・戦争で荒廃したスーダンで2500万人が飢餓状態に飢餓が”武器”化している (2025.10.8 Crux |Africa Correspondent Ngala Killian Chimtom) 2021年から長期の内紛が続くスーダンでは、国連によると、少なくとも4万人が死亡し、1300万人以上が避難を余儀なくされ、2500万人が深刻な飢餓状態に ある。 その中で、北ダルフール州都、エル・ファーシャーでは、紛争の一方の当事者である軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」が38キロ以上にわたる土塁を築いて町を封鎖。食糧や医薬品を運び込めなくなっており、100以上の市民社会組織(CSO)と人道支援団体、複数のカトリック団体が「飢餓が”武器化”されており、子供たちを含む25万人以上が餓死する恐れがある」と警告を発している。 「この土塁により、RSFと連合民兵組織はを遮断し、市民の脱出を妨げることで、民間人に対する締め付けを継続できる」と、南アフリカ司教協議会デニス・ハーリー平和研究所やパックス・クリスティUSAなどのカトリック団体を含む市民社会組織(CSO)と人道支援団体の連合体は10月2日の共同声明で述べた。 国連児童基金(ユニセフ)は、この事態を「壊滅的な悲劇」と呼んだ。キャサリン・ラッセルユニセフ事務局長は「私たちは壊滅的な悲劇を目の当たりにしている。アル・ファーシェルの子供たちが飢えに苦しむ一方で、ユニセフの命を救う栄養支援が妨げられている」と述べた。 「人道支援へのアクセスを妨げることは子どもの権利に対する重大な侵害であり、子どもたちの命が危機に瀕している。ユニセフは、支援を必要とする全ての子どもに届くよう、戦闘の一時停止拡大を含む即時かつ完全なアクセスを継続して要求する。子どもは常に保護され、命を救う支援を受けられる権利がある」と。 ユニセフはさらに、2024年4月に包囲が始まって以来、1100件以上の「重大な侵害」を目撃したと報告している。これには1000人以上の子どもの殺害や身体損傷が含まれる。数十人が性的暴力に遭い、他の人々は武装集団に拉致または徴用されたという。実際の規模はさらに大きい可能性が高いと同機関は述べた。 市民社会組織(CSO)と人道支援関係者は、「毎日の砲撃の中で脱出することのできない”野外監獄”と化し、市民が飢餓、致死性のコレラ流行、残虐行為の絶え間ない脅威に晒され、途方もない規模の人道的惨事を招いている」と訴え、「最近エル・ファーシャーから脱出した民間人の証言によれば、男性や青年が路上殺害されており、毎日の砲撃が続く中で、エル・ファーシャーを離れることは残留するよりも危険な状況だ」と述べた。 エル・ファーシャーで起きている事態は、2023年4月に勃発したスーダン内戦の全体像を反映している。スーダンでは、2019年にオマル・アル=バシール大統領が失脚した後、軍と民間の連立政権が樹立されたが、これも2021年10月のクーデターで打倒された。 クーデターの中心人物であるスーダン軍司令官アブデルファッターフ・アル=ブルハンとRSF(準軍事組織)指導者モハメド・ハムダン・ダガロは、RSFを軍に統合して新軍を編成する計画をめぐって対立。両者とも自らの権力基盤を確保したいと考えており、これが現在の紛争を引き起こし、衝突は首都ハルツームで最初に発生したが、すぐにRSFの拠点であるダルフール地域を含む国内の他の地域へ拡大した。 カトリックのスーダン・南スーダン司教協議会で牧会・社会コミュニケーション調整官を務めるジョン・グベンボヨ神父は「スーダンの状況は深刻。平和的解決が見出せない理由の一つは、双方が交渉ではなく勝利を目指していることだ。勝利か死かの二者択一であり、ウィンウィンの解決策を目指す意志は遠く及ばず、国は崩壊寸前に追い込まれている」とCruxに語った。 市民社会組織(CSO)と人道支援関係者の連合体は10月2日付の書簡で、国際社会を「スーダン戦争への対応における世界的な麻痺状態」と非難し、これが「国内全域での人命損失」を助長していると指摘。「非難の言葉だけでは、エル・ファッシャーの命は救われない。閉じ込められた人々の虐殺が続くのを防ぐため、断固たる行動を取って欲しい」と世界の国々や国際機関に求めた。 そして、「スーダンにおける民間人保護の脅威に対処する最善策は、全国的な包括的停戦。そのための交渉が続く間も、エル・ファッシャー住民の保護のための行動が取られねばならない」とし、「国際人道法に基づき、紛争当事者全員が民間人の安全を尊重・遵守する拘束力のある合意を得て、人道アクセス計画を緊急に策定・実行する必要性」を訴え、「外交団、地域機関、国際機関関係者が安全な通行と人道アクセスに関する交渉を積極的に推進し、民間人の妨げられない避難を確保すべきだ」と訴えた。 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二) ツイート