・「教皇のLaudate Deumを通じた気候変動対策強化の呼び掛けに応じ、具体的な進展を目指す」COP28議長が教皇と会見

Pope Francis shakes hands with Dr. Sultan Ahmed Al Jaber, President-designate of COP28Pope Francis shakes hands with Dr. Sultan Ahmed Al Jaber, President-designate of COP28  (Vatican Media)

(2023.10.11 Vatican News   Andrea Tornielli)

  使徒的勧告「ラウダーテ・デウム」の発表から1週間経った11日、教皇フランシスコが11月に開かれる 国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の議長に予定されているスルタン・アル・ジャベル博士と会見された。アラブ首長国連邦産業・先端技術大臣の博士は、会見後、Vatican News のインタビューに応じ、COP28への抱負や使徒的勧告の意義などについて語った。

 インタビューでのやり取りは次の通り。

 

 

*「ドバイCOP28が目指すものは、気候変動危機に対する実行可能な解決策の提供」

 

Q:11月にドバイで開かれるCOP28の目的を簡単に説明していただけますか。

A: 私たちはただ 1 つの北極星に導かれ、手の届く範囲に摂氏 1.5 度を保とうとします。 最初の Global Stocktake(温室効果ガスの排出量削減に関する国際的な枠組み「パリ協定」の長期目標達成に向け、世界の国々の実施状況を国際的に評価する仕組み)で、私たちが軌道からどれだけ離れているかが、すでに明らかにされています。 私たちは2030 年までに、 220億トンの排出量を削減しなければなりません。毎日のニュースで目にしているように、気候変動は私たちに様々な影響を及ぼしており、変化に対応せねばなりません。そして、気候変動に対処するには、人と地球を、気候の中心に置く必要があり、削減のプロセスに欠かすことができないのです。

 私たちはCOP28議長国として、「公正かつ秩序あるエネルギー移行の迅速な推進」「気候変動資金の解決」「人々、自然、生命、生計に焦点の当てる」、そして「完全な包括性を持ってすべてを支える」という4つの柱を掲げる行動計画を策定しています。 気候変動がもたらす危機に対する実行可能な解決策を提供するために、世界が団結し、協力して行動する時が来ています。

 

*「教皇の使徒的勧告Laudate Deumを通じた気候変動対策強化の緊急の呼び掛けを歓迎する」

Q:  教皇フランシスコは先に、使徒的勧告「Laudate Deum:気候危機の影響を抑えることが手遅れになる前に、警鐘を鳴らす」を発表されました。この文書をどのように評価されますか?

A: 私たちは、気候変動対策の強化を求める教皇の緊急の呼びかけを歓迎します。 「COP28によって、エネルギー転換の決定的な加速が可能になるだろう」という教皇の期待を共有します。 COP28は「行動のCOP」となる必要があります。 私たち議長国は、締約国を団結させ、包括性を確保し、明確な約束と行動を推進し、世界中の人々にとって野心的な気候変動対策を実現するために、全力を尽くすことに全力で取り組んでいます。 教皇との会見で、人類の進歩を促進するための気候変動対策に対して積極的で揺るぎない姿勢を示された教皇に、議長国であるアラブ首長国連邦(UAE)の感謝の意をお伝えしました。

 世界の平均気温の上昇を工業発達以前に比べて摂氏1.5度に抑えるためには、2030年までに年間排出量を43%削減する必要があります。私たちは、現在使用しているエネルギーを包括的に脱炭素化しながら、石炭を含む化石燃料を一切使用しないエネルギーシステムを早急に構築しなければなりません。 誰一人取り残されない、特に今日エネルギーにアクセスできない8億の人々が取り残されない、迅速、公平、公正かつ公平なエネルギー移行が求められています。新しいエネルギーシステムを構築する前に、現在のエネルギーシステムの電源を抜くのは無責任です。発生源に関係なく排出量に焦点を当てる必要があり、近い将来、多くの燃料がエネルギーミックスに含まれることを認識する必要があります。 私たちはその混合のバランスを再調整し、現在使用されているエネルギーの排出量を削減せねばなりません。

 排出を、”進歩”ではなく、”抑制”しましょう。 今回の会議の焦点は、野心的な交渉結果とともに現実世界の針を動かす具体的な進展が可能になるかどうか、になるでしょう。 そのため、私は、石油・ガス会社に対し、2030年までにメタンの排出と燃焼をゼロにし、(注:温暖化ガスの年間排出量を)2050年までに実質ゼロとすることを目指して調整するよう求めました。石油・ガス会社だけでなく、すべてのこれに関わる産業が移行を加速し、排出をゼロにする必要があります。 そして政府には、水素や炭素回収を含む関連技術の開発をさらに強力に勧め、商業化を推進する賢明な政策を立て、実行するする必要があります。

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*「教皇が指摘された「約束が守られない」COPの軌道を修正する」

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2023年10月12日