・欧州のカトリック諸団体、環境回勅「ラウダー・ト・シ」推進へ協力改めて誓う

(2021.5.29 Vatican News  Lisa Zengarini)

 地球温暖化防止と社会正義の促進に協力する欧州のカトリック諸団体の連盟が、「ecological conversion(自然環境保全への回心)」と「integral ecology(総合的な自然環境保全)」のためにさらなる協力を進めるという誓いを新たにした。

  教皇フランシスコの環境回勅「ラウダー・ト・シ」発出6周年を記念して27日にELSi’A(「倫理的・法的・社会的な課題」連盟)が主宰して開いたオンライン・イベント第4回Laudato Si’ Reflection Day で合意されたもの。欧州司教協議会連盟(COMECE )、カリタス・ヨーロッパ、イエズス会欧州社会センター、 カトリック社会正義運動諸団体、カトリック地球温暖化防止運動などから100人以上がが参加した。

*「夢、計画、道」

  「夢、計画、道」と題されたオンラインイベントでは、長期的な思考の重要性と、創造性のより良い醸成に向けた欧州における教会と地域共同体社会の役割、そして、「ラウダー・ト・シ」のもたらす長期的な影響を基礎に置くことなどに焦点が当てられた。

*人類が新たな道を共に作る

 開会のあいさつで、ELSi’A の名誉会長で欧州司教協議会連盟(COMECE )会長のジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿(元上智大学副学長、イエズス会士)が、世界が直面している多面的な危機と、そうした現状にどのように変化をもたらすことができるかについて語り、人類が新しい道を共に作り、調和の中で生きる「地球共同体」が可能であることを強調した。

 

*世代間の連帯の必要性

 続いて発言した人々の中には、教皇フランシスコが強調しておられる「長期的な思考」「世代間の連帯」を強調し、目先のことや現在の専制政治的傾向に囚われないようにすべきだ、との主張や、地球の未来は、天然資源の枯渇につながるような経済成長を追い求めるのでなく、循環型の無駄のない経済を作り出すことでバランスの取れた繁栄を可能にする持続可能な経済モデルを目指すべきだ、との主張が目立った。

 また、これまでの政治、社会、経済に変化を起こすために、市民と政治指導者が共に関与させることが重要である、との指摘も目立った。

*「ラウダー・ト・シ」の原則を実践する具体的な取り組み

 このイベントでは、各地域レベルで「ラウダー・ト ・シ」の原則を実践する具体的な取り組みについて学ぶ機会も提示され、具体的手法として、カトリックの地域共同体が環境保全の取り組みに参加して環境保全とカトリックの社会教説のつながりを示す、いつくかの草の根プロジェクトや啓発プログラムなどが挙げられた。

*「貧しい人々を犠牲にしない」環境保全へ

 イベントの後半では、カトリック教会と欧州連合の視点から、地球環境保全のための協力の目標と分野を特定するのに役立つ問題提起があった。バチカン人間開発省のアウグスト・ザンピーニ次官補は、教皇が繰り返し警告されている「無関心のグローバル化」に世界の人々が陥る危険性を指摘する一方、「これまで各国、関係機関、団体がとって来た政策は根本的に変えねばなりませんが、それは、あくまで貧しい人々を犠牲にしない形での変更です」と述べた。

*公正な未来の夢の実現

 イベントの最後に、カリタス・ヨーロッパのマリア・ナイマン事務局長は、たとえそれが急進的なものであっても、必要な変化を恐れないこと、を強調し、「教会は、『道』を一人ぼっちで歩んでいるのではありません。長期的な計画が求めれており、『ラウダ・ト ・シ』で教皇が説かれておられる『夢』を単なる夢想に留まらせないようにすることが必要です」と訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年5月30日