(2025.7.5 Crux |Managing Editor Charles Collins)

教皇レオ14世が5日、バチカン未成年者・弱者保護委員会(Pontifical Commission for the Protection of Minors)の新委員長にティボー・ヴェルニー大司教を任命した。ヴェルニー大司教の委員長任命は、カトリック教会における性的虐待がもたらしている危機への対応に関して、新教皇が下した最初の主要な決定の一つとなる。
同委員会は2014年に教皇フランシスコによって設立され、以来11年にわたって米国のショーン・パトリック・オマリー枢機卿が委員長を務めていた。81歳になるオマリー枢機卿は、今回の人事について「ヴェルニー大司教は、2022年から委員会メンバーとして、教会における虐待防止に献身してきた」と評価。
それだけでなく、「フランスでのカトリック教会の性的虐待に関する重大な過失に対する説明責任を果たすため、法執行機関、その他の行政当局、そして教会指導者と長年にわたり連携してきた豊富な経験を持っておられる」と述べた。
ヴェルニー大司教は、フランスのシャンベリー=サン=ジャン=ド=モーリエンヌ=タロンテーズ大司教区の教区長。パリ大司教区の補佐司教時代に虐待事件への対応を主導し、現在は仏司教協議会で弱者保護の責任者を務めている。
オマリー枢機卿は「彼は、被害者との癒しと和解を求める最前線に立ってきた… 性的虐待の再発防止のため、文化的な特質を踏まえた実質的な方針と手順の策定と実施において重要な役割を果たした」とも評価。
そのうえで、「教会における性的虐待からの信徒保護のための規制の世界的導入を推進し、信徒の安全を確保することに努めるリーダーとしての仕事を、教皇がヴェルニー大司教に委ねてくださったことは、すべての人々にとって幸いなこと」と今後への期待を述べた。
また枢機卿は、委員長退任に当たって、「委員会に関係するすべての同僚、現在活動している同僚、そして過去に活動していた同僚の方々に、この使命に多大な時間と労力を費やし、子どもと弱い立場にある成人の保護に揺るぎない献身を示してくださったことに感謝します」と述べた。
未成年者・弱者保護委員会は、2014年の設立以来、波乱万丈の歴史を辿ってきた。委員の一人、アイルランドでの性的虐待被害者のマリー・コリンズ氏は、委員会の提案をバチカンが却下したとして抗議の辞職。委員会の柱で未成年者・弱者保護の権威、イエズス会士のハンス・ツォルナー神父も、委員会内部の数々の問題とバチカン官僚との関係を理由に、2023年に辞表を提出した。
これに関連して、オマリー枢機卿は5日の声明で、「新教皇は、委員会がカトリック教会にとっての優先事項であることを保証してくださった… 教皇就任以来の言動は、教会が子供たち、弱い立場にある成人、そして私たちのコミュニティのすべての人々の保護を可能な限り確保するための努力が揺るがないことを、世界に示しておられれる」と町長している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
*「カトリック・あい」注*Pontifical Commission for the Protection of Minorsの日本語訳として、日本の教会では”minors”を「未成年」に限定するような訳を使うことがあるようですが、つまり、「子供に対する性的虐待は絶対にいけないが、大人に対しては・・」と言うように誤解する向きもあり、それが日本の司教団の対応の甘さにもつながっているようにも思われます。”minors”は未成年者とともに「社会で弱い立場に置かれている人、身体的あるいは精神的に弱い成人」も意味して使われることが多い。オマリー前委員長も「子供たち、弱い立場にある成人・・・」と言われています。「カトリック・あい」では、今後もこのような日本語訳を使用し、”誤解”が司教団の今後の対応に影響しないようにいたします。