・「司祭から繰り返し性暴力」ー女性信者、神言会を相手取り、損害賠償訴訟へ-朝日新聞が報道

(2023.11.17 カトリック・あい)

 カトリック信者の女性が、外国人司祭からの性被害を訴えたにもかかわらず適切な対応をとらなかったとして、司祭が所属していたカトリック修道会、神言会(日本管区本部・名古屋市)を相手取り、慰謝料として3000万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴することがわかった。

 16日夕、朝日新聞デジタルが報じた(https://www.asahi.com/articles/ASRCJ5401RBNUTIL01X.html)もので、それによると、 女性は東京在住の60代の看護師。女性や代理人の弁護士によると、女性は2012年、子どものころに受けた性暴力について、当時通っていた長崎市内の教会の外国人司祭に対し、告解で打ち明けた。すると、神父から「やり直しをしなければダメだ」などと言われ、霊的指導として17年末ごろまで繰り返し性交を強いられた、という。

 相談窓口や神言会の日本管区長に被害を伝えたところ、修道会は2019年に、その司祭に対して、「性犯罪を行い、貞潔の誓願を破ったと告発されていること」「彼の司祭としての行動は信者の間に嫌悪感を抱かせたこと」「将来スキャンダルを引き起こす可能性があること」を理由に聖職を停止し、共同生活から離れる3年の「院外生活」を決め、母国への帰国を認めた。だが、女性側は、調査は不十分で神父からの謝罪もないと主張。修道会が、その後再来日した神父の所在を把握していたにもかかわらず、女性側に伝えなかったなどと訴えている。神父については所在がわからないため、修道会のみを提訴する。

 朝日新聞デジタルによると、女性は性被害の影響で悩み、精神科に通院しており、取材に「救いを求めた教会で被害に遭った。信仰心を利用したこうした被害が起こっていることを知ってほしい」。代理人を務める秋田一恵弁護士は「神父は告解を利用して彼女の重大な秘密を知り、それに乗じて性加害を繰り返した。修道会は性被害の事実と加害者を組織的に隠蔽(いんぺい)している」と語っている。また、修道会の荒田啓示事務局長は取材に「神父は性行為を否定していた。訴状の内容を確認してから対応したい」と話している、という。

 神言会は、1875年に聖アーノルド・ヤンセン神父によって創られた宣教修道会で、1907年に日本で宣教活動を開始。現在、名古屋市に中学、高校、大学、長崎には中高を経営。新潟、仙台、東京、名古屋、福岡、長崎、鹿児島の各教区で約30の小教区を担当し、現在はカトリック東京教区、新潟教区の教区長に、それぞれ神言会出身の大司教、司教が就いている。

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2023年11月17日