・教皇、米枢機卿に続いて豪大司教の“地位はく奪”-性的虐待問題に断固とした姿勢

 

(2018.7.31「カトリック・あい」)聖職者による幼児・少年への性的虐待とその隠蔽が欧米など世界の教会を揺るがし続けているが、教皇フランシスコはこれに関連して、7月28日の米ワシントンの名誉大司教、セオドア・マカリック枢機卿に続き、30日に、元オーストラリア司教協議会会長でアデレード教区長のフィリップ・ウイルソン大司教の辞表を受理した。両国の教会にいまだに強い影響力を持つ高位聖職者の事実上の”地位をはく奪”は、長引く聖職者虐待問題の収拾に対する教皇の強い決意の表れとみられる。

 Vatican Newsの30日の報道によると、教皇によるウイルソン大司教からの辞表の受理は、大司教がオーストラリアの裁判所から1970年代にある司祭が侍者の少年二人に性的虐待を行ったことを知りながらこれを隠ぺいしたとして有罪とされたのを受けたもの。

 定年まで8年を残している大司教は6月3日に1年の実刑を言い渡されていたが、これ以前の公判中の5月にアデレード大司教区での司牧責任者は降りたものの、容疑を否認し続け、大司教の地位を返上することを拒否。有罪判決が出た場合には、これを不服として控訴する意向を示し、控訴が退けられた場合に限って、地位を返上するとしていた。

 これに対して、同国の教会内外から強い批判の声が広がり、マルコム・ターンブル首相はじめ多くの政治家、さらに全豪司祭会議も、教皇に対して、大司教を解任するよう異例の要請を行っていた。

 今回の教皇によるウイルソン大司教の辞表受理について、全豪司教協議会会長のマーク・クラリッジ大司教が声明を発表し、「今回の教皇の措置は、性的虐待を受け、今も苦しむ人々にとって、いくらかの慰めになるかもしれない。だが、犠牲者が耐えている痛みは終わりません」と語った。

 またこれより前、28日付けのVatican Newsは、教皇フランシスコが28日、米ワシントンの名誉大司教、セオドア・マカリック枢機卿の枢機卿団からの退任を受理した、と報じていた。同日、マカリック枢機卿から辞表が提出されたのを受けたもの。同日のバチカン広報局の発表によると、これと併せて、教皇は、彼をすべての公務から外した。

*「カトリック・あい」解説*

 なお、25日付けのCruxによれば、同じ米国のボストン大司教で、聖職者による性的虐待問題への対応を教皇から任されているショーン・オマリー枢機卿は、マカリック枢機卿に対して最近、性的虐待の訴えが出されたのを受けて、毅然とした対応を訴えていた。

 マカリック枢機卿については、先月、ニューヨーク大司教区が調査委員会が、彼がニューヨーク大司教区で若い司祭として働いていた当時、侍者の少年に性的いたずらをしたと信頼できる訴えが出ていると判断したことを発表し、ニューヨークタイムス、ワシントンポスト両有力紙も、彼が何十年にもわたって複数の性的虐待を繰り返していた、との記事を掲載。これに対して、オマリー枢機卿は24日の声明で、これらの新たな案件の判断は「速やかに、断固として」行わねばならない、と言明していた。

2018年7月31日

・バチカンが韓国人神父を外交官に任命(CJC)

【2018.7.20 CJC】韓国の聯合ニュースが報じるところでは、韓国天主教(カトリック)大田教区所属のファン・インジェ神父が、バチカン(ローマ教皇庁)国務省からルワンダの大使館への人事発令を受けたことが、7月20日までに分かった。

 ファン氏は、バチカンの『外交官学校大学院』を卒業、外交官として第一歩を踏み出すことになった。ファン氏の外交官任用により、韓国カトリック教会出身のバチカン外交官は駐タイ・カンボジア・ミャンマー教皇庁大使として在職中の張仁南(チャン・インナム)大司教に続き2人目となる。

2018年7月25日

・19世紀の伊の青年信徒が列聖へ-10月に伊独西の6人と共に聖人に

教皇フランシスコの主宰による、列聖に関する枢機卿会議

(2018.7.19 バチカン放送)教皇フランシスコが19日招集された枢機卿会議で、19世紀のイタリアの青年信徒、福者ヌンツィオ・スルプリツィオの列聖が決まった。今年10月14日、すでに決まっている6人と共に列聖される。

