・聖地からの待降節メッセージ「平和は幻想ではなく、命を懸けた選択、勇気だ」

(2025.12.20 Vatican News *)

 聖地管区のフランシスコ会修道士 、イブラヒム・ファルタス神父からの待降節メッセージ

 暴力は死と破壊を生み、復讐は憎しみと苦痛を生みます。ガザやその他の戦火にさらされた地からのニュースや写真は、罪なく無防備な人々の肉体的・精神的苦痛を伝えています。そうした中で、聖なるクリスマスが近づいています。待降節の歩みは、平和をもたらす方の到来に備えさせてくれます。聖地では、平和への深い期待が寄せられており、平和を実現したい、という願いは、答えを求めています。

 長年にわたって、特に今年10月7日以降、私たちは死と破壊を生む暴力、憎しみと苦しみを増幅させる復讐について語り、書き記してきました。これは悪循環のようで、人間の最も暗い側面が優勢となり、連帯と理解への道は閉ざされ、さらなる悪を生み出す悪の連鎖を断ち切ることはできません。ガザやその他の戦禍に苦しむ地域からのニュース報道や映像は、無数の罪なく無防備な人々の肉体的・精神的苦痛を明らかそれらに対するそれらに対する直後の反応は、怒りと多くの人類の感情的な関与によって特徴づけられています。

*絶望的な状況を、教皇や各国首脳による仲介の努力も、変えられずにいる

 すでに長い間、許容可能な暴力の限界を超えています。ガザでは、爆撃、衝突、爆発、そして生活必需品・医療・医薬品の不足など、死と破壊をもたらす複数の要因を目の当たりにしてきました。 教皇や各国首脳による仲介努力を含む無数の訴えも、この絶望的な状況を変えることも解決することもできませんでした。ガザに届けられた支援物資や、緊急の医療を必要とする人々の限られた避難可能性は、大海の一滴に過ぎません。

 一体何が人間を苦しみを続けるように駆り立てるのでしょうか。無力感を具体的な支援と連帯の行動によってどう克服できるのでしょうか。これほど多くの言葉と苦しみを経てもなお、戦争という悪に対する「無関心」が広がっているように見受けられます。介入できる立場にありながら行動を起こさない者たちを非難する「勇気」を、「恐怖」が阻んでいるようです。「沈黙」が私たち全員を共犯者にしてしまうという事実を、認識することが難しくなってきています。

 ガザ地区とヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区の周囲には、いわゆる「許可されていない者」、人道支援関係者、ボランティア、ジャーナリスト、国際監視員の立ち入りを防ぐため、物理的な、目に見える壁が築かれています。聖地の戦域周辺には、真実へのあらゆる道を遮断する障壁も築かれているように見受けられます。その真実こそが、正義によって命を救い、疲弊した人々に人間の尊厳を取り戻させる可能性を秘めているのです。

*非人道的な状況にある人々を救うのを阻んでいるのは何、誰?

 

 非人道的な状況に追い込まれた絶望的な人々を、人類が救うことを阻んでいるのは何でしょうか。あるいは、誰でしょうか。彼らの弱さが、恐ろしいのでしょうか。彼らの絶望が、私たちの良心を揺さぶらないのでしょうか。経済的利益を優先する選択をするのは誰でしょうか。死と破壊をもたらす軍事費を増大させ続けるのは誰でしょうか。悲しみに押し潰された男女、子供、高齢者、無力な者、病める者といった、暴力の容易な標的を敵として扱うのは誰でしょうか?

 資源が豊富にあり、容易に入手できるにもかかわらず、なぜ食料を与え、治療し、温もりを与えることを拒むのでしょうか? 検問所やチェックポイントのすぐ向こう側で容易に入手できる医薬品に依存している人々に、なぜ生きる機会を与えないのでしょうか? ガザで三度目の冬が訪れ、連帯の温もりなくして、人々の心は無関心に凍りついたままなのでしょうか?

 

 

*「答えのない問い」への答えは、冷たい暗闇でお生まれになった御子にある

 これらの答えのない問いは、区別なくすべての人々に向けられています。なぜなら、この非人道的な状況に対して、私たち全員が責任を負っているからです。しかし、答えはあります。飼い葉桶の冷たい暗闇の中で生まれた、布に包まれた御子こそが、平安なき心に平安をもたらすのです。聖なる御子は、兄弟姉妹を和解させ、無垢で弱い者を守り、「隣人愛こそが唯一の真実だ」と宣言するために来られたのです。

 クリスマスシーズンだけでなく、毎日、ベツレヘムの馬小屋から届くメッセージを思い起こし、幼子イエスを称えましょう。このメッセージは、二千年以上経った今も真実であり、私たちの心に響くものです。

 平和は「幻想」ではなく、命をかけた「選択」です。平和は口にした瞬間に意味を失う言葉ではありません。平和とは「勇気」です、救い主の真理を助け、証しする「勇気」です。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2025年12月21日