(2025.11.7 Crux Nicole Winfield, Associated Press)
ローマ発―先月、バチカンを訪れたチャールズ英国王から、大勢のテレビカメラに囲まれた感想を尋ねられた教皇レオ14世は、淡々とこう答えた—「慣れるものです」。
チャールズ国王はパパラッチ(スクープ写真を狙って有名人を追いかけまわすフリーカメラマン)に慣れた身だから、その境遇と自分を合わせたものだったのかも知れないが、この教皇のそっけない返事は、バチカン関係者が教皇に就いて最近注目していたことを裏付けるものにもなった。つまり、教皇職に慣れ、就任から半年を経て足場を固めつつある—ということだ。
5月の衝撃的な教皇選出と夏場の急激な学習を経験した後、教皇の優先事項が明確になりつつある。そして、前任者である教皇フランシスコとの共通点と相違点が浮き彫りになっている。
11月8日に教皇就任6ヶ月を迎えるにあたり、初のアメリカ人教皇のスタイル、本質、そしてカトリック教会をどこへ導くのかについて、これまでに明らかになった点をまとめてみよう。
*フランシスコ教皇との社会正義問題における継続性
教皇は先月、就任後初めての使徒的勧告である貧しい人々に照準を合わせた『Dilexi te(私はあなたを愛している)』を発表し、フランシスコ教皇とこの問題で完全に足並みを揃えた。フランシスコは亡くなる前に、この文書の執筆を始めており、レオが引き継いで完成させた。
その中でレオは、富裕層が「快適さと贅沢のバブル」の中で暮らす一方で、貧しい人々が社会の周縁で苦しんでいる現状を批判。貧困の構造的要因を解決する新たな取り組みを、強く訴えた。
レオはまたフランシスコの環境保護の遺産を受け継ぎ、新たな祈りの形式「被造物の保護」を用いた初のミサを主宰した。ローマ北部のバチカン所有地を大規模太陽光発電所に変える、というフランシスコの野心的な計画を承認し、バチカン市国を「世界初のカーボンニュートラル国」とする可能性を開いた。
レオがフランシスコに最も似ていたのは、10月23日にバチカンで先住民族グループや大衆運動の代表者と会談した際だろう。彼らはアルゼンチン出身のイエズス会士であるフランシスコ教皇が支援してきた人々だ。 フランシスコ教皇は社会の周縁に生きる人々を最優先し、「土地(tierra)、住居(techo)、仕事(trabajo)」という人間の基本的要件を求める彼らに寄り添うよう、教会を促していた。
レオは謁見でフランシスコの言葉を繰り返しつつ、それに独自の解釈を加え、自身の名付け親である教皇レオ13世が産業革命の黎明期に労働者権利問題に取り組んだ事実を指摘。「フランシスコの言葉に呼応して今日私は言う:土地、住居、労働は神聖な権利である。それらを勝ち取る戦いは価値あるものだ。そして私はこう宣言したい—『私はここにいる、あなた方と共にいる!』と」と語った。
両教皇の最高顧問であるミカエル・チェルニー枢機卿は、レオがフランシスコの政策を継承し、そのプロセスを推進している、と述べた。枢機卿は記者のインタビューで、政治の世界では「政権交代が断絶を示す場合もあるが、同じことが教皇交代にもあると考えるのは誤りです… 様式の差異は人物にあり、教えにあるのではありません」と強調している。
*レオの保守派との蜜月関係は続く
様式面では、レオが古風な教皇の在り方を好んでいることが明らかだ。最も日常的な場面を除き、赤いモッツェッタ(法衣の上着)と刺繍の施されたストールを着用している。準備された原稿に忠実に従い、典礼の遵守に規律を示し、フランシスコが時折見せたような機知に富んだ即興発言は控えている。
この姿勢は、フランシスコの非公式な態度に反発していた多くのカトリック保守派の心を掴んだ。レオはフランシスコが福音に基づいて説いた社会正義の多くの要点を踏襲しているが、そのスタイルと身振りがこれまで概ね保守派の人々の支持を得ている。
