・ロシアのウクライナ侵攻3年ー容認はトランプ米大統領の巨大な道徳的失敗(Bitter Winter)

 (写真右:トランプ第一次政権時代のG-20サミットでのトランプとプーチン。似たような場面がまた見られる?)

 トランプ米大統領は、善と悪の概念を逆転させ、人権、信教の自由、民主主義に壊滅的な打撃を与えた。古いG-20サミットでのトランプとプーチン(クレジット)。似たような画像がまた見られるのでしょうか?

 Bitter Winterは、フェイクニュースを一つも公開したことがないことを誇りに思っている。私たちの意見の一部に同意しないだろう読者でさえ、それを認めている。

 時折、中華人民共和国やロシア連邦などの”ならず者国家”やその同盟国、あるいはプロの「カルト」ハンターからの声から「嘘をついている」と非難されることがある。いくつかのケースでは、彼らは、本質的に同じコインの裏表だ。その批判は、ジャーナリストが「二度与えられるニュース」と呼ぶものだ。

 ならず者国家、彼らの手下、プロの「カルト」ハンターは欺瞞の達人であり、連続した嘘の生産者であるため、彼らがBitter Winterを「嘘」と言うとき、賢明な読者はBitter Winterが事実と評価の両方で完全に正確であることを意味すると受け取るかもしれない。嘘つきがあなたに嘘をつくなら、それはあなたが真実を言っていることを意味するのだ。

 Bitter Winterは、ジャーナリズムやそれ以外の分野でよく見られる、境界を越え、宗教、信念、思想信条の自由と人権を守る、という中核的な使命を放棄することなく、アドリブによる政治評論を支持する誘惑に常に抵抗してきたことを誇りに思っている。

 私たちは、政治についてコメントしたり、特定の政党、人物、政治的側面を支持したりするように見えるときはいつでも、それが純粋に見かけの問題であることを明確にしてきた。私たちの焦点はもっぱら宗教、信念、思想信条の自由と人権を守ることに向けられており、政治的な議論に参加するのは、政治、イデオロギー、イデオクラシーが、その性質に関係なく、これらの本質的な自由を損なう場に限られる。

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 2022年2月24日に始まったロシアのウクライナへの血なまぐさい侵攻から3年を迎えるにあたり、ロシアの致命的な侵略が人権に与えた深刻な犠牲、そしてBitter Winterが冒頭から記録してきたように、信教の自由に対する深刻な犠牲を読者に思い起してもらうことが重要だ。

 トランプ米大統領による、ロシアがウクライナに関して行った事実の露骨な歪曲に直面して、私たちは、特にそのような発言が基本的人権と宗教、信念、思想信条の自由に対する一般的な理解と尊重に深く影響を与えることを懸念し、黙っていることはできない。

 Bitter Winterを読んだ人は、署名者の他の著作は言うまでもなく、私たちと私が、憲法の歴史と、米国の一般的な自由、特に宗教や信仰の自由に対する伝統的なコミットメントを深く賞賛していることを知っている。そればかりか、私たちが過去に、ロシア、中国、そして”反カルト”批評家連中から、偏見的に親米的だと非難され(冷戦以来、ロシアと中国に対するあらゆる批判者に対する古典的で安易な非難だが)”CIAの給料をもらっているとさえ非難されてきたことも。私たちが反米的だ、と非難される理由はない。間違いや道徳的な失敗に対してお互いを諭すことは友人の義務の一部のはずだが、残念ながら誰も免疫がないようだ。

 2025年2月18日、フロリダ州マー・ア・ラーゴの私邸で行われたトランプ大統領の記者会見で、さまざまな問題に関する一連の大統領令に署名した後、トランプ大統領は、侵攻を通じて開始したのはロシアだという明確な事実にもかかわらず、「ウクライナが戦争を始めた」と主張した。翌19日には、ウクライナのゼレンスキー大統領が「(トランプは)ロシアが作り出した偽情報のバブルの中で生きている」と述べたのに反論し、ソーシャルメディアを通じて、「ウクライナには民主主義が欠けている」と非難し、ゼレンスキー大統領を「選挙のない独裁者」と呼んだ。

彼が考えを変える前に。そして、2019年にはトランプ大統領とゼレンスキー大統領。クレジット。

 これらは、善と悪の境界線を曖昧にする、馬鹿げた、根拠のない、悪意のある発言だ。さらに悪いことに、彼は本能的に「何が正しくて、何が間違っているのか」を区別できない、あるいはそうする気がないようだ。真実よりも詭弁と虚偽に頼っている。子供でさえ、トランプの主張に容易に反論することができるのに、世界で最も強力な国の指導者がそのような虚偽を広めているという事実は、その道徳的能力に深刻な疑問を投げかけている。

