・教皇、”反マフィアの闘士”の元検事をバチカン市国の裁判所長官に任命(La Croix)

(2019.10.4 LaCroix Rome Nicolas Senèze)

  バチカン国務省の不祥事発覚で、徹底解明へ素早い対応―  教皇フランシスコが3日、ローマの前検事で組織犯罪追求のプロ、ジュゼッペ・ピグナトーネ氏をバチカン市国裁判所長官に任命した。

 氏は、イタリア・マフィアの頭目たちを歴史的な刑事訴追に追い込んだ実績を持つ。人事は、バチカンで発覚した国務省がからむ横領事件が発覚したのを受け、教皇が毅然とした対応をとることを示すものだ。

 ピグナトーネ氏は70歳、マフィアとの司法による戦いを45年続けてきた。シチリア出身でパレルモ大学卒業。1974年に弁護士となり、1977年からシチリアで検察庁に入った。仲間の検事二人と共に秘密結社犯罪集団の「コーサ・ノストラ」と前パレルモ市長でシシリーの首長も努めた腐敗政治家を逮捕、起訴に持ち込んで名を挙げた。マフィアからの脅迫もしばしば受け、庁舎の自室を狙った襲撃を受ける危険もあった。

 2012年にローマの検察官となり、企業汚職や資金洗浄などの企業犯罪の摘発。首都マフィア摘発チームと連携してローマ市の上級幹部とマフィアの癒着を暴いた。今年5月、定年を迎え、検察官としてのキャリアを終えていた。

 地元紙によると、これまでもバチカン入りは検討されていたが、教皇の判断で任命が早まった、という。バチカンの国務省と金融情報管理室で9月30日にバチカン司法当局が開始した捜査と関連した人事で、この案件が、ピグナトーネ氏の初仕事となる。

 バチカンの司法当局はこれまで軽犯罪以外の貧弱な対応能力で批判されてきたことから、今回の”難問”を前にして、熟練の検察キャリアの登場に大きな期待が寄せられている。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年10月5日