・シノドス総会第2会期・10月18日定例記者会見「より分権的な教会に向けて」

(2024.10.18 Vatican News   Edoardo Giribaldi and Roberto Paglialonga)

 開催中の世界代表司教会議(シノドス)総会第2会期の会合の状況などについて、シノドス情報委員会が18日、定例記者会見を開き、17日午後から18日昼までの討議では、世界の現地の教会と普遍教会の関係を中心に議論され、「分権化は、確固とした原則に導かれる場合、健全」と主張がされたことを明らかにした。ゲスト発言者として会見に出席したアヴェリン枢機卿、ルエダ・アパリシオ枢機卿、ムッラ枢機卿からは、世界が「苦しみに満ちている」状況における今回のシノドス総会の果たすべき役割の重要性などについて語った。

 会見で情報委員会のルッフィーニ委員長は、総会のここ数日の議論は、討議要綱の第3部「場所」に集中している、としたうえで、「現地教会の重要性を強調する発言が多く出されており、それは、害を与えるのではなく、教会全体の一致に役立つ。脅威ではなく、『特別な贈り物』です」と説明。

 東方カトリック教会を例に挙げ、「その伝統は、普遍的なカトリック教会全体の宝。不可欠な不可欠な一部として保護されねばならず、その起源の地域と離散地域の両方で存在を確保する必要がある」と指摘し、討議では、「これまでの教会の歴史で、一致についての理解は必ずしも正しくなかった。ラテン教会は、東方『sui iuris(権利能力を持つ)』教会に対して不当に振る舞い、彼らの神学を二次的なものとみなした」と主張する意見も出た、と述べた。

 また、主要な課題の 1 つは「『単なる物理的な空間ではない』場所の概念を再定義すること」とも述べた。

 

*復活の主日を「姉妹教会」と同じ日にすることで合意している

 

 カトリック教会と「姉妹教会」が同じ日に復活の主日を祝うという広く議論されている問題について、ルッフィーニ委員長は「来年、それ(復活の主日を同じ日にすること)が行われることで合意に達した」ことを明らかにした。ただ、総会の討議では、「恒久的な共通の日を求める今シノドス総会参加者全員からのメッセージ」を求める声が出ている、という。

 

*「健全」な分権化の基準が、秘跡も含めて検討されている

 バチカンから現地教会への分権化については、これまで総会で何度も検討されてきたが、情報委員会のピレス事務局長は、「健全な分散化」を定義するための基準が検討され、その中には「近接性と秘跡性」、つまり秘蹟も含まれている、と述べた。

 また討議では、小規模な草の根共同体も「シノダル(共働的)な教会の特権的な空間」として強調され、そうした共同体にとって、デジタル環境は「仮想的」にだけでなく、「地域的」にもつながりを保つのに役立つことから、非常に重要、との指摘があった、という。

 

*「シノダリティの推進を恐れるな」「苦しむ人々の叫びにもっと耳を傾けよう」などの声も

 

 ピレス事務局長によると、会合では、多くの発言者から「シノダリティ(を推進すること)を恐れてはならない。シノダリティはさまざまなカリスマや聖職、あるいは場所の特殊性を弱めるものではない」との意見が出された。小教区についての課題についてさらに議論を深めるように、との主張もあり、教会運営の仕事が(重荷となって)福音宣教の熱意を抑えることがあるので、創造的に考えなければならない」、あるいは、「苦しむ人々の叫びに耳を傾ける必要がある。現地の教会のシノダリティは、苦しみに特徴づけられる現実にも表れている」との意見も出た、という。

 

 

*「世俗化した社会で信仰の戦いには、信徒と共に歩むことが重要」「教会の健全な分権化は、統一の枠組みの中ですすめること」

 世俗化した社会で信仰の戦いには、聖パウロが語った「信徒と共に歩む」ことが重要だ」という言葉を思い起こし、「教会の健全な分権化は、神の民の間で共有される責任の次元を高めることができる」が、常に統一の枠組みの中で、「教導権への忠誠、ペトロの後継者との教会の交わり、地方教会への尊重、補完性、シノダリティを進めることが重要」との指摘も出た、という。。

 またピレス事務局長は、「福音はあらゆる文化とあらゆる場所に具現化され、運動と新しい教会の現実の共同体に身を置き、強化されなければならない」という言葉で、教会の「多様性の中の一致」への呼びかけがあったこと、教会を「キリストを心臓とする生きた有機体であり、人々の存在を通じて体として生きている」と表現する意見があったことを強調した。

 

*「女性助祭の実現」求める意見、若者に対して「デジタル空間での司牧」提案も

 女性助祭の問題については、「教会は『男性だけの』ものであってはならない」「女性が意思決定プロセスへの関与を求めているとしても、それだけでは十分ではない」と強調する発言もあった。

 また若者の「自分は霊的ではあるが宗教的ではない」と言う声に対しては、「教会は、デジタル空間でも司牧者になるよう促されるべき。デジタル空間では、若い男女が時間を過ごし、交流することが増えている」との指摘もあった、という。

*来週は最終文書草案の議論が決定的な段階を迎える

 最後にルフィニ委員長は、18日の午後、作業部会の会合に加えて、教会法委員会の会合と、一夫多妻制に関する神学的・司牧的な識別のためのアフリカ・マダガスカル司教協議会(SECAM)のシンポジウムが行われる、と発表した。また、来週は、最終文書の草案に関する議論が決定的な段階を迎えるが、草案は、熱烈な祈りの雰囲気の中で取り組む必要がある、と述べた。そのために、21日の全体会議は午前8時30分の聖ペトロ大聖堂の聖霊への奉納ミサで始まる。

 

