中国共産党系新聞「バチカンと早晩国交回復、教皇フランシスコの”英知”が問題解決」と(Tablet)

(2018.2.6 Tablet  Christopher Lamb)

  中国共産党機関紙「人民 日報」系列の海外ニュース中心のタブロイド紙「環球時報(the Global Times)」が、社説で、バチカンと中国政府が早晩、外交関係を復活させる、との見通しを示し、交渉に関するいかなる問題も教皇フランシスコの”英知”で解決されるだろう、とエールを送った。バチカンと中国政府の間で、中国におけるカトリック教会の司教任命について間もなく基本合意に達する、との報道を受けたもので、実現すれば、中国がバチカンとの国交を断絶して以来70年にわたる懸案だった中国のカトリック信徒をめぐる状況の正常化、国交回復のための重要な扉が開かれることになる。

 バチカン筋が先週明らかにしたところによると、教皇の承認を得ず国家管理の教会のもとで司教になった7名の破門を解くバチカンと中国政府の取り決めが、準備されている。

 中国のカトリック教徒は、共産党政府管理の「中国天主教愛国会」と教皇に忠誠を誓う「地下教会」に分裂させられている。バチカンと中国政府の合意は、中国政府がバチカンに対して、これからの司教任命の権限を認めるのと交換に、政府が事実上叙階した司教をバチカンが承認する、という内容になる、と幅広い関係者の間で予想されている。同時に、中国当局が司教任命についてある程度の権限を維持する可能性も高い。

 中国人で上海など中国本土で長く活動してきた前香港司教の陳枢機卿は先週、バチカンが進んでいる方向は、中国のカトリック信徒の”売り払い”にあり、中国政府と(正常な)交渉をするのは不可能、と言明。さらに、中国政府との交渉にあたっている教皇の補佐役たちは独断専行している(バチカン側は強く否定しているが)と非難した。

 中国政府はこれまでのところ、この問題についてほんのわずかの言及しかしていないが、その例外ともいえるのが環球時報の社説で、「中国・バチカンの関係がこれまでより明確な形をとっている」という見出しを掲げ、バチカンがこのほど、中国と同じ共産党支配のベトナム政府と司教任命について合意に達したことを引き合いに出し、(中国政府とも同様な合意をすることは)カトリック教徒たちにとって”きわめて有益”であり、中国人民は教皇に敬意を示すことになるだろう、と述べている。

 この社説はさらに「中国政府とバチカンは早晩、外交関係を樹立することになるだろう」「中国の外交官たちは、中国の国益とカトリック教徒の宗教心を計算に入れて、交渉をうまく運ぶことができる」と展望し、「教皇フランシスコは、中国大衆に前向きのイメージを持っている。彼が中国とバチカンの関係を前進させ、彼の英知で関係の問題を解決していくことが期待される」と前向きの評価を下している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

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2018年2月10日