・11月の全米司教協議会総会にオハイオ州の教区統合が諮られるー日本の教会は?(Crux)

Noting decline in numbers, Steubenville bishop seeks merger with Diocese of Columbus(2022.10.12 Crux  National Correspondent John Lavenburg)

 ニューヨーク 発= 米国でジェフリー・モンフォートン司教が2012年にスチューベンビル教区長に着任した時、住民の人口とカトリック信者数が減っているオハイオ州南東部の実情が教区にどのような影響を与えるか尋ねたことがある。それから10年、彼は、隣のコロンバス教区との統合に動いている。

 

 

*教区民はすでに4万人を割り、さらなる減少が避けられない

 

 モンフォートン司教は「私たちはこのままの状況を続けていくことができない。教区を維持するとしても、信者数はこれから10年先まで減り続けます」と述べ、 「教区事務所の職員や支援スタッフを減らせねばならず、それが福音宣教と人々に手を差し伸べる力を損なわざるを得ない時に、(今の教区をそのまま維持することは)神の民に対して公正なことでしょうか」と訴えている。

 スチューベンビル教区はオハイオ州の南東部13郡を管轄しているが、信者は4万人を割っており、教区の統合再編は緊急の課題だ。だが、教区の合併は容易ではない。

 司教によると、これまでに、教区の全信者に調査票を送り、この問題について認識してもらい、意見を述べる機会を作ってきた。そして、来月予定する全米司教協議会の総会で、その結果を説明する。全米の司教たちは投票によって、オハイオ、スチューベンビル両教区の統合の是非を判断し、合併が支持を得られれば、その結果を教皇フランシスコに送り、最終決定を求めることになる。

 モンフォートン司教が合併を考え始めたのは約1年半前、バチカンがスチューベンビル教区での信者の減少に懸念を示した時のこと。具体的な対応が必要であり、コロンバス教区の統合が最良の選択肢と思われる、との見方で、バチカンと見解が一致した。その半年後に、オハイオ州の司教たちが会議を開き、両教区の統合が最善の道との判断に全員が賛成した。

 だが、統合に賛成票を投じたコロンバス教区長のロバート・ブレナン司教が昨年11月にブルックリン教区長に異動となり、後任のコロンバス教区長として今年5月に就任したアール・フェルナンデス司教が「11月の全米司教協議会の総会で結論が出るのを待ちたい」と言明したため、統合の動きは一時棚上げとなっている。

 

 

*司祭は高齢化、信徒は30年で半分近くに減った

 

 モンフォートン司教が「統合が必要」と判断した最大の理由は、教区の司祭と信徒の”少子高齢化”だ。教区司祭は70歳以上が6人、60代が12人、50台が5人、40代が4人、30代が7人、20代に至ってはわずか2人。つまり、50歳以上の司祭が23人なのに対して、50歳未満は13人のみ、というわけだ。

 教区の信徒数について司教は、「現在の4万人弱から、今後10年以内に2万5000人を割るまで減るだろう」とみる。通常の日曜ミサの出席者数は1990 年に 2万5000人弱だったのが、2019 年には 1万3702 人と半分近くに減っている。

 統合相手とモンフォートン司教が考えているコロンバス教区は、20以上の郡を管轄し、信徒数は27万5000人。「スチューベンビル教区はもともとコロンバス教区から分かれてできた。だから、統合して元の形に戻るのは理に適っています」と司教は主張する。

 「統合の利点は、人的、物的資源の効果的活用が可能になること」であり、「コロンバス教区は私たちの教区よりも多くの人的、物的資源を持っており、統合によって、経済などの影響を吸収する力も強くなる」と、統合への期待を強める。

*「米国での教区統合は過去64年に2件、だが今後は頻繁になる」

 

 米国における教区の統合はこれまで、まれだった。2020 年に、アラスカ州ジュノー教区がアンカレッジ大司教区に統合され、アンカレッジ ・ジュノー大司教区となったが、それ以前の統合は1956 年のカンザスシティ教区とセント ジョセフ教区までさかのぼる。

  だが、モンフォートン司教は、「教区の統合はこれから頻繁になると思います。米国では、中西部と北東部で人口減少、信徒減少が顕著で、今後もその傾向は続くでしょうは多くの衰退が見られ、それは続く」 と予想する。

 統合相手のコロンバス教区長のフェルナンデス司教も、統合によって大きな教区の司教になることに理解を示しているというが、最終的な決定は教皇の判断だ。統合後の新教区の名前、小教区の統廃合などはまだ議論されていない。

 「11月の全米司教協議会総会の後の日程はまだ決まっていません。総会で統合に賛成を得られでも、成否はすべて教皇の手に委ねられているのです。それまで、私はここスチューベンビル教区の司教であり続けます。救いのために全身全霊を捧げます」と語っている。

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*日本の教会は‥16教区中、4万人割れが12教区、うち1万人割れが6教区も

 米国と単純な比較はできないが、日本の教会の現状は、カトリック中央協議会がまとめた「カトリック教会現勢2021」によれば、全国16教区のうち、信者が4万人を超えているのは東京、横浜、大阪、長崎の4教区にすぎない。札幌、仙台、新潟、さいたま、名古屋、京都、広島、高松、福岡、大分、鹿児島、那覇の12教区で4万人を割っており、うち1万人にも達していたいのは仙台、新潟、高松、大分、鹿児島、那覇の6教区。最も信者数が少ない高松教区は4332人と、東京教区などの大きな小教区一つの信者数にも満たない。このままの状態を放置し続けていいものだろうか。大いに疑問がある。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年10月14日