 他の6人は、教皇パウロ6世(1897-1978)、エルサルバドルの殉教者オスカル・アルノルフォ・ロメロ・ガルダメス大司教(1917-1980)、イタリアの教区司祭で女子修道会創立者のフランチェスコ・スピネッリ神父(1853-1913)、同じくイタリアの教区司祭、ヴィンチェンツォ・ロマーノ神父(1751-1831)ドイツ出身の修道会創立者マリア・カテリナ・カスパー修道女(1820-1898)、スペイン出身で宣教女会を創立したナザリア・イニャチア・ディ・サンタ・テレザ・ディ・ジェズ修道女(1889-1943)。

 今回新たに列聖が決まったヌンツィオ・スルプリツィオは、貧困と、過酷な生活、重い病苦を背負いながらも、純粋で力強い信仰に支えられた生涯を送った。19世紀初頭、イタリア中部アブルッツォ地方の寒村に生まれ、父は靴職人、母は糸を紡いで生計を立てていたが、3歳で父を失い、5歳で母を失った。

 引き取った母方の祖母も3年後に亡くなり、母方の叔父に引き取られたが、叔父は幼い甥を労働力としか見なさず、教育も、十分な食事も、防寒に必要な衣服も与えなかった。鍛冶場で一日中働かせ、運ぶ手段も道具もないままに、厳しい気候の中、大人でも重い物を持たせ、山道を歩いて遠距離に届けさせた。

 ヌンツィオの慰めは、教会に入って、聖櫃の前で祈り、イエスと共にいることだけだったが、苛酷な環境の中で、ヌンツィオの片足は壊疽を患い、14歳の時、ラクィラの病院に入院。十分な治療もさらないまま、家に戻され、再び叔父から労働を強いられた。だが、ナポリで軍役に就いていた父方の叔父が、ヌンツィオの噂を聞いてナポリに呼び寄せ、「貧しい人々の父」と呼ばれていた信仰篤いヴォーキンガー大佐との出会いによって、彼はナポリの病院で治療を受けることになった。

 入院中、ヌンツィオは、病者たちの使徒となり、患者たちを見舞い、信仰に満ちた言葉で彼らを励まし、自らの苦しみを捧げる価値を教えた。子どもたちに公教要理を教え、大人たちを信仰生活へと導いた。奉献生活を志していた彼は、第二の父となった大尉の家に引き取られてからも、祈りや、ミサ、黙想を通し、一日をくまなく神に捧げ、修道者のような生活をおくった。一時小康状態を得たものの、病状は急激に悪化。自らの苦しみを神に捧げたヌンツィオ・スルプリツィオは、1836年、19歳の若さで帰天。彼の聖性に対する人々の声は、すぐに広まった。

 教皇ピオ9世は1859年、ヌンツィオ・スルプリツィオの英雄的徳を認め、尊者として宣言。教皇パウロ6世は第2バチカン公会議中の1963年、彼を福者として宣言し、青少年と、若い労働者たちの模範とされた。

(「カトリック・あい」編集)

 

2018年7月20日

・教皇が「若者シノドス」の”教皇代理”にミャンマーなど欧米以外から4人任命

(2018.7.14 Vatican News)

 「若者」をテーマにした世界代表司教会議(シノドス)第15回通常総会が10月3日から28日にかけてバチカンで引かれるが、教皇フランシスコは14日、同会議のpresidents-delegate として、ミャンマーのボー枢機卿など4人の枢機卿を任命した。

 Presidents-delegateは、シノドスの主宰者である教皇の代理として、総会を取り仕切る役割を与えられ、シノドスの作業を指導し、会議を効果的に進めるために、必要があれば特定の参加者に特別の任務を与える責任を持つ。また、会議がまとめる文書に署名をする。複数のpresidents-delegateがいる場合は、全員がシノドスの最終文書に署名をすることになっている。

