(2024.10.16 Vatican News Alessandro Di Bussolo and Roberto Paglialonga)
10月16日のシノドス総会の定例記者会見では、4人のゲスト発言者の一人、神学者と教会法学者の作業グループのダリオ・ヴィタリ神父が「聖霊に耳を傾けながら、教会を前に進める合意を見極める重要性」指摘。15日午後から16日の昼までの会合では、教会の一致や司教協議会の権限などがテーマとして取り上げられた。
*言語グループから提案の原案が報告
会見ではまず、会合での討議状況について、シノドス情報委員会のルッフィーニ委員長とピレス事務局長から、15日から16日にかけて、討議要綱の最後、第3部「場所」について討議が続けられ、5つの言語グループが、討議要綱に示された課題に対する提言の原案の取りまとめに取り組んだことが説明された。
*教会はデジタルの世界でも活動する必要
委員長は、「教会は常に都市、つまり教会が存在している場所で、司教の指導のもと、地域と密接な関係を築いてきた」としたうえで、「教会は(従来の物理的場所に限定することなく)デジタルの世界でも活動せねばならなくなってきている」と述べ、小グループの議論では、「『出会いの場』としての教区への注目が高まる」中で、「創造力を発揮し、想像力を働かせ、私たちの教会の場所を他の領域、特にデジタル領域に拡大する必要」も強調された。
*シノダル(共働的)な役割をもつ司教協議会をどう強化するか
さらに、会合の参加者からは「現地教会と大陸レベルの教会の贈り物の交換において、既存のシノダル(共働的)な仕組みを特定し、強化する必要性」が主張され、委員長は「(現地教会の国・地域レベルの)司教協議会に関して『交わりを促進する役割と果たしており、その地位をより明確に定義する必要がある、との意見が出た」と説明。さらに、「教義上の権限を司教協議会に持たせるか否かについても話し合われた… 大陸レベルの司教たちの会議は、同レベルでシノダリティ(共働性)を織り込むのに適切な場所であると判断され、中間的な共同体としての司教協議会をどのように強化するかについても議論された」とし、全員が一致したのは、「教会の統一を維持することの重要性」の認識だった、と述べた。
*統一に奉仕するペトロの奉仕
また委員長によると、会合では「グローバル化の時代における教皇の奉仕、カトリック教会だけでなく、他のキリスト教徒に対する『最高の道徳的、精神的権威としての教皇』の奉仕」についても議論された。 小グループに分かれた討議は、その主題と優先事項を特定するにあたって、「シノダル(共働的)な福音宣教の鍵としての司教協議会、教義、典礼、司牧、懲戒、管理の領域における神学的性質、能力、権威」を検討することから始めた。ポイントは、「人の移動、文化、デジタル環境の深化など、画期的な変化が起きる中で、福音宣教の取り組みをどのように再構成するか」にある、と委員長は説明。
さらに、「シノダリティ(共働性)、合議制、首位権をどのように一致させるか、使徒憲章『Praedicate Evangelium』をもとにしての教皇庁の役割、世界代表司教会議、大陸レベル教会会議と司教会議、個別の評議会のあり方」などについても意見交換がされ、その後のテーマには「健全な地方分権を定義するための基準、教会の教会、贈り物の交換、地域と世界の連携、補完性、および法的に独立した 教会」が含まれる。
*文化の福音化も話し合われた
またピレス事務局長は、会合では、文化の福音化についても話し合われ、「全ての人が”宣教地”を構成することを認識し、教区をより活気のあるものにする”小さな草の根共同体”の役割」が指摘された、「文化的およびデジタル的な変化に適応する必要性や、信仰の一致と現代の課題に対応する教会の能力」が強調された、と説明した。
