(2023.10.31 Vatican News)
スペインのカトリック教会での性的虐待に関する第三者委員会の報告書の発表を受け、スペイン司教協議会(CEE)が10月30日にこの問題への対応について臨時総会を開くとともに、記者会見を行なった。
会見でCEE会長のフアン・ホセ・オメラ枢機卿は、性的虐待について被害者たちに改めて謝罪する一方、同国の一部メディアが伝えた約44万人という被害者数は「真実ではない」と否定、「疑惑の影」が「すべての聖職者や聖職者に及ぶべきではない」と言明した。
第三者委員会の調査報告は10月27日にスペイン議会下院に提出された。それによると、調査は8000 件の電話とオンラインによって行われ、質問を受けたスペインの成人の1.13%が、「子どもの頃に、司祭か教会の信徒指導者から性的虐待を受けた」と回答したとし、「スペインの教会は、聖職者による性的虐待とその隠蔽に対して措置をとってはいるが、十分ではない」と指摘していた。
また、一部のスペインのメディアはこの数字をスペインの成人人口に当てはめると、約44万人が未成年者の時代、ここ数十年間に聖職者、修道会の会員、信徒らから性的虐待を受けた可能性がある、と報道していた。
30日のマドリードでの記者会見で、オメラCEE会長は、「30日のCEE臨時総会には88人の司教が出席し、一部の司祭たちによって引き起こされた虐待行為に対する痛みを表明した」と述べ、被害者たちに改めて赦しを乞うとともに、被害者に対して包括的な賠償、支援、保護の態勢強化、そして何よりも虐待の再発防止に力を合わせることを、改めて申し合わせた、と説明した。
ただし、スペインの一部メディアが報じた約44万人という被害者の数字についてオメラ会長は「真実ではない。神の王国への奉仕に人生を捧げ、働く聖職者や修道者すべてに容疑がかかっているわけではない」とし、 CEE事務局長のフランシスコ・マガン司教も、「すべての司祭、すべての聖職者に闇と疑惑の影を広げるのは不公平で誤りである」と強調。オメラ会長も「わが国の司祭と修道者の大多数は忠実、かつ無私無欲で働いており、小教区と地域社会の両方で神の民に奉仕しているだけでなく、この国の最も辺鄙な地域で助けを必要としているすべての人々に仕えている」と強調した。
なお、CEEは、今年初めに同国の法律事務所the Cremades & Calvo-Soteloに委嘱して、これまで表に出たすべての虐待事例を網羅し、聖職者による虐待に関する調査を勧めており、 結果は2024年上半期に発表される予定だ。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)