 任命された4人の枢機卿は、ルイス・ラファエル・サコ、カルデア典礼バビロニア総大司教(イラク)、デシレ・ツァラハザナ、トゥアマシナ大司教(マダガスカル)、チャールズ・マウン・ボー枢機卿(ミャンマー)、ジョン・リバット、ポートモレスビー大司教(パプアニューギニア)。

 ⇒Presidents-delegateは、日本語に訳せば、「シノドスにおける教皇代理・総会議長」とするのが、実態に近いかもしれない。それだけ、今回シノドスの成否に重要な役割を果たすことになるわけだ。また選ばれた4人のうち、イラクとマダガスカルの2人は前月、枢機卿に任命されたばかり。また4人ともに欧米以外の出身で、中東、アフリカ、東南アジア、太平洋島しょ国から1人ずつ選ばれているのが注目される(「カトリック・あい」南條俊二・翻訳も)

2018年7月15日

・教皇、鹿児島教区の郡山司教の引退受理、後任は中野裕明師に

 教皇フランシスコは7日、鹿児島教区のパウロ郡山健次郎司教の引退届けを受理し、後任には、同教区司祭の、フランシスコ・ザビエル中野裕明神父を鹿児島教区司教に任命しました。叙階式の日程などは追って発表されます。

2018年7月10日

・バチカンで環境回勅公布3周年記念会議、気候変動で”トランプ宣言”に挑戦(CRUX)

Vatican environment summit challenges Trump on climate change

Participants at the International Conference “Saving our Common Home and the Future of Life on Earth” at the Vatican July 5-6 to commemorate Pope Francis’s encyclical on the Care of Creation, discussesd the current state of climate change. (Credit: Claire Giangravè.)

 

(2018.7.6 Crux  Claire Giangravè)

ローマ発―トランプ米大統領が気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年のパリ協定から離脱すると宣言して一年、環境問題に関する会議が、「われわれの共通の家と地球上の命の未来を救う」をテーマに5,6の両日、バチカンで開かれた。

  会議二日目の6日、教皇フランシスコは会議参加者に挨拶し、「パリ協定を達成するために、まだ多くのことを行う必要があるのを、私たち全員が知っています」とし、「地球環境の危機が最悪の結果をもたらさないように、すべての国の政府はパリの約束を守るために全力を傾けなければなりません」と訴えた。

 この会議は、教皇による環境回勅Laudato Si公布3周年を記念して開かれたもので、奇しくも、トランプ大統領のパリ協定離脱前言一周年と重なることになった。環境の専門家、活動家、聖職者、環境が問題になっている地域で暮らす人々など400人以上が参加し、現状分析にとどまらず、世界でこれから開かれる環境問題の主要会合も視野に入れた意見交換がされた。

 教皇は挨拶で「私たちの共通の家が置かれた状況への懸念が、私たちにとって大切な自然環境を目指した組織的な一致した努力に生かされていくことを希望しています」と述べ、具体的に、今年12月にポーランドのカトヴィツェで開く国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第24回締約国会議(COP24)で、パリ協定の目標達成のための具体的な合意がなされる重要性を指摘した。

 パリ協定は国連加盟の194か国が署名し、2030年までに温室効果ガスの排出量を各国が削減する目標を作成・提出・維持する義務と、当該削減目標の目的を達成するための国内対策をとる義務を負うこととしている。本来、指導的立場にあるはずの米国が”トランプ” 宣言で協定から離脱したため、欧州諸国の足元が揺らぎ、中国とインドが環境と経済成長のバランスの主張を強めるなど、義務履行にも齟齬が生じる中で、リーダーとなる国に空白ができている。

 そうした米国から”世界で最良の環境ジャーナリスト”とされているビル・マッキベン氏が会議に出席。「米国の機能不全をおわびしたい。綻びの修復に全力を尽くすので勘弁していただきたい」と、まず”謝罪”したうえで、「我々には技術があるが、対応が十分に早くなかったので、環境悪化を止められずにいる。そうした中で、希望は、環境保護に献身する若者たちの熱意と参加にある」と指摘した。

