・政府公認のプロテスタント指導者が”中国化”称賛-「西側勢力はキリスト教を政治利用」と

(2019.3.16 カトリック・あい)

 中国政府公認のプロテスタント組織、三自愛国運動全国委員会のXu Xiaohong委員長が、北京で開催中の中国人民政治協商会議に出席し、中国のキリスト教教会は「西欧の痕跡」と「帝国主義的影響」を排除せねばならない、と訴えた。カトリック系の有力インターネット・メディアucanews.comが15日付け香港発で伝えた。

 ucanews.comによると、委員長は11日、同会議で「キリスト教の中国化に対する支持、社会主義社会への積極的な適合」と題して演説。中国政府・共産党が進める「キリスト教の中国化」を称賛するとともに「西側勢力は中国の政権を覆そうとして宗教を利用している」と批判、「西側の反中国勢力は、キリスト教を通して、中国の社会的安定に影響を及ぼし、政権を倒そうとしているが、そうした試みは失敗を運命づけられている」と決めつけ、「中国は外国勢力によって汚されてきた。彼らは植民地主義の侵略者としてこの国に来て、宗教を広め、中国の教会を”独立運動”へと駆り立て、”現地化された思考”の引き金を引かせた」と強調した。

 そのうえで、委員長は、中国共産党を「西側の手からキリスト教を引き戻し、中国の伝統を大切にする中国文化に適合するやりかたでキリスト教を解釈しようとしている」とたたえ、共産中国の初代首相、周恩来氏の言葉を引用する形で、中国のプロテスタント教会は「自分自身(の個性)を持たねばならず、三自原則による国民意識を高め、帝国主義者の影響と権力を阻ばねばならない」と訴えた。キリスト教の中国化への主要な障害として、海外からの侵入、登録なしの宗教的場所、司牧者の愛国心の欠如、信徒の法的問題への認識の低さ、などを挙げ、「宗教の名において中国の国家的安全に挑もうとする者は全員、法の裁きを受けねばならない」と強調したという。

 中国は習近平・国家主席の下で、信教の自由を否定、弾圧の姿勢を強めており、特にキリスト教徒、チベット仏教徒、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒への締め付けが厳しさを加えている。仏教寺院では中国共産党の英雄の写真を掲示することが命じられ、国内の各所で聖書の販売が禁止され、新疆ウイグル自治区の何十万人もの回教徒が”政治再教育収容所”に送り込まれている。

 ucanews.comによると、香港のプロテスタント系の建道神学院のKiven Choy Siu-Kai院長は「こうした事態は世界のキリスト教指導者たちに警鐘を鳴らすもの」とし、「私たちは、キリストの使徒たちが語った『我々は人間でなく、神に従わねばならない』という言葉から、学ぶ必要がある」と訴えている。

 

 

 

 

 

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2019年3月16日