(2024.1.30 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen )
ローマ発 – ケベック大司教区に対して性的虐待の損害賠償を求める集団訴訟でジェラルド・ラクロワ枢機卿が被告リストに載ったことに対し、同大司教区事務局は1月26日に声明を発表し、ラクロワ枢機卿が容疑を否定する一方、問題が解明されるまで「大司教区を指導する立場」から身を引くことを発表した。
ラクロワ枢機卿は1月25日、1987年と1988年の2回、当時17歳だった少女に「不適切な接触」をしたと主張する原告側の法廷文書により、集団訴訟の被告リストに載せられた。
ケベック大司教区は26日の声明で、ラクロワ枢機卿が「自身に対する容疑を断固として否定」し、容疑は「根拠がない」と考えている、と述べた。その一方で、枢機卿が「大司教区の指導から一時的に退く」ことを決めた、とした。そして、数日以内にラクロワ枢機卿は大司教区に「個人的な連絡を送り」、それが「メディアに中継される」予定としている。
ラクロワ枢機卿は、教皇の枢機卿顧問会議のメンバーで、昨年10月の世界代表司教会議の第1会期会合で、今年10月の第2会期を経てまとめられる最終文書を監督するために選ばれた7人の1人で、第2会期の会合に参加する予定。
だが、今回、集団訴訟の被告リストに載ったことで、2022年にバチカン司教省の元長官、マルク・ウエレ枢機卿が告訴(後に無罪)されて以来、性的虐待の被告とされた2人目のカナダ人枢機卿となった。
今回の ケベック大司教区に対する集団訴訟には約147人の被害者が参加している。 法廷文書には大司教区関係者15人の名前が挙げられているが、ラクロワ枢機卿が性的暴行をしたとされる相手の女性の身元は特定されていない。
ケベック大司教区は声明の中で、ラクロワ枢機卿が大司教ポスト不在中に物事を進めるために「あらゆる手段を講じる。真実を尊重し、誠実に集団訴訟に対応する」とする一方、 性的虐待の被害者への補償について”関心”を持っている」としている。