・バチカンの3省連名で、ドイツ司教団に「シノドス評議会」設置の採決を中止させる

(2024.2.20 Vatican News   Salvatore Cernuzio)
   バチカンは、パロリン国務長官、フェルナンデス教理長官、プレボスト司教長官の連名の書簡を16日付けで、ドイツ司教協議会(DBK)に送り、現在開催中のDBK総会で予定していた「シノドス委員会」の規約採決をいったん中止するよう要請。DBKも19日までにこれを受け入れ、同規約の採決を議題から外した。この問題の扱いについてバチカン側は、今後持たれるDBKとの協議まで判断を留保する、としている。
 DBKが今総会で採決を予定していた「シノドス委員会」は、ドイツの教会が、教皇主導の”シノドスの道”に先んじて進めて来たドイツ版”シノドスの道”の歩みの最大の”成果”であり、昨年、司教団と一般信徒による協議で承認された「統治・意思決定評議会」導入のための準備を行うのが目的。司教約27人と一般信徒約50人で構成され、教会の権威、女性の役割、性道徳、司祭生活などドイツの教会の主要課題を協議し、実施可能な決定を下す機能を持つとされている。
 このようなドイツの教会の動きに対して、教皇フランシスコは昨年11月、ドイツの女性神学者4人に宛てた書簡で、「このような評議会は、教会のsacramental structureとは調和できない」とし、昨年1月にバチカンが出した書簡で既に評議会の設置が差し止められていることを確認している。
 バチカンの国務長官、教理長官、司教長官の連名によるDBK宛て書簡は、「シノドス委員会」の規約採決を中止し、バチカンとDBK代表者との協議後まで、判断を持ち越すよう求めている。協議の日程はまだ明らかになっていないが、教皇によって承認されたこの書簡は、「もしシノドス委員会の規約が、協議以前に採択された場合、協議の意味をなさなくなるだけでなく、進行中の対話プロセス全般の問題が生じるだろう」と”警告”。
 「(ドイツの教会が設置を目指している)ような評議会は、現在の教会法では想定されていない… そのような評議会の設置に関する決定も、司教協議会には設置のための規約を承認する権限がないため、無効となる」とし、 このような問題点はすでに教皇によって強調されており、「したがって、『シノドス委員会』の規定を承認することは教皇の命令に反し、既成事実を再び教皇に突きつけることになる」とも述べている。

 この書簡を受けて、DBKは19日、シノドス委員会の規約に関する採決を、22日まで開かれる総会の議題から削除したが、DBK会長は19日の会見で「(最近のバチカンの)警告とは関係なく、ドイツの司教団は、改革の道を進むつもりだ。改革の根本にわたる部分をバチカンと協議するのは当然。バチカンに敬意を表して、シノドス委員会の創設に関する項目が総会の議題から削除したのもそのためだ」と言明。

 シノドス委員会が設立の準備をするドイツ教会の「統治・意思決定評議会」によって、「いかなる形でも司教の権限を制限するつもりはない。性的虐待などのスキャンダルによってドイツ教会の権威が損なわれている現状に抜本的に対処するための、本当に意思決定につながる、拘束力をもち、透明性のある助言を(評議会から)求めようとしているのだ」と説明している。

 

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2024年2月21日