 一方、教皇は、「私たちの共同の家に向けた対話と努力は、必要な自然環境を養う努力の最前線で二つの人々のグループに場所を提供しなければなりません」とし、「この二つのグループは、今秋から来年に予定される二つのシノドス(世界代表司教会議)の主役―若者たちと、原住民、とくにアマゾン地域の人々-になります」と述べた。バチカンはこの10月に若者と召命の識別をテーマにしたシノドスを、さらに来年にはアマゾン地域全体に焦点を絞ったシノドスを予定しており、教皇の回勅Laudato Si と被造物に配慮した教皇の行動主義が、二つの会議で重要な役割を演じることになる。「現在の環境と気候変動の危機の結果に直面するのは若者です」と語る教皇は、「原住民の人々の土地が収奪され、略奪と”新型の植民地主義”によって、彼らの文化が踏みにじられるのを目の当たりにするのは、悲しいことです」とも述べ、一連のシノドスの重要性を強調した。

 教皇の話を聞いた出席者の1人、マーシャル諸島から参加したクリスティーナ・レイマース女史は、Cruxの取材に、「気候変動がもたらす影響と地球的な危機に対して、教皇が力をお使いになっているのは、とても素晴らしいと思います」とし、「最も影響を受けやすいのは、貧しい国々です。私は第三世界、貧しい国々の一つから会議に来ました。私たちがしなければならないのは、皆がこの問題に気づいてくれるようにすることです」と語った。

 グリーンランドから参加した男性は、自国を「気候変動のground zero(爆心地)です」とし、 “Big Ice(大氷盤”の融解-自分が生きている間に氷の厚さが5000メートルから2000メートルになってしまう―に言及。「あなた方が、私の最後の希望です。本当に、文字通り、あなた方はこの地球にとっての最後の希望なのです。(それなのに)何があなた方にやってくるのか、まったくお分かりになっていない」と参加者に注意を促した。

 教皇は、講演の中で”ecological conversion(環境的改心)”-実際的な答えと行動が必要だと気づくこと-を呼び掛け、「私たちが将来の世代に瓦礫と不毛の地と廃棄物だけを残してしまう、真の危機を迎えているのです」「時間を無駄にしている余裕はありません」と現状への真剣な理解を求めた。そして、気候変動対策のボールを前に転がすことは、国々の政府だけではできない、地方政府、市民社会、経済や宗教の組織も一緒にならなければ、前に進むことはできない」と強調、9月12日から14日にかけてサンフランシスコで開かれるGlobal Climate Action Summit(地球気候行動サミット)に向けて、「全世界の市民活動グループへの支援」を訴えた。

 また教皇は、世界の金融機関は「問題のもとでもあり、問題解決の力のもとでもある」として、人が人らしく成長していけるようにする”paradigm shift(発想の転換)”の必要を改めて指摘した。バチカンがIMF(国際通貨基金)と世界銀行に、そのような転換をもたらすようにもとめる請願書を準備しているように、宗教組織も、環境保護を支持し、とくに特に貧しい人々に影響を与えるような気候変動に対処する責任がある。

 ノルウェーの教会の名誉司教でReligions for Peace 名誉総裁であるギュンナー・ステルセット師はCruxとのインタビューで、「気候変動の問題は、創造物を支持し、原住民の人々を支持し、未来に向けた命の存在を支持する中で、諸宗教を集結させている」と述べ、「気候変動問題に関する運動に求められているのは、精神的分野、実存的分野、道徳的分野での取り組みであり、政治家と外交官が担当する分野ではありません」と指摘したうえで、「素晴らしいことは、(政治家たちが)我々が必要としていることを知っていることだ。だから、世俗的な政治的責任を持つ人々と宗教指導者、信者たちが、共に満足を得ることが可能なのです」と語った。

 気候変動が信仰一致の点において、活性化の力となることが証明されているが、教皇は「やりがいのあることが不足しているのではありません」と強調した。気候変動に関する政治には、地球的な取り組みを失速させるリスクがある一方で、この問題への宗教組織の現実的な関与に疑問を抱く向きもある。マッキベン氏はバチカン関係の諸金融機関は、すすんで脱化石燃料の推進に取り組んでいるのか、と問い、そうすれば、「炭素の排出量はローマに合ったものになるだろう」と付け加えた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年7月7日

・教皇、9月のバルト3国訪問の日程発表

(2018.7.5 バチカン放送)