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ゲスト発言者には、イタリアの司祭で神学専門家グループの調整役で教皇庁立グレゴリアン大学の教会論教授であるダリオ・ヴィタリ神父、スペイン人の教会法教授で教皇庁立サラマンカ大学の学長、 Confraternity of Diocesan Priestly Workersの会員で教育と召命の専門家のホセ・サン・ホセ・プリスコ神父、ルーマニア生まれでオーストリアのリンツ・カトリック大学のクララ・アントニア・チザール神学部長兼副学長、そしてシノドス事務局の神学顧問でありブリスベンのオーストラリア・カトリック大学講師のオーモンド・ラッシュ神父の4人が招待され、以下のような発言があった。
*神学者のヴィタリ神父「 4 つの言語別神学者グループの共同作業は、”シノドスの道”の旅の成果」
ヴィタリ神父は、自身が調整する4つの言語(英語、フランス語、スペイン語・ポルトガル語、イタリア語)の神学者グループの任務は、「総会の提案を読み直し、合意の新たな要素を特定する」ことと、「最終文書を起草しなければならない人々に、合意点と問題点を示す」合同報告書を作成すること、と説明。
「 聖霊に耳を傾ける教会の旅で重要なのは、合意です。一致しない点を探し出して強調する必要はありません。神学者の責任は、シノドス総会で成熟する合意の種類を認識し、参加者間で共有された内容と聖霊が教会に示している内容とが一致するようにすることにあります」と述べた。
また、4つの言語グループの作業は、「シノダリティ(共働性)の一例であり、”シノドスの道”の旅と並行して2021年に始まった神学者間の共同作業の結果」と指摘。「それ以前の世界代表司教会議(シノドス)では、神学者はシノドス事務局と個別にやり取りしていました」と述べ、変化を強調した。
*教会法学者のプリスコ神父「ラテン、東方の両方の教会法の改善、修正、新たな規範の可能性を特定するのが専門家グループの役割」
シノドスの教会法委員会のメンバーとして、プリスコ神父も、「今回の会議における教会法学者の専門家の仕事は、神学者との共同作業」であることを強調。「以前は、神学と教会法はしばしば2つの平行線をたどっていました。補完性と協力が必要です」と述べた。続けて、今回のシノドス総会での作業は「特に神の民に捧げられた教会法典の2番目の本」に関係していることを指摘し、「教会法学者の委員会は、参加者が表明した必要性から結成されました。シノドス総会の提案に沿って課題を検討し、「ラテン、東方の両方の教会法を改善できる修正、あるいは新たな規範の可能性を特定する」ことが、教会法の専門家のグループの役割、と説明した。
*リンツ・カトリック大学のチザール神学部長「 フォーラムでは「シノドスの旋律」
リンツ・カトリック大学のチザール神学部長は、今シノドス総会で実施されたフォーラムの神学的貢献の重要性を強調した。「フォーラムには、他者を知ること、教会におけるシノドスの文化を調整することも含まれています… 昨年のシノドス総会第1会期の作業の終わりに、ある参加者は「神学はあまり注目されなかった」と指摘しましたが、今回開かれた神学・司牧フォーラムで、神学はシノダル(共働的)な教会における役割を学び、シノダリティ(共働性)に貢献していることが明らかです」と指摘。これらのフォーラムは「シノダリティ(共働性)、つまり神の民の神学の基本的な旋律をただすのに役立ちます」とし、また、「神学の学術コミュニティは、シノダル(共働的)な教会の誕生を支援したい」と希望を述べた。
*シノドス事務局の神学顧問・ラッシュ神父「新しい文脈で福音を告げるための対応が必要」
オーストラリアの神学者でシノドス事務局神学顧問のラッシュ神父は、「生きた啓示は単なる静的な真実ではなく、神と人類の間の継続的な対話です」と語り、この総会第2会期で「福音のメッセージを実現するための教会の生きた伝統のプロセス」に入っている、と述べた。
そして、神学には、「教会が神のメッセージをすべての人に伝えるのを助ける」という使命があり、同時に「それぞれの人の信仰の感覚にも耳を傾ける」という使命がある、と指摘。今日の教会は、神学の助けを借りて、「私たちにとって光であり続けている第2バチカン公会議に助けを借りて、しるし、たとえ話、そしてイエスが21世紀とどのようにつながっているかを解釈しなければなりません」と語った。
