・米司教団、先住民の子弟たちの心身に深い傷を負わせてきたことを謝罪(LaCroix)

(アメリカ国旗を掲げた制服を着た先住民の子弟たち、アラスカ州ホーリークロスで=写真提供:Asahel Curtis/Wikimedia Commons)

アメリカ国旗を掲げた制服を着たネイティブの子供たち、アラスカ州ホーリークロス。(写真提供:Asahel Cur

 

(2024.6.17 La Croix=with AFP) 

    全米カトリック司教協議会(USCCB)は14日、ケンタッキー州ルイスビルで開いていた春季総会の閉幕の際に公表した文書で、1950年代から1960年代を中心に米国のカトリック寄宿学校で先住民の子弟たちの心身に深い傷を負わせたことを公式に謝罪した。

 米国やカナダのカトリック教会では19世紀末ごろから、”民族同化”の一環として、先住民の子弟たちを強制的に家族から引き離して寄宿学校の収容し、司祭や修道女などによる虐待が繰り返され、それが長い間、隠蔽され続けてきた。

 それがまず、表ざたにされたのはカナダで、2021年春、先住民の子弟のカトリック寄宿学校の跡地で1000体以上の墓標のない墓が相次いで発見され、大きな問題となった。そして、2022年夏にカナダを訪問された教皇フランシスコが、先住民の人々に会い、「犯した罪への赦し」を求められている。

 それから2年遅れた今年5月、米有力日刊紙、ワシントン・ポストの調査で、1890年代以降、全米22のカトリック寄宿学校に配属されていた少なくとも122人の司祭が、先住民の学校生たちに性的虐待したとして告発されていることが明らかになった。記録された性的虐待のほとんどは1950年代と1960年代に発生し、1000人以上の子供たちが被害に遭っている。

  これに対して、USCCBは14日の文書で、このような先住民の子弟たちの心身に深い傷を負わせたカトリック教会の責任を認め、子弟たちを家族から引き離し、寄宿学校に収容して強制的な同化を図ろうとしたことを謝罪。「司牧を委ねられた子弟たちを敬意と感謝の心をもって育て、強めていく努力を怠ったことをお詫びします。”沈黙の文化”を打ち破ることに努めます」と述べた。

 米国では、米連邦議会が1978年に先住民児童福祉法を成立させるまで、先住民子弟を寄宿学校に強制収容し強制的に同化させようとする政策が続けられてきた。USCCBは文書で、「寄宿学校で、先住民の子弟たちは、伝統的な言語、服装、習慣を放棄することを余儀なくされてきました」とし、「教会が、先住民族の子どもたちの負った傷を認め、彼らの経験に謙虚に耳を傾けるときにのみ、癒しと和解は可能になります」と言明。カトリック教会の聖職者、信徒すべてのに対して、これらの問題における教会の役割に関する調査への協力を呼びかけた。

 米連邦政府当局の 2022 年のレポートは、全米に先住民子弟の寄宿学校が445校あり、うち84校がカトリック教会または団体によって管理されていたとしている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2024年6月18日