
(2025.12.12 Vatican News Isabella Piro)
バチカン説教師のロベルト・パゾリーニ神父が12日、教皇レオ14世と教皇庁職員に向けて2回目の待降節黙想を指導した。
「私たちはどのような『一致』を証しすべきか? 単なる一般的な兄弟愛ではない、『信頼できる形の交わり』を世界にどう示すことががきるのか?」。
これは、パゾリーニ神父が12日朝の待降節黙想で行った二回目の説教の核心をなす問いかけだった。 全3回の黙想で神父が選んだテーマは「神の日の到来を待ち望み、促すこと」だ。
*「バベルの塔」がイメージしているのは、均質化による統一
パゾリーニ神父は三つのイメージ―バベルの塔、聖霊降臨、エルサレム神殿の破壊と再建―を軸に考察した。
最初のイメージであるバベルの塔は、大洪水後に「散らされる恐怖」を払拭しようとする人類を体現する。しかしこの企ては「致命的な論理」を秘めている。なぜなら「差異の調和ではなく、均質性によって」統一を追求するからだ。
・20世紀の全体主義体制は「均質、単一のイデオロギー」を強制した
塔の建設者たちが不揃いな石ではなく、全て同じ均一な煉瓦を用いたことを挙げて、「これは『誰も差異がなく、誰もがリスクを負わず、全てが予測可能な世界』という夢です」と神父は指摘。「その結果は、一致、団結しているように見えるが、個々の声を排除する代償を払って達成された、見せかけの幻想に過ぎません」と述べた。
そのうえで、神父は、現代に目を向け、「20世紀の全体主義体制が『単一のイデオロギー』を強制し、異論を沈黙させ迫害しました。差異を抑圧して統一を成し遂げても、その結果は『交わり』ではなく、『死』です」と言明した。
・ソーシャルメディアとAIの現代、新たな形の危険が生まれている
そして21世紀の現代。「ソーシャルメディアとAI(人工知能)の現代も、このような均質化の危険は消えていません。消えるどころか、新たな形態の危険が生まれている。”単一情報バブル”を生むアルゴリズム、人間の複雑性を標準化に還元する予測可能なパターン、そして、思索的な異論を罰しながら即時の合意を追い求めるプラットフォームがそれです」と警告。
神父は、「教会もこの誘惑から免れることができない。歴史を振り返ると、信仰の統一が『画一性』と誤解され「対話を恐れず、ニュアンスを消し去らない、ゆっくりとした交わりのリズムが損なわれてきたからです」と付け加えた。
・『差異』こそが、『存在』の持つ基本ルール
神父は続けて、「『同一の複製』というユートピアの上に築かれた世界は『創造』の対極にあります。なぜなら、神は、光と闇を、水と陸地を、昼と夜を分け、区別し、差異化することによって、創造されたからです。この意味で、『差異』こそが、『存在』が持つ基本的なルールそのものであり、これを拒絶することは『創造の衝動』を逆転させ、偽りの安全を求める行為に他ならず、『自由の拒否』なのです」と言明。
したがって、「神がバベルにもたらされた言語の混乱は、罰ではなく”治療”。神は、個性の尊厳を回復され、人類に再び、『皆が同じではない可能性』という、最も貴重な贈り物をお与えになった。結局のところ、差異なくして『交わり』は存在しないのです」。