さらに、「時代のしるしを読み取ることは、今日の人間の生活に関する神のビジョンを新たに理解するための基本。教会が新しい文脈の中で説得力を持って福音を告げ知らせるためには、新たな対応が必要です」と強調した。
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この後、記者たちから、教義上の権限を司教協議会に分散させる可能性、教会法の改正の検討と承認、神学者の役割など、いくつかの質問があった。
*教義上の権限は一定の制限内で現地の司教に委ねられている
「教義上の権限」に関連して、ヴィタリ神父は「教義上の権限の中央から現地への移譲に関して最も制限的であると考えられている文書、すなわち1998年のヨハネ・パウロ2世教皇の教義に関する自発教令『Apostolos suos (彼の使徒たち)』は第21項で『司教は、彼らの保護に委ねられた信徒にとって、信仰の真の教師であり博士である』と述べ、司教たちそれぞれの管轄地域におけるカテキズムの発行を監督するなど特定の権限に限定したうえ、必ず『使徒座の承認』を得た上で行うことが定めています。この点に関しては、教皇フランシスコ教皇の使徒憲章『Praedicate Evangelium(福音の宣教)』にも重要な規定があります」と説明。
さらに、「教義を創ることはできないが、司教は教義に関するすべての問題に対処でき、常に教皇との一致を保ちながら行動することができます」と付け加えた。
*司祭、修道者、信徒の協力関係強化の仕組みなど、総会で合意した箇所については教会法の改正に進む可能性
教会法の改正の可能性などについては、プリスコ神父が、「教会法の観点から、新しい動きがあるかも知れません」と述べ、具体的に、司牧評議会や経済問題評議会、あるいは司祭、修道者、信徒の間で積極的な協力関係が見込まれる仕組みなど、「総会が合意に達したいくつかの点は、今総会の最終文書に盛り込まれて教皇に提言され、来年の夏までに、(教会法の関係個所が)刷新される可能性がある」とする一方、それ以外の課題については、「さらなる協議が必要になるので、より慎重に行われるだろう」と説明した。
*「今総会は、討議要綱が提示した課題のうちの一部は合意が得られないが、議論は今後も続けるべきだ」
ジェンダーや女性の聖職に関する問題など、特に神学的な観点から、この総会閉幕時に明確な答えが得られそうにない課題もあるが、「私たちが常に注目しなければならないのは、合意を見つける力です」とラッシュ神父は、記者たちに説明。「この総会で特定の課題で合意がえられなくても、必ずしも『議論が永遠に終わる』わけではない。『議論を継続する必要がある』ことを意味します」と述べた。
ヴィタリ神父もこの意見に同調し、「今回のシノドス総会の使命は、合意を通じて表明される地平線を示すこと」とし、「このシノドス総会の権威と信頼性は、将来的に合意につながる可能性のある神学者の研究の自由と区別されねばなりません」と強調した。
*「誰もが理解できる総会の最終文書にする必要であること」は総会参加者全員が理解
最後に情報委員会のルッフィーニ委員長は、今総会の最終文書について、「今シノドス総会の参加者の間で明確に理解され、存在しているのは、『言語への配慮』です… 最終報告書は、教皇に提出するだけでなく、神の民全員が理解できるように起草することが求められている、と皆、分かっています」と述べた。
また、チザール神学部長は自身の経験から、「このシノドス総会と東西両ヨーロッパの伝統と経験の間の『贈り物の交換』に神学が果たしている重要性を指摘。「信仰の感覚を常に念頭に置くことが基本です… 教義を実践に移し、教会が神の民に対して果たすことのできる人間の尊厳の維持と擁護の役割を重視することを目指しています」と語った。
この点についてラッシュ神父は、第2バチカン公会議の「神の啓示に関する教義憲章」を引用する形で「啓示は、神と人類の継続的な対話です」とべ、「教会は、その生きた伝統を継続するのを助けることができます」と説いた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)