・被害者が望むのは、まず話を聴いてもらうこと、教会に歓迎され、支えれていると感じることも」ー教皇庁未成年者・弱者保護委員会の報告書担当者が語る

 16日に発表された教皇庁未成年者・弱者保護委員会の「教会における未成年者保護政策・手続きに関する第2回年次報告書」を担当した法学者モード・デ・ボア=ブキッキオ氏がVatican Newsとのインタビューに応じ、第二回報告書から浮かび上がった主要な要素を強調した。

 報告書では、金銭的補償を超えた賠償の重要性、被害者との対話と傾聴の必要性、教会内の性的虐待問題に対処するためのデータ収集の必要性、そして地理的地域ごとに異なる進捗状況が示されたが、これらは、未成年者保護教皇庁委員会が木曜日に発表した「教会における未成年者保護政策・手続きに関する第2回年次報告書」から浮かび上がった重要な側面の一部であり、同報告書作成作業部会の責任者を務める法学者マウド・デ・ボア=ブキッキオ博士が強調した点だ。。

 国際機関での児童保護の豊富な経験を持つブキッキオ博士は、この第2回報告書が賠償に焦点を当てた背景について、世界中の現地教会が被害者との対話を継続し、その声に耳を傾けることを支援するのが目的と強調した。

 

 インタビューの要旨は次の通り。

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*賠償問題への取り組みの手引書-金銭補償が被害者に必要な唯一の解決策ではない

 

Q:この第2回年次報告書から浮かび上がった主な要素は何ですか?

A:今回の報告書は世界中の教会による性的虐待対策の評価と進捗の観点から非常に重要な前進です。今年は”移行期正義”の概念(教会文脈では「対話的正義」と呼称)の中でも特に「賠償」という側面に焦点を当てることを決定しました。従来の手法に従い、様々な関係者との対話を通じて、賠償問題への取り組み方に関する現地教会向けの実践的ツール『手引書』を開発しました。

 全ての提言を要約するつもりはありませんが、重要なのは、金銭的補償が賠償や被害者のニーズへの唯一の解決策ではないことを明確に示している点です。私たちは被害者とその声に非常に注意深く耳を傾けました。これが報告書作成の方法論のもう一つの側面です。彼らが言うのは、基本的に「私たちが望むのは、話を聴いてもらうことだ」ということです。金銭的補償を受けること以上に、歓迎され支えられていると感じることが重要な場合もある。これが第2回年次報告書の極めて重要な側面です。

 本報告書ではデータ不足への懸念も強く表明しました。データは極めて重要です。データがなければ問題も存在しないから。教会自体や教皇庁省庁を通じて入手した内部データを超え、あらゆる可能な情報源から追加データを収集しようと努めました。

 

 

*今回報告書の主要テーマは「賠償」、次回は「正義と司法へのアクセス」

 

Q: 第1回報告書から第2回報告書の間の進展は?

A;私たちは極めて重要な課題に取り組んでいます。変化が一夜にして起こることを期待できません。必要なのは、この対話を継続し、提言のフォローアップを行うことです。それはローマでの議論だけでなく、当然ながら現地教会との間でも行われねばなりません。前述の通り、対話を継続することで彼らを支援しています。

 まず第一に、被害者と向き合う必要性に対する認識と理解が深まっていることが確認できました。この点では一定の進展が見られます。十分とは言えませんが、初年度報告書の影響が確実にこのレベルで感じられると確信しています。もちろん、被害者・生存者の状況はそれぞれ異なり、状況に応じた対応が必要です。事情が大きく異なるため、その判断は現地教会に委ねられます。

 民事当局への通報の必要性についても、国によって大きく異なります。義務化されている場合もあれば、通報者の判断に委ねられる場合もあります。この点については、確実に実施されていることを確認する必要があります。しかし全体として、ゆっくりと、一歩一歩、進歩していると考えています。

 第二回年次報告書は、第1回年次報告書を発表した時点で既に計画されていました。そこでは、対話的正義の概念がいくつかの柱から成ると説明しました。私たちのアプローチは各柱を個別に扱うことで、今年は「賠償」が対象でした。来年は正義と司法へのアクセスがテーマとなります。これも明らかに非常に重要な報告書となるでしょう。そして最後に、制度改革と真実の問題があります。なぜなら、真実こそが私たちがここで主張するすべての基盤ではないでしょうか?

 

 

*「地域」と言うよりも「教会」の中に対応が進んでいるところがあるが、対応に差

 

Q: 本報告書は、様々な国や教区における教会の保護方針と手続きに焦点を当てています。改善や進展が見られた地域はどこですか?また、まだ課題が残っていると思われる地域はどこですか?

A:この点では、教会は三つのカテゴリーに分けられます。ここで言う教会には修道会も含まれます。かなり進んでいる「地域」というよりも、「教会」があると言えます。そうして教会は、ガイドラインを公表し、被害者からの聴き取りのための適切な手続きやプロトコルを整えているなど、転換の道においてかなり先を行っているのです。

 次に、この問題が新しい概念であるため、取り組みを始めたばかりの教会があります。従来は制裁や懲戒手続きが中心で、加害者に焦点が当てられ、被害者は完全に無視されていました。そして残念ながら、それよりもさらに初期段階にある教会も存在します。当然ながら、ローマの教皇庁機関と連携し、これらの教会をその道へと導くことが極めて重要です。

 以上のように教会は三つのカテゴリーに分類されますが、地域的な位置付けはできません。グローバル・サウス(発展途上地域)の方が遅れているという見方は当然ながら、例外も存在します。報告書でも指摘したように、非常に興味深い地域的な実践例があります。例えばトンガでは、被害者への地域社会ベースの支援が非常に重視されており、これは非常に興味深い事例です。同時に、グローバル・ノース(先進地域)の欧州においても、一部の教会は非常に優れた取り組みを行っている一方、他の教会はそうでないという状況です。非常に多様な状況が展開されています。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2025年10月17日