 教皇フランシスコが9月にバルト3国へ、4日間の司牧訪問をされるが、その日程の詳細が発表された。

 9月22日(土)から25日(火)まで、リトアニアの首都ヴィリニュスを基点に、同国カウナス、ラトビアの首都リガとアグロナ、そしてエストニアの首都タリンをお回りになるが、詳細は次の通り。

*9月22日(土) 教皇は早朝ローマを出発し、正午前にリトアニアの首都ヴィリニュスに到着。市内の大統領官邸で歓迎式に臨み、大統領への表敬訪問を行う。続いて、官邸前広場で、リトアニアの各界代表および同国駐在外交団と会見。夕方、聖母巡礼聖堂を訪問。この後、カテドラルで若者たちとの集いを持たれる。

*9月23日(日) 午前、教皇はヴィリニュスから、リトアニア中部の都市カウナスに移動。同市の公園でミサ。午後、カテドラルで司祭・修道者・神学生らとの出会い。この後、教皇はヴィリニュスに戻り、占領と自由のための闘争の博物館を訪問し、祈りを捧げられる。

*9月24日(月) 午前、教皇はヴィリニュスから、ラトビアの首都リガへ。市内の大統領官邸の中庭で、歓迎式。続いて、教皇は官邸に大統領を訪問される。官邸の広間で同国各界要人と駐在の外交団との出会い。解放記念碑に献花。ラトビア・ルーテル福音教会のカテドラルでエキュメニカルな集い。次いで、カトリックのカテドラルを訪問。午後、教皇は同国東南部のアグロナの聖母巡礼聖堂を訪問。再び、ヴィリニュスに戻られる。

*9月25日(火) 午前、教皇はヴィリニュスを後にし、エストニアの首都タリンへ向かう。市内の大統領官邸で歓迎式。大統領訪問と、各界代表および外交団との会見を行う。ルーテル派の教会で若者たちと共にエキュメニカルな集い。午後、カトリック教会のカテドラルで、教会の支援を受けている人々とお会いになる。続いて、市内の広場でミサを司式。空港での送別式を経て、ローマに向けて発ち、同日夜バチカンに戻られる。

2018年7月6日

・教皇、広報省長官にバチカン長官として初の一般信徒を任命

教皇庁広報省の新長官となったパオロ・ルッフィーニ氏 – RV

(2018.7.6「カトリック・あい」)バチカン発表によると、教皇フランシスコは5日、教皇庁広報省の長官にジャーナリストのパオロ・ルッフィーニ氏を任命した。広報省は、先月23日に広報事務局から「省」に昇格したばかり。また、バチカンの長官はこれまですべて司祭が務めており、一般信徒が長官となるのはルッフィーニ氏が初めてだ。

 教皇は、バチカン改革の一環として、女性を含む一般信徒の責任あるポストへの任命を進めており、今回も教皇の具体的な意思が反映されている。また教皇は、世界に向けた情報発信、宣教の手段としての広報部門の再編、強化にも力を入れ、先に、 バチカンの主要メディアであるVatican news, Vatican media and Radio Vaticana のコンテンツの共有、広報関係スタッフの見直しを図り、さらにマルチメディアとビデオ放送への展開にも意欲的で、新長官はこれらの広報部門改革の推進役としての責任を負う。

 ルッフィーニ氏は、イタリア・シチリア州パレルモの生まれの61歳。ジャーナリストとして、新聞・TV・ラジオの分野で40年近い経験を持つ。1979年にナポリのイル・マッティーノ紙で記者生活を始め、ローマのイル・メッサジェーロ紙に転じ、1996年にイタリア放送協会に移ってラジオニュース、国会番組、ラジオ1(1999-2002)でディレクターを務めたあと、2014年からイタリア司教協議会のラジオ放送「インブルー・ラジオ」の放送局長。並行して、イタリア放送協会のRAI3で局長のあと、TV局La、TV2000で放送総局長となっている。

2018年7月6日

・バチカンが児童ポルノ禁止法違反の前駐米参事官に禁固5年の有罪判決

 (2018.7.5 「カトリック・あい」)BBCなど複数の欧米有力報道機関が伝えたところによると、教皇庁裁判所が6月23日、バチカンのワシントン大使館に参事官として勤務していた司祭に対して、児童ポルノ所持の罪で、禁固5年の判決を言い渡した。