(左:このような場面が再び見られても・・その心の内は)

 ロシアのウクライナ侵略で引き起こされた危機におけるトランプ大統領の役割は、彼が世界の支配者であるからではなく、彼が指示する政策が世界的に大きな影響力を持っているために重要なのだ。

 2月19日、大統領はフロリダ州マイアミビーチで開催されたFuture Investment Initiative Institute Priority Summitでの演説で、ゼレンスキー氏を「控えめに成功したコメディアン」と揶揄し、この発言はカメラに収められ、後に彼のTruthソーシャルアカウントを通じて繰り返された。

 トランプは、自身の映画「ホーム・アローン2:ロスト・イン・ニューヨーク」やテレビ・ショー「アプレンティス」への出演でアカデミー賞を受賞しなかったことを忘れているようだが、彼の発言の背後にある意図は明らかだ。それは、ゼレンスキー大統領の信頼性を損ね、ウクライナ国民の士気をくじくことだ。

 この茶番劇は、低品質のテレビチャンネルで見られる最悪のB級映画の恐怖に似た、気晴らしに過ぎない。本当の問題は、ロシアが主権国家を侵略した国だと認めることを拒否し、プーチン大統領が意のままに民間人を殺害し、何千人もの人々を拷問し、何百万人もの難民を生み出し、インフラや都市を破壊し、核兵器を使用すると脅していることを何とも思わない、という、とてつもない道徳的失敗をトランプが犯していることだ。

 ロシアが、いわれなき戦争を正当化するために、ウクライナ人を「ナチスや悪魔崇拝者」とし、一部のロシアの宗教的最高指導者(その多くがプロの「カルト」ハンターとつながりがある)に支持されていることは、巨大な道徳的崩壊を露呈しているのに、である。

 

 

*自由、透明性、民主主義は常に守られるべきだ

 

 確かに、戦争状態にある国、この場合は超大国に侵略された国が、例外的な危機に対処するために、特定の政治的自由や言論の自由の側面を一時的に制限する必要がある(あるいは、そうせざるを得ない)ケースがあることを認識しないことも、とてつもない道徳的失敗だ。

 戦争、侵略、大量死、破壊の時代に戒厳令を発令し、選挙を延期することは、独裁制ではなく、時には必要なことでもある。トランプ大統領が好む飲み物と言われているダイエットコーラを、マー・ア・ラーゴの大切な友人たちと気軽に飲むのは、爆撃されたマリウポリの廃墟できれいな水を必死に探すのとは違う。これを理解しないことは、とてつもない道徳的失敗だ。

 ゼレンスキーは2019年4月21日にウクライナの大統領に選出された。彼を最初に祝福したのはトランプ大統領だ。元軍人でKGB幹部のウラジーミル・プーチンは、1999年から2000年まで首相として、2000年から2008年まで大統領として、2008年から2012年まで再び首相として、そして2012年から現在まで再び大統領としてロシアを統治してきた。彼は憲法の条文を2回変更し、2012年に大統領の任期を6年に延長し、2021年に再び大統領の任期を延長したことで、ソビエト連邦の崩壊以来、ロシアで最も長くトップに居続ける指導者として、84歳になる2036年まで大統領の座にとどまることを可能にした。ウクライナは「民主的な独裁者」が統治する国家なのか、それともロシアなのか?この単純な質問に答えないことは、とてつもない道徳的失敗だ。

 

 トランプ政権がウクライナの領土保全を再確認し、ロシアのウクライナ領土からの撤退を要求するG7宣言草案と国連決議の共同提案を拒否することは、とてつもない道徳的失敗だ。

 中華人民共和国は、自国と友好関係にある北朝鮮の軍隊も参加したロシアのウクライナ侵略を一貫して支持し、恥ずかしげもなく、和平交渉の「中立」当事者として自らを申し出てきた。宗教、信念、思想信条の自由と人権を侵害する国として名高い中国が、現在のウクライナにおけるロシアの恥ずべき行為を利用するのを赦すのは、大きな道徳的失敗である。

 もちろん、人間の行動は、決して白か黒かで簡単に区別できるものではない。さまざまな色のニュアンスが込められていることが多いのだが、何事にも黒白をはっきりさせようとし、善を守ることを拒否することは、とてつもない道徳的失敗。そして詐欺だ。

国際ジャーナリスト連盟(IFJ)会員、作家、翻訳家、講師。 イタリア国内外を問わず、紙媒体、オンラインを問わず、複数の雑誌などに寄稿している。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの了解を得て記事を転載します。

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2025年2月28日