「私が耳にし、感じ取っているのは、彼が教皇職にもたらした成熟、規律、伝統に対する真の喜びです」と語るのは、保守派団体「Cardinal Newman Society」の創設者兼代表パトリック・ライリー氏だ。同団体は米国のカトリック系大学を伝統的教義の遵守度で評価している。
*旧ラテン典礼ミサが聖ペトロ大聖堂で”復活”
多くの(保守派の)人々は、レオが聖ペトロ大聖堂の後部祭壇で伝統的なラテン語ミサを許可した功績を認めている。そのミサの司式者は、米国のカトリック右派の象徴的存在であるレイモンド・バーク枢機卿だった。
フランシスコは2021年、この旧ラテン典礼によるミサを厳しく制限したが、バーク枢機卿は、それが教区内の分裂の原因となっている、としている。保守派・伝統主義者のフランシスコへの反発を煽り、古くからの典礼論争に新たな膠着状態をもたらした、とされる。だがレオは、伝統主義者との対話に意欲を示しており、緊張緩和の可能性を示唆している。
「私たちは教皇を愛し、彼のために祈っています」と、伝統主義者の年次巡礼中にラテン語ミサに参加したクリスティーナ・ティニョは語った。彼女と共にいたのは夫と、自宅で教育を受けている娘。娘も母親に倣い、頭にレースのベールをまとっていた。
*新たな道を切り開く意思
フランシスコとの継続性を保ちつつも、レオは独自の道を歩み、必要に応じてフランシスコの路線を”正す”ことさえある。
方針転換の一例として、レオはバチカン銀行に財務権限を集中させたフランシスコの2022年法を廃止した。そして、新たな法令を発布し、聖座の投資委員会が財務的に合理的と判断した場合、バチカン以外の銀行を利用することを認めた。
レオはまた、聖職者による性的虐待の被害者のグループとも面会した。面会後、グループ代表が語ったところによると、バチカンに対し世界的な「ゼロトレランス」(虐待者を絶対に容認しない政策)の採用を求ていることに対し、教皇は被害者たちとの対話を行うことを約束した。フランシスコは個々の虐待被害者とは定期的に面会していたが、擁護団体や活動家グループとは距離を置いていた。
*新たな習慣が中絶問題への言及を誘発
就任半年を迎え、レオの個人的な習慣も”仕事中毒の引きこもり型”だったフランシスコとは一線を画しつつある。
レオは月曜午後と火曜をカステル・ガンドルフォの教皇別荘で過ごす習慣を身につけた。ここでは休息を取り、敷地内のテニスコートで試合も楽しめる(秘書と対戦する)。
メディアの要望に応え、毎週火曜夕方、外に集まる記者団を前に数問の質問に応じることを承諾。ガザ停戦から故郷シカゴでの移民取締り一斉摘発まで、あらゆる事柄について質問に応じている。
記者団とのやり取りで、当初は控えめな回答が目立った。イタリアの政治風刺芸人マウリツィオ・クロッツァはこれを鋭く揶揄するテレビコントで取り上げ、「レオ」という名は「影すら恐れるような教皇には似つかわしくないのでは」と皮肉った。
しかし時が経つにつれ、レオは次第に調子を取り戻しているようだ。最近の火曜夜の質疑応答で、米国の堕胎論争に言及し、堕胎反対派に対し「生命尊重」の真の意味を問いただしたのに対しては、保守派の間に一時的な警戒感が広がった。
より正式な場では、ヨルダンのラニア王妃が「レバノンへの訪問は、本当に安全だと思いますか」と聞いた際にも、彼は大胆な対応を見せた。レオは今月末、初の外遊でレバノンとトルコを訪問する予定だ。
公式の謁見後、レオの書斎で記念写真撮影中だった。ラニアとレオのやり取りは、バチカンのカメラのホットマイクに拾われていた。「まあ、行くつもりです」とレオは淡々と答え、カメラに向かって微笑んだ。