・ペルーの信徒団体による虐待の犠牲者たち、教皇の活動停止処分決定後の対応の遅さに不満

(2025.7.21 Crux  Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 ローマ発-ペルーを拠点とするカトリック信徒団体「 Sodalitium Christianae Vitae (SCV)」が性的虐待を含む虐待行為を広範に行っていたとして、教皇フランシスコから活動停止処分を受けたが、被害者たちは、その後、現地裁判所が出したSCV関連企業の行為を不当する判断などを評価する一方で、カトリック教会の司法面での対応の遅さと組織的な意思疎通の欠如を批判している。

 同国のカトリック信徒、ルイス・フェルナンド・フィガリが設立した信徒団体「 Sodalitium Christianae Vitae (SCV)」は今年初め、教皇フランシスコが亡くなる直前に、活動停止処分を受けた。バチカンで性的虐待問題を担当する教理省のシクルナ大司教による徹底した現地調査の結果をもとに、この信徒団体の本部と支部全ての活動を停止させるという異例の決定だった。各支部で発覚した虐待の中には、会員の身体的、心理的、精神的、さらには性的虐待も含まれており、その中には未成年者として虐待を受けた者も含まれていた。

 また、ペルーのピウラ州カタカオスでは、SCVのメンバーが所有または管理する企業が、農民グループに対して、土地買収の圧力をかけ、脅迫や司法面からの嫌がらせで農民を強制的に土地から追い出そうとしてきた。農民グループは、10年以上にわたって、複数のSCV関係企業による虚偽の申し立てや、暴力の行使で、自分たちの土地から追い出そうとする執拗な試みと闘ってきた。現在、SCV関係企業から少なくとも30~40の虚偽の刑事告訴を受け、「ペルー全国人権コーディネーター(CNDDHH)」が代理人として農民グループを司法面から支援。

 そうした中で、ピウラ州第4刑事裁判所は6月、SCVとつながりのあるConstructora Keheda社による土地簒奪の申し立てを却下する判決を下した。CNDDHHによると、この告発は2015年まで遡り、同社はカタカオス農民から先祖代々の共有地を奪い取ろうと、共有地取得記録を改ざんして公的登記所(Sunarp)に提出し、農産物輸出目的で開発しようとする営利企業に土地を売却したとされている。裁判所は判決の中で、カタカオス農民共同体が1980年代にさかのぼる権利証を持っていること、コンストラクタ・ケヘダが提出した証人は間接的で根拠のない証言をしていることを認めた。

 農民たちは、カタカオス地区の土地はすべて400年ほど前の先祖のものであり、したがって財産の譲渡は集会で過半数の承認を得なければならない、と主張。とりわけ農民たちは、「何年も土地を奪われ続け、土地を取り戻そうとすると、銃撃を含む暴力に遭い、「夫がSCVが運営する会社に雇われた犯罪組織に殺された」と主張する女性もいる。

 CNDDHHは判決を受けた声明で、この裁判所の判断を 「農民コミュニティから土地を奪おうとする企業が推進する犯罪化に、裁判所が正当に対する先例となるもの 」と評価した。

 だが、カタカオス農民たちは、この判決を評価する一方で、、SCV支部の元メンバーたちは、自分たちの裁判の進展の遅さや、教会組織や個人からのコミュニケーション不足に不満を漏らしている。四つのSCV支部の元会員で構成する「真実・正義・公正な賠償を求める会(AVJR)」は、SCVの清算手続きが遅々として進まないことを嘆き、被害者に対する賠償が迅速に行われるよう教皇レオ14世に求める声明を発表。「当協会は、被害者、生存者、その他当協会の使命に献身する人々を代表する当協会の活動の枠組みの中で、教会当局との当協会の調整の現状について、一般の人々に知らせることが必要であると考えている」と述べた。

 AVJRでは、生前の教皇フランシスコやバチカンの担当当局代表などに、SCVの活動停止処分後、「被害者支援のプロセス、プロセスの終結、カトリック教会との行動の調整について知らせてほしい 」と要請してきたが、「今日に至るまで、バチカンのどの部署からも、回答を受けていない」という。

 AVJRの関係者は、教皇フランシスコの死去と教皇レオ14世の就任という大きな動きの中で、教会としての具体的対応が遅れてるのを認めながら、「多くの人々が実際にSCVのメンバーから性的虐待やその他の被害を受けていること、訴えが無視され続けてきたことなどの現実を真剣に受け止めてもらいたい。バチカンはSCVの非道な行為を認め、活動を停止させたが、被害者たちへの賠償、心の癒しなどを目に見える形で示していない」と批判。

 「SCVの活動停止処分に踏み切られた教皇フランシスコと、その後継者であるレオ14世が約束された被害者に対するケアを実践するためには、そのプロセス、責任者、そして行動、期限、手続きについてできるだけ多くの人に知らせることが前提となる 」と主張している。

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2025年7月22日