(2023.9.25 Vatican News By Lisa Zengarini)
教皇フランシスコは25日、バチカンでラテンアメリカ未成年者保護研究・研修委員会(CEPROME)の代表団に対し、児童性的虐待の惨劇を根絶するために教会が成し遂げた進歩を評価するとともに、「弱い立場にある人々を守るための継続的な行動」に努めるよう求められた。
CEPROMEは、ラテンアメリカの教会で司祭や修道者に対して未成年者保護のための研修・指導を行っている機関。教皇は「児童の性的虐待の惨状には社会全体で対処しなければなりません」としつつ、「教会に大きな影響を与えている性的虐待は、全人類を巻き込み、いまだに必要な配慮が払われていない悲しい現実をあらわにしています」と指摘された。
また、スペインの教会が25日に祝った「ラガーディアの聖なる児童殉教者」を思い起こされ、虐待された子供たちとすべての弱い立場にある人々の苦しみを、キリストの苦しみと関連付け、「すべての子供たち、すべての弱い立場にある人々の苦しみの中に、ペロニカ*から差し出され、キリストがご自分の顔の汗をぬぐったヴェールに、キリストの顔が浮かび上がる奇跡が起きたら、世界はどれほど変わるでしょう!」と語られた。
注*キリストの時代にエルサレムに住んでいた女性。十字架を背負いゴルゴダの丘に向かうキリストに強く心を動かされ、額の汗を拭くように、と自分がかぶっていたベールを差し出しが。キリストがそれでご自分の汗を拭き、彼女に返してところ、奇跡が起こり、ベールにキリストの顔が浮かび上がった、といわれている。
児童性的虐待の惨状に対する惨劇に対処するCEPROMEの活動について、教皇は、「児童性的虐待への取り組みと撲滅において、教会が過去数年間に生み出した成果の一つ」と評価され、「この道における教会の歩みと成果が、他の機関も『ケア文化』を活性化するきっかけをなるような、社会にとっても重要な取り組みにつながるひつようがあります」と強調された。
さらに 教皇は、「この惨状と闘う教会の努力は、単に決められた規則を守るだけでなく、祈りにおいてイエスに託されたものでなければなりません。そして、救い主の前で、私たちは怒りに満ちた御顔の中で、自分が受け、また自分が引き起こした苦しみについて深く思いを巡らします。それは、たとえ痛みを抱えていても、私たちが出会う人々を遠い存在ではなく、兄弟と思うためです」と説かれた。
教皇は講話の締めくくりに、子供たちや弱い立場にある人々に性的虐待の犯罪を犯した者たちが回心し、虐待被害者の中に「イエスの目」を見ることができるよう、リジューの聖テレーズ(幼きイエスの聖テレジア)の取り次ぎを通して地祇のように祈るように促された。
「互いに愛し合おう、とイエスは言われます。自分自身を愛し、自分の傷、自分の小ささを知り、赦しと慰めを必要としていることを認識しましょう」とされたうえで、「私たちは、幼きイエスの聖テレジアが私たちの教えておられる信頼をもって祈ります。最も不幸で絶望的な状態にある罪人たちが回心するように、回心することで、彼らが、イエスが『なぜ、私を迫害するのか』と尋ねるイエスの眼差しを、相手のなかに見ることができるように」。