「いかなる国も臓器売買と無関係ではない」バチカン・サミットで(Tablet)

(2017.2.9 Catholic News Service/Tablet) 「いかなる国も、臓器売買と無関係ではいられない。世界的に広がっているこの問題への対応で協調する必要がある」。2月7日から8日にかけて、バチカンの科学アカデミーが世界各国の関係閣僚、裁判官、取り締まり当局者、医療専門家、人権活動家などを集めて開いた臓器売買に関する会議で、これが多くの参加者の意見だった。

 この会議で、マスコミの注目を集めたのは、バチカンが中国からも代表者を招いたことだった。中国に対しては、人権団体が「処刑者の臓器を移植に使っている」と批判しているが、バチカンは中国以外にも、臓器売買が問題になっている50以上の国、とくに臓器売買が合法化されているメキシコ、インド、パキスタン、イランからも代表者を参加させた。会議の最終セッションの司会を務めたバチカン・科学アカデミーの会員で臓器移植政策の専門家でもあるそフランシス・デルモニコ医師は、彼らを会議に招いた狙いは、こうした国々の政府、関係の専門家、組織が協力して対応するきっかけを与えることだった、という。

 会議資料によれば、会議が目指したのは、臓器売買と〝移植ツーリズム″の実態を明らかにし、その防止と法的な規制の枠組みについての考えを共有し、共通の目標を立て、関係するあらゆる立場の人々が臓器売買を止めるように協調体制をとることだった。協調体制は、検察官、法律専門家、政府、国連、その他の関係の公的機関で構成され、臓器移植を待つ多くの患者がいる中で、その提供者となる貧しい人々、弱い人々が増加していることを、まず認識することだ。

 そして、デルモニコ医師は、インドから参加した国立腎臓移植研究所のメンバー、サニープ・グレリア医師に「ただ話しているだけでなく、実際に現状を改めていくことが急がれているのです」と対応を求め、さらに、中国の国立臓器提供・移植委員会のファン・ジィフ会長に対して、「科学アカデミーは声明に、処刑者からの臓器摘出禁止を盛り込むことを求めます」と言明し、「それをあなたの政府が実行するために、私たちはどうすればいいのか」と問いただした。

 これに対して、ファン会長は、中国は文化、政治制度の面で「西側の国々とは異なる」とする一方で、現在の中国指導部は「とても開明的」であり、「中国で現在起きていること」を改めるようにとの、あなたの呼びかけを「強く支持する」と答え、改革への熱意を強調するとともに、「国際的な圧力よりも国際的な協力」が、中国を「世界と連携するように動く」ための助けになる、と述べた。グレリア医師は「私たちもそのような協力を約束する」と応じた。

 また米紙ロサンゼルス・タイムスのシャシャンク・ベンガリ・南アジア地域特派員は「問題は世界中に広がっている。誰もが無関係ではいられない」とし、各国の政府関係者や法律や医療の専門家に、世界の人々にこの問題への理解を広げるために、マスコミも活用するよう求めた。「ジャーナリストたちは臓器売買とその犠牲者たちに関する報道に熱意をもっており、読者が視聴者に強い影響を与えることができる。人々が多くの質問や意見を寄せてきている」と強調した。パキスタンの英字ニュース通信のナジハ・シエド・アリ記者も、「メディアは政府に説明責任を果たさせるために有効。隅の暗がりに光を当てることができる」とし、犯罪行為を医師たちが暴くための安全な手段ともなるが、一方で臓器売買をしている犯罪組織に〝復讐″される心配もある、と指摘した。

 カナダ・バンクーバーのセントポール病院の医薬専門家、ジョン・ジル教授は、医師たちには、海外で臓器移植を受けることを希望する患者たちに健康上の危険などについて説明する義務があるとし、「患者たちは臓器移植を、足の爪を切るように軽く考えている」と語り、臓器についての何の記録も保証もないままでの移植は、危険をもたらしかねない、と警告した。さらに、臓器が売買によるものなど、問題があると見た場合、医師は移植を拒否すべきだが、臓器移植を必要としている患者の中には、臓器提供者が貧しさゆえに、あるいは騙されてそうする、ということを知らない場合はとくに、臓器売買を軽く考える、と語った。

 また、ルギーのアントワープ大学のクリストフ・ヴァン・アッシェ教授は、医療情報の秘密漏洩を規制する法令が、医師に患者の個人情報を明らかにさせないために、医師たちが検察当局との十分な連携をとれなくなっている、と指摘し、「立法に携わる人々は、海外から有料で臓器の提供を受けることを患者が希望するなどのケースについては、情報開示を認める法律上の特例を設けるべきだ」と提案した。

 BBCで働いているアフガニスタン生まれのネルファ・ヘダヤト記者は、医療専門家と弁護士たちが共謀して偽のパスポートを提供するなどすることで、違法な臓器移植が可能になっている例もあることを挙げ、バングラデシュにおける臓器売買を調べた際、ある外科医から「誰も臓器売買で死ぬわけじゃないから、悪いことをしているとは思わない。命を救っているんだ」と言われたという。「医師たちは神のようになり、人助けをしていると思われている。そして、貧しい、脅しに弱い臓器提供者は、臓器売買者のゲームに取り込まれ、犠牲者が仲介者となって、さらなる臓器提供の犠牲者を生む、際限ない連鎖の〝ねずみ講″のようになっている」と警告した。

(翻訳・南條俊二=Tablet から許可を得て、翻訳、掲載をしています。“The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk

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2017年2月16日