欧米の主要メディアが8日付けで伝えたところによると、李 克強首相が北京で開催中の中国全国人民代表大会(全人代=国会)で行った政治活動報告の中で「宗教の中国化」推進を言明。「我々は、宗教に関する党の基本政策を完全に遂行し、中国における宗教の中国化を堅持せねばならない」と強調した。
一方、北京で同時並行的に開かれている中国人民政治協商会議では、会議に参加した政府・党公認の”地上教会”のカトリック司教たちが昨年9月の中国・バチカン暫定合意(中国当局が一方的に任命していた司教たちを教皇が承認するもの)を支持することを確認した。
カトリック系のニュース・メディアucanews.comが7日付けで報じたもので、会議に出席した福建省閩東教区の Vincent Zhan Silu 司教は3日付けの香港の日刊紙、星島日報で「合意は、バチカン、中国双方にとって益をもたらすものであり、中国における教会の一致と健全な発展に資するものだ」と述べ、カトリック信者が政府公認の教会に強制的に加盟させられることに聖座が反対した、と聞いて驚いている、としたうえで、「教会が一つになる時には、政府公認(の教会)も政府非公認(の教会)もなくなる」と語った。
さらに、それが(教皇に忠誠を誓い、中国の政府・党の管理・統制に反対する)”地下教会”を強制的に消滅させることにならないか、との記者の質問には、「教会が統一されないほうがいいのですか。教会の分裂は信徒が望むことではありません」とし、さらに「公認教会への参加を拒んでいるカトリック信徒は彼らの個人的利益のためにそうしているのです」と反論。地下教会を統合する具体的な日程表はない、とも語った。
政府・党公認の中国天主愛国協会の副会長で四川省楽山教区の Paul Lei Shiyin 司教は同紙に、「暫定合意が年内に完全実施されると楽観している… 教会に対する規制が、信教の自由に影響を与えることはない」とする一方、内モンゴルのPaul Meng Qinglu司教は、暫定合意は2年で期限切れとなり、中国とバチカンは新たな合意について協議することになろう、との見通しを述べた。
注目されるのはバチカンの対応だ。アジアなど”宣教地域”の教会を管轄する福音宣教省長官のフェルナンド・フィローニ枢機卿は2月26日から3月6日にかけて台湾、香港、マカオを歴訪したが、5日の香港でのミサの後、「(昨年9月に結ばれた)合意は暫定的なもので、今後、改善する必要がある」と述べた。昨年9月の暫定合意以降、バチカン高官が公に合意見直しの可能性に言及したのは初めてとみられる。
暫定合意では、中国の政府・党が一方的に任命していた司教8人を教皇が承認したが、その一方で、教皇が任命し、中国共産党が認めていなかった”地下教会”の司教30人のうち、暫定合意後、これまでに中国当局が承認したのは一人だけだ。
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