・バチカンの未成年・弱者保護委員会が総会で「性的虐待からの弱者保護を教会の使命の中心課題とすること」を確認

File photo of tMons Thibault Verny with Pope Leo XIV(File photo of tMons Thibault Verny with Pope Leo XIV )
(2026.3.20 Vatican News)

 バチカンの未成年者・弱者保護委員会が20日、5日にわたる春季総会の幕を閉じた。総会には、世界中から委員やスタッフが集まり、「被害者との関わりを深め、世界的な保護基準を推進し、教会生活のあらゆるレベルでの協力を強化するこト」を確認した。

 また、教会の世話に委ねられたすべての子供、青少年、そして弱い立場にある人々の尊厳を守る、という中心的な使命を再確認する上で、教皇レオ14世が示した指導力に対し、深い感謝を表明した。

*困難な時代における責任を共有

 今総会は、世界中で紛争が続き、最も脆弱な人々に影響を及ぼしている状況下で、未成年者・弱者保護へ新たな決意と協力の必要性について考察。ティボー・ヴェルニー委員長は、保護の文化と体制を強化する現地教会に寄り添うよう促された教皇の言葉に呼応し、「注意深く耳を傾けること、謙虚さ、そして共有された責任の必要性」を強調。

 専門家や関係団体代表たちからは、保護に関する課題の複雑さと、教会と市民社会の主体との協働の重要性が指摘され、こうした現実に効果的に対応できる「開かれた共働性の精神」を育むことの緊急性が確認された。

*被害者や生存者の声に耳を傾けているか

 総会で話し合われた主たる課題にひとつは、教会の保護活動を進めるうえでの被害者たちの役割で、出席者たちからは、性的虐待被害者のトラウマに配慮した手続きを検討し、彼らの証言が政策、研修、報告にどのように一貫して反映されるかを検証。被害者との関わりが「保護活動の一つの側面にとどまらず、あらゆる行動の中心的な指針である」ことを改めて確認した。

 最近の性的虐待に関する報告は、「被害者が被った甚大な被害、そして教会内でその被害を引き起こした重大な過失を痛切に思い起こさせるもの」と受け止め、委員会として、「耳を傾け、寄り添い、被害を受けた人々への保護、説明責任、透明性、そしてケアが教会の生活の中心であり続けるよう支援する」決意を再確認するとともに、「なすべきことは、まだ多く残されている」ことも認めた。

*普遍的ガイドラインの策定と推進

 

 また、世界的な保護活動を支援するための重要な手段である『普遍的ガイドライン・フレームワーク』の策定にも大きな注目が集まった。

 委員たちは現在の進展状況を検証し、ガイドラインを「どのようにすれば、利用しやすく、文化的に適応可能で、霊的に根ざしたものにできるか」について検討。様々に異なる状況下にある現地の教会にとって具体的に役立つツールとなり得るよう、明確さと実用性を確保することが必要との認識で一致した。

 委員会は、今年後半に教皇にガイドラインの最終案を提出するのに先立ち、「福音の価値観に忠実でありつつ、専門的な基準にも沿った指針を提供する」決意を新たにした。

*世界的な取り組みを広げる

 

 総会ではまた、現在、世界の複数地域の18の現地教会を支援している「Memorare Initiative」の進捗状況についても検討した。同イニシアティブは、「評価、実施、検証」という体系的なモデルを通じて、報告体制、研修、および保護能力の強化を継続するもので、カトリック教会が性的虐待の被害者にとって安全な避難所となれるように支援する2023年にルワンダで開始され、各教区の文脈に合わせた支援を提供し、リソースの有無にかかわらず、すべての人を保護するという教会の神聖な義務を果たすことを目指している。

 このイニシアティブの推進には、これまでのところ、説明責任の仕組みが限られていることや資源の制約といった課題は残るものの、特にアフリカやラテンアメリカにおける前向きな進展があると評価した。

*説明責任を果たし、被害者と伴走する

 

 委員会が毎秋発表している年次報告書については、「世界的な説明責任のツール」であると同時に「伴走の仕組み」としてもその役割を拡大している点が、委員会から強調された。

 地域グループから共有された知見は、各国、各地域の性的虐待問題に対応する人的・物的資源の格差、データ収集体制の不備、そして変化し続ける法的状況が指摘される一方で、被害者からの貢献が、報告書の分析と提言に直接反映されていることが確認された。

 新たなパートナーシップや広範なデータ収集によって強化される継続的な取り組みは、教会生活の様々な分野における懸念に対処するとともに、委員会が「各地方教会および奉献生活におけるケアの文化への道のりの定着」と表現したものを支援することを目指すことが確認された。

*”オンライン虐待”など新たな形の虐待に対応を急ぐ

 

 最後に、総会は、個別課題の研究グループの報告をもとに、多面的な脆弱性やオンライン虐待の脅威の高まりなど、新たに浮上している課題に目を向けた。

 「脆弱性に関する研究グループ」が提示した学際的な枠組みは、関係性、文化、制度的な文脈においてこの問題を考察し、教会法上の実践と司牧の実践の両方に向けた示唆を提供。「オンライン虐待に関する研究グループ」は、デジタル上のリスクの特定や、予防・対応のための実践的なツールの開発において進展があったと報告した。

 そして、総会では、「世界的に見て、子どもや脆弱な立場にある人々に対するオンライン虐待の規模を考慮すれば、デジタル上の安全確保は緊急の優先事項とする必要がある」という見解で一致した。

 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年3月23日