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 続いて記者会見は、ゲスト3人からの発言に移り、地中海からアフリカ、ラテンアメリカまで地理的に離れた地域が、同様の課題とそれを解決したいという共通の願いによって結ばれている、ことが基調となった。。

 

 

*フランスのアヴェリン枢機卿「地中海は単なる”研究対象”ではない、様々な悲劇が起きている現場で、教会はどのような貢献ができるか」

 最初に発言したのは、フランスのマルセイユ教区のアヴェリン枢機卿。「地中海地域における教会の取り組みを調整する」という教皇フランシスコから与えられた自身の役割を強調した。枢機卿は、約40人の司教と共に始め、教皇が「この仕事を継続し、調整し、支援したい」という希望を表明された昨年9月の会合などを通じて続いた取り組みの経緯を説明し、「焦点は、さまざまな教会共同体の困難に耳を傾けることにあった。地中海は、単なる”研究対象”ではありません。戦争、自由の侵害、腐敗など、悲劇的なシナリオが展開されている現場です」と付け加えた。

 そして、「この地域の正義と平和のための取り組みに、教会がどのように貢献できるか、を理解する必要があります」と強調し、地中海に特化した代表司教会議(シノドス)の検討を提案したことを思い起した。

 

 

 

*コロンビアのアパリシオ枢機卿「ラテンアメリカの貧困が、北米への移住だけでなく、麻薬の密売で悪化する中で、教会は『総合的福音宣教』に努めている」

 

 次に、コロンビアのボゴタ教区のアパリシオ枢機卿が、自国とラテンアメリカ全域での信仰体験について語った。「ラテンアメリカは、苦しみと希望の両方を持つ若い大陸。現地の教会は『貧困者に一層、近づく精神性』を育むよう努めています。貧困は、北米への移住だけでなく、麻薬密売に関連する問題によっても悪化している」と現状を説明。このような困難な状況に、「教会は団結し、信仰と希望の目を通して現実を見るよう努めながら、現実に近づく方法を見つけてきました」と努力を語った。大陸全体にわたる「総合的な福音宣教」の達成を目指して、具体的な「王国の存在」を広げようとしている、という。

 

 

 

*南スーダンのムラ枢機卿「自由を求めた戦ったが、いまだに多くの問題が未解決、大雨による災害も。シノダルな対話に期待」

 南スーダンのジュバ大司教、ムラ枢機卿は、自国と隣国スーダンが直面している課題について語った。

 「 南スーダンの人々は自由を求めて戦争を戦ったが、多くの未解決の問題に悩まされ、依然として平和からは程遠い状況にある」と述べ、「南スーダンで調印された和平協定は、まだ部分的にしか実施されていません。これは、2018年に教皇フランシスコとの歴史的な会談で高官代表団が取り上げた問題ですが、それ以来、教皇がこの国を​​訪問した後も、ほとんど何も変わっていない」としたうえで、「シノダル(共働的)な対話が、私たちが直面している社会的、政治的問題に対処できると信じています」と期待を語った。

 南スーダンを苦しめているもう一つの問題は地球温暖化だ。ムラ枢機卿は、大雨被害で現在も水没状態にあるベンティウ市を例に挙げ、「ますます相互につながり合う世界において、『そのような問題は自分たちと無関係だ』と言う人はいないでしょう」と語った。

*アウグスティノ会のマルティン司教「総会では、『世界が直面する課題』が強調。その中で教会が依拠すべき4つの柱は」

 最後に発言したアウグスティノ会のマルティン司教は、これまでの総会での討議で強調された「世界が直面している課題」について振り返った。 司教は、「シノドス総会がこれらの問題に「対応」し、今日の問題に対処できる明確な言葉で開かれた教会を育む方法」を説明。 教会が拠って立つべき4つの基本的な柱として、キリスト中心、友愛的、包括的(「シノドス総会で権力闘争を見ている人は間違っている。そんなものは存在しない」と司教は付け加えた)、そしてダイナミックであること、を挙げた。

そして、シノドス総会の議論は、シノダリティと時代のしるしに耳を傾けること、統一性と多様性、中心と周辺性といった、いくつかの二分法を中心に展開してきたが、「私たちを時折、捕らえる悲観主義」に落胆してはならない、と訴えた。

ゲスト発言者との質疑応答

 記者会見では、いつものように記者の質問に答える時間が設けられた。「多様性の中の一致」という概念の実践について、アパリシオ枢機卿は、この概念はすでに「新しく革新的なシノドス スタイル」に反映されており、女性の総会参加者の存在は「新しさと進歩」の最も目に見えるしるし、と指摘した。

 シノドス総会に「即時回答」を求める人々への対応について、マルティン司教は、シノドス総会をキリスト教の信仰そのものに例え、「それはキリストの体験。それを生きなければ、完全に理解することは決してないでしょう」としたうえで、シノドス全体のプロセスは抽象的なままではなく、「現実に根ざしたもの」でなければならない、と強調。それゆえ、教区は「主要な共同体」として依然として重要、と指摘した。

 司教の役割と権威に関する議論についても質問があり、「それは広範囲に議論されてきました」とアパリシオ枢機卿は認め、信仰の遺産は「常に同じ」ままでも、「それぞれの状況に適応しなければならない」という聖ヨハネ23世教皇の言葉を引用した。また、自国が直面している困難、たとえば「有害な二極化」について触れ、同様の見解を持つ共同体が互いに「敵」になる原因となっている、と指摘。

 アヴェリン枢機卿は、シノドス総会の最終文書の起草についていくつかの見解を示し、自分が所属する「とりまとめ委員会」の目的は、「投票に付すための文書原案が、この数週間の総会での討議で表明された意見から大きく逸脱しないようにすること」にある、と説明した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年10月19日