仰は喜びに満ちているか-と」洗礼者ヨハネの誕生

(2018.6.25 「カトリック・あい」)

 教皇フランシスコは24日の日曜正午の祈りの集いで、以下のようにお話になった。バチカン発表の全文以下の通り。

 兄弟姉妹の皆さん、おはよう!

 今日の主日の典礼は洗礼者聖ヨハネの誕生を祝います。彼の誕生は、両親であるエリザベトとザカリアの人生を明るく輝かす出来事でした。そして親類や近所の人たちを喜びと驚きに巻き込みました。

 この年老いた両親はその日を夢に見、準備していましたが、それが実現するとは期待していなかった-(その夢が)拒まれ、侮辱されたと感じ、失望していたのです-彼らには子供がいませんでした。子が生まれると告げられて(ルカ福音書1章13節参照)、ザカリアはそれを容易に信じようとしませんでした。自然の法則がそれを許さなかったからです-二人とも歳をとっていましたから。

 それで、主は彼をエリザベトが妊娠している間、口がきけないようになさいました(20節参照)。それは合図です。しかし、神は私たちの論理、私たちの限られた能力に頼ることはなさいません。私たちは学ばねばなりません-神の神秘に出会った時、信じて、黙って受け入れること、そして、謙遜の心をもって、静かに、神の業を深く考えることを。神の業は、歴史の中に現れ、私たちの想像を頻繁に超えます。

 そして、この出来事が起き、エリザベトとザカリアが「神にできないことは何一つない」(37節)ことを経験して、彼らの喜びは素晴らしいものになります。今日の福音書の箇所(ルカ福音書1章57⁻66節、80節9で、誕生が告げられ、その子の名を付けることに焦点が向けられます。エリザベトは、一族の伝統には無い名を選んで、言います-「名はヨハネとしなければなりません」(60節)-代価を求めない、予想しない賜物だから―ヨハネは(ヘブライ語でヨーハーナーン יוחנן Yôḥānānで)「主は恵み深い」を意味します。そして、この子は(イエスの宣教の)先駆けとなり、慎み深い信仰をもって、救いを待つ貧しい人々への賜物の証人となります。ザカリアは意外なことに、その名を板に書いて、念を押します-口がきけないようにされていたので-すると、「たちまちザカリアは口が開き、舌がほどけ、神を賛美し始めた」(64節)のでした。

 洗礼者ヨハネの誕生の全体の出来事は驚き、感嘆、そして感謝の喜びで覆われました。驚き、感嘆、感謝。人々は神に聖なる恐れを感じ、「このことすべてが、ユダヤの山里中で話題となった」(65節)のです。兄弟姉妹の皆さん。信仰ある人々は何か偉大なことが起きたことを理解します。たとえ、それが控えめで、隠れていてもです。そして、尋ねます。「いったい、この子はどんな人になるのだろうか」と。信仰ある神の民は喜びをもって信仰生活を送ります-驚き、感嘆、そして感謝をもって。私たちは、この素晴らしい出来事について、ヨハネ誕生の奇跡について、人々が、驚き、感嘆、感謝のうちに、口々に話し、喜んで話し、幸せな思いをしているのを目の当たりにします。

 そして、このことを目の当たりにして、自分に問いかけましょう。「私の信仰はどうだろうか?」「喜びをもった信仰だろうか、それとも、いつも同じ信仰、”平板”な信仰だろうか?」 主の業を見る時、聖人の福音宣教あるいはその人生について聞く時、あるいは、たくさんの善い人々を目にする時、私は驚きを覚えます-私は心の内に神の賜物を感じるでしょうか、それとも心の内に何の動きもないのでしょうか?聖霊が慰めてくださるのを感じることができるでしょうか、それとも心を閉じているのでしょうか?

 自分たち一人ひとりに聞きましょう。良心を究明する時に。「私の信仰はどうだろうか?」「喜びに満ちているだろうか?」「神の驚きの業に心を開いているだろうか?神は驚きに神なのだから」。「心で”味わった”ことがあるだろうか―神の存在が示される驚きを、感謝を?」

 次のような言葉-信仰の極意-について考えましょう-喜び、驚き、驚嘆、そして感謝。「私の信仰はどうだろうか?」「喜びに満ちているだろうか?」「神の驚きの業に心を開いているだろうか?神は驚きの神なのだから。「心で”味わった”ことがあるだろうか―神の存在が示される驚きを、感謝を?」。

  聖母マリアが、一人ひとりの人間に「命の源である神の印がある」ことを理解するように、私たちを助けてくださいますように。神の母、そして私たちの母は、「子の誕生において、両親は神の協力者として働くのだ」ということを、私たちがさらにもっと知るようにしてくださいます。真に崇高な使命-それは、それぞれの家庭を命の聖域とし、子の誕生のたびに、喜び、驚き、そして感謝を目覚めさせることです。

(「カトリック・あい」南條俊二訳)

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2018年6月25日