(2025.7.25 Vatican News Stefano Leszczinsky and Linda Bordoni)
ガザ地区で支援活動中の「MSF(国境なき医師団)」の副医療コーディネーター、モハメド・アブ・ムガイシブ医師が25日、飢え死に寸前で、日々人間の尊厳が蝕まれていく住民たちの非人道的な状況について証言する動画を公開した。この動画は、食料と医薬品が供給されず、人々が飢え死にしているガザ地区の現実を、劇的に物語っている。
「今、ガザ地区で起きている飢餓は、次のように体を破壊していく… まず最初に6時間から24時間で血糖値が低下する。体は、生き延びるために蓄えられたグリコーゲンを燃焼するが、1日から3日でグリコーゲンはなくなり、脂肪は脳のエネルギー源としてケトン体に変換される。身体は『生存モード』に入り、次の3日から5日で筋肉が分解され始め、生き延びるために自身の組織、さらには心臓さえも犠牲にしてしまう。そうなると、子どもたちは泣く力も失ってしまいます」。
そして、「このような事態を自分が直接、体験することになるとは、思ってもいませんでした」とムガイシブ医師は語った。彼自身、「過去1か月、1日1食、さらに最近1週間は2日に1食で生き延びてきた。買う金がないからではなく、モノがなく、市場が空っぽだからです」と説明。他の医師、医療従事者、救急車の運転手も、飢えに苦しんでいる患者のケアに努めており、「自分たちの命がゆっくりと奪われていく中で、他者の命を救うことが求められているのです」と危機的な状況の中での過酷な支援活動を語った。
「これは単に飢餓の問題ではなく、生命、尊厳、そして人間性のゆっくりとした破壊の問題で。食料、水、そして医療援助を、この戦争の『武器』に利用するのは、やめてもらいたい。決して受け入れられない」と強調した。
*子ども、妊婦、授乳中の女性がまず犠牲になっている
イスラエルが支援しているはずのガザ人道財団(GHF)が運営する食糧配給所では、配給を受けようと集まった何百人もの人々が、イスラエル軍や民間警備業者による攻撃を受け続けている。ガザ地区のMSFの診療所では、栄養失調の治療を受ける人の数が5月18日以降4倍に増加し、5歳未満の子どもの重度栄養失調率は過去2週間だけで3倍に増加した。
診療所のプロジェクトコーディネーター、キャロライン・ウィレメン氏によると、生後6か月から5歳までの子どもと妊婦、授乳中の女性の25%が重度の栄養失調に陥っており、その数は増加傾向にあるという。「私たちは現在、毎日25人の新規患者を栄養失調で受け入れています。対応する私の同僚たちも、疲労と飢えに苦しんでいる状態。 こうした事態は広がり続けており、援助とサポートを提供する任務を負っている人々がますます働けなくなっている。こうした状態に、私たちを意図的に追い込んでいる、としか考えられない」と窮状を訴えている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)