North Korean flag. (Credit: Katherine Welles / Shutterstock.)
(2017.5.15 マット・ハドロ CNS /Crux) 北朝鮮の共産主義独裁政権は世界最悪の人権侵害をしているとみなされているが、脱北者で宣教師のキム・チャンソン氏は、現在、韓国のキリスト教系ラジオ局から北朝鮮向け呼びかけを続けている
(ワシントン発) 北朝鮮政府はキリスト教徒弾圧のためにあらゆる手段を尽くしているが、キム・チャンソン氏によれば、キリスト教を信仰する人々は拡大を続けている、とし、この国で信教の自由が確保されるように祈り、行動するよう呼び掛けている。
キム氏は記者にこう語った。「世界のすべてのキリスト教共同体が北朝鮮のキリスト教徒が神の福音を広げていくのを助けてくれるように、と私は祈っています。地下の教会組織網を作る努力だけでなく、彼らが真剣に祈っている信教の自由を北朝鮮政府が受け入れるように、と」。
キム氏は2004年に北朝鮮から韓国に脱出した、キリスト教徒で宣教師。ワシントンで5月11,12の両日開かれた「迫害されているキリスト教徒を守る世界サミット」の初会合に出席した。ビリー・グラハム宣教協会が主催したこの会合には世界130か国・地域からプロテスタント、ギリシャ正教、カトリックの代表が参加し、実際に迫害を受けた信徒も証言のために出席した。
11日に基調演説をしたマイク・ペンス米副大統領は「信教の自由を守り、推進することは、トランプ政権にとって外交政策の最優先事項の一つです」と言明し、世界中で迫害されているキリスト教徒、そして他の信仰を持つ人々のために祈り、支えることを約束した。副大統領に続いて12日には、カトリック・ワシントン大司教区のドナルド・ワール枢機卿も基調演説を行った。
会合では、キム氏も報告を行い、現在の活動について、韓国のキリスト教系ラジオ局から連日、北朝鮮向けの放送を続けているほか、福音のメッセージ、キリスト教音楽、そして世界のニュースをUSBやSDメモリーに入れて、北朝鮮の人々に届ける活動に参加している、という。
「ですが、私のいちばん重要な仕事は、北朝鮮の人々の心にイエス・キリストを満たすことです。真理は人々を自由にするからです。真理が北朝鮮の兄弟、姉妹たちひとりひとりを自由にしてくれるように、心から祈っています」。
世界の信教の自由に関する米国委員会の2017年年次報告は、「信教の自由は北朝鮮には存在せず、深刻な抑圧状態にある」とし、「北朝鮮政府は、宗教を信じる人々を逮捕、拷問、投獄、そして、処刑によって、迫害を続けている。投獄された者は政治犯矯正収容所に送られ、筆舌に尽くしがたい扱いを受けている」と糾弾している。
信徒迫害の摘発を進めるOpen Doors UKも最近の報告で、北朝鮮は(政府・共産党のやり方に)異議を唱えることを赦さず、国家指導者のキム・ジョンウン崇拝を強要しており、「キリスト教徒にとって地球上で最悪の場所になっている」とし、人口2540万人のこの国にはキリスト教徒が30万人いるとされ、うち5万人から7万5000人が強制労働収容所に入れられている、と推計している。
キム氏によれば、宣教師がこの国に入り、福音を広めようとすると、「ブラックリストに入れられ、政府が活動を禁止します。彼らの半数以上が強制労働収容所に閉じ込められている」。だが、そのような劣悪な環境のもとでも、北朝鮮のキリスト教徒は「迫害によって強められ、その数は増えている」のだという。「北朝鮮の独裁政権は迫害の一方で、福音が広がっていくのを恐れている。なぜなら、聖書と福音は真理を語っているからです。暗い部屋の中で光が輝くと、部屋は明るくなるのです」。キリスト教徒が祈るために集まるのは「当局の摘発を免れるために、家庭集会に限定」される。自宅から出て、川岸や山麓など人目につかないところで祈りを捧げ、「建物の中では祈ることはできません。
またキム氏は、当局がキリスト教徒を摘発する手段として〝朝鮮キリスト教協会〟を使い、多くの人たちが「この協会が真正な団体だと信じるように教え込まれている」。この協会は、北朝鮮に信教の自由があるという誤った認識を国際社会にもたせることも狙っている。「このように、北朝鮮政府は、国内に福音が広がるのを抑えるために、あらゆることをしているのです」「それでも、太陽の光を妨げることは誰にもできない」。そして、北朝鮮のキリスト教信徒たちのために、とくにイエス・キリストに見出すことのできる自由のために、祈ってくれるように願った。「そして、南北朝鮮の統一が実現するようにお祈りをお願いします」と訴えた。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
