(2017.1.20 Crux バチカン特派員 イネス・サン・マーチン)
ドナルド・トランプの米大統領就任式の日、教皇フランシスコは伝統に従って、就任を祝う電報を新大統領に送り、貧しい人々への配慮を第一にするよう、強く求めた。
教皇は祝電を、「全能の神」への祈りから始め、「私たちの人間家族が深刻な人道上の危機に悩まされ、思慮分別のある一致した政治的対応が求められている時に当たって、私は祈ります。あなたのこれからのもろもろの決断が、米国民の歴史を形作ってきた豊かな霊的、倫理的な価値観と米国が続けてきた人類の尊厳と自由の促進への努力によって、導かれますように」と期待を表明した。
159語の祝電ではまた、トランプ政権下での〝アメリカ像″の尺度が「何よりも貧しい人々、社会からのけ者にされた人々、そして私たちの家の扉の前に立っているラザロのように、助けを必要としている人々、への配慮」であり続けるように新大統領に求めた。
締めくくりで、教皇は、新大統領とその家族、アメリカの全国民に「平和と和合と物的、霊的繁栄の恵み」を与えてくださるように、と神に祈りをささげた。
教皇が一国の大統領の就任式に祝電を送るのは一般的ではないが、今回のことは必ずしも予想外のことではない。通常の外交儀礼ではないが、イタリアや米国のように国家元首の就任にあたって祝電が送られるようなケースもある。
教皇は2015年に母国アルゼンチンのマウリシオ・マクリー大統領の就任にあたって祝電を送り、問題になったことがあるが、米国大統領への祝電はベネディクト16世がオバマ大統領に、ヨハネ・パウロ2世がブッシュ大統領に送っている。いずれの祝電も米国民の「素晴らしい」あるいは「豊かな」宗教的、政治的伝統、個々人の尊厳の権利への敬意、「特に貧しい人々、無力な人々、声を挙げられない人々」への配慮、について語っていたが、ベネディクトは「無力な人々」の代わりに「社会からのけ者にされた人々」という表現を使った。
教皇フランシスコの祝電がこれらに共通しているのは、米国の新大統領が「世界の人々と理解し合い、協力して、平和を育てていく」よう求めていることだ。