・米カトリック・ニューオーリンズ大司教区、聖職者による性的虐待事件で総額2億3000万ドル(約340億円)を被害者たちに支払う和解案で合意

(2025.9.9 Crux   Jack Brook,  Associated Press)

 米国のカトリック、ニューオーリンズ大司教が8日、聖職者による性的虐待の被害者たちに対し総額2億3000万ドル(約340臆円)の和解金を支払う和解案で合意した。、被害者弁護団が8日発表したもので、この合意により、カトリック教会で相次いでいる賠償訴訟の中で、同大司教区で長年にわたって続いていた問題の最終解決に向けた道が開かれたことになる。

 今回の合意について、被害者弁護団は、「被害者たちの『ノー』の力が大司教区を動かし、大幅な増額を実現した」とし、大司教区は声明で、改定和解案を「全ての申し立て生存者の利益となる重要な前進」と述べた。。

 被害者は10月下旬までに和解案の承認可否について投票し、3分の2が承認が得られれば、来年にも支払いが開始される。被害者弁護団のブラッド・ナップ弁護士は、「現時点で、この和解案に反対する虐待被害者側の弁護士は一人もいない。弁護団の全員が支持している以上、否決される可能性は極めて低いと思う」と語っている。

 非営利団体BishopAccountability.orgのテレンス・マッキアナン代表によれば、大司教区の破産手続きは、性的虐待に関連する米国で進行中のカトリック教会破産事件十数件の中でも、最も長い年月を要しているものの一つ。米連邦裁判所で破産手続きを監督するメレディス・グラビル判事は、「この和解案が承認されない場合、事件を却下する」と警告している。

 無担保債権者公式委員会が公表した書簡によれば、破産和解が失敗した場合、被害者は新たな訴訟を通じて虐待被害の賠償を求める必要が生じ、裁判で決着するまでにさらに数年を要する可能性がある。また、大司教区が支払いを遅らせるために再び破産を申請する可能性も出て来ることになる。同委員会は破産事件における虐待被害者の利益を代表し、被害者に和解案の受け入れを促し、個別の虐待被害訴訟を裁判所に持ち込むことは、「攻撃的で敵対的な」大司教区との困難な対立を招き、被害者やその友人・家族が厳しい証言録取や長年の控訴手続きに巻き込まれ、被害者の「精神的・心理的苦痛」を悪化させる可能性が高い、と警告している。

 「多くの被害者は、この問題を解決する準備ができている」と、数十人の被害者を代理する弁護士クリスティ・シューベルトは述べた。「多くの被

害者は今すぐ一定の金銭を受け取りたいと考えている」と言うが、被害者の一人、ケビン・ブルジョワ氏は、「金銭的補償には限界があります。被害者が人生を再構築するために残りの生涯を費やす必要を考慮すれば、真に公平と言える金額など存在しない」と語る。

 ニューオーリンズ出身の彼は聖職者による性的虐待を受け、2020年以前に私的和解を成立させていた。彼は、教区による破産手続きが、「人々を疲れさせ」、虐待を助長した実態を公に隠蔽する手段となっている」とも指摘した。

 5月に大司教区が提示した和解案では、「大司教区が外部専門家を招き児童保護プログラムを評価させ、改善策を提言すること」を義務付けている。また大司教区は、「虐待関連文書を保管する施設を設けること」や「被害者が大司教と経験を共有できる公開フォーラムの開催」などを約束する内容になっていた。

 ニューオーリンズのグレゴリー・M・エイモンド大司教は8日の声明で「虐待被害者の利益となる形でこの破産手続きを完結させることに、私は強い希望と決意を抱いています… 毎日、虐待被害者のために祈っていること、そして彼らと会い、話を聞く機会を心待ちにしていることを知ってほしい…」と述べている。

 エイモンド大司教は、数十年にわたり司祭に対する告発に対処しなかった教会の失敗をめぐり、辞任を求める被害者たちの声に抵抗してきた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2025年9月14日