  有罪となったのはイタリア人のバチカン外交官、カルロ・アルベルト・カペッラ神父(51)で、児童ポルノの動画などの40件以上の画像をスマホに溜め込み、閲覧、交換していた。このような行為は2017年夏からなされ、昨年8月に、赴任国である米国の国務省からバチカンに、児童ポルノに関する法律に違反するバチカン外交官がいる旨の通報があり、バチカンは9月に召喚、裁判が行われていた。

 米国務省は、通報時に、カッペラの外交特権はく奪を提示、米国の裁判所で裁かれる可能性もあった。またカナダの警察当局はカッペラの逮捕状を取っていた。

 参事官は大使館で大使、公使に次ぐポスト。しかも駐米大使館という、バチカンが世界に置いている大使館で最重要の勤務地で、熟練のはずの外交官による、このような行為が米国側からの通報があるまで見過ごされていたわけで、バチカン国務省はじめ関係者に猛省が求められよう。

 

 

2018年7月5日

・教皇庁が「『奉献されたおとめ』のための指導書」発表

教皇フランシスコと、奉献・使徒的生活会省長官ジョアン・ブラス・ジ・アビス枢機卿 – AP

(2018.7.4 バチカン放送)

 教皇庁の奉献・使徒的生活会省(長官:ジョアン・ブラス・ジ・アビス枢機卿)は4日、「奉献されたおとめ(オルド・ヴィルジヌム)」のための指導書「エクレジア・スポンセ・イマーゴ(教会の花嫁の姿)」を発表した。

 「奉献されたおとめ」とは、教会によって公式に認められた、女子の奉献生活の一つのあり方。結婚せず、おとめの状態に留まり、家で日常の生活をおくりながら、自身の人生を、主と教会への奉仕のために捧げる。初代教会の時代から存在し、一人の女性が「神に生涯を捧げ、教会に奉仕したい」と決意した場合、司教のもとへ赴き、自らの奉献を願い出ることで、司教によって神に奉献され、「奉献されたおとめ」となった。

 中世以降、修道会と修道生活の発展によって、この奉献スタイルは次第に消えていったが、第2バチカン公会議後の1970年、パウロ6世によって「奉献されたおとめ」の奉献のための典礼が復活。それ以来、この特別な形態による自らの奉献を司教に申し出る女性たちの数は徐々に増え、現在、世界で5千人以上が「奉献されたおとめ」としての生活を送っている。今回発表された文書は、「奉献されたおとめ」について深い考察をもって記された、教皇庁初の指導書となる。

 指導書の序章、中心となる3部、結びで構成され、全部で115章。序章で「奉献されたおとめ」の伝統と歴史、その特有の奉献スタイルが語られ、第1部は「奉献されたおとめ」への召命とそこに存在するキリスト教的・聖書的基礎、カリスマ、霊性など、第2部は「奉献されたおとめ」の普遍教会、また地方教会と教区における立場、あり方、関係など、第3部は「召命の識別」と「霊的・教育的な養成」について、それぞれ述べている。

 奉献・使徒的生活会省長官、ブラス・ジ・アビス枢機卿は、この指導書の公布にあって、おとめの奉献の典礼復活から50年を迎える2020年に「奉献されたおとめ」たちの国際的な集いをローマで開くことを明らかにした。

(「カトリック・あい」が編集)

2018年7月5日

・教皇、さらにチリの司教2人を事実上解任-性的虐待隠ぺいで(CRUX)

 

Pope removes two Chilean bishops accused of abuse cover-ups

Chilean Bishop Alejandro Goić Karmelić. (Credit: Diocese of Rancagua.)

(2018.6.28 Inés San Martín)ローマ発―チリにおける聖職者による隠蔽を含む広範な性的虐待のスキャンダルに対処する一環として、教皇フランシスコは6月27日、先日の二名に続いて、さらに二名の司教を事実上解任した。

 チリの司教団は、多くの信徒、とくに児童を性的に虐待し、隠蔽した責任を取って、全員が教皇に辞表を出していたが、教皇庁の27日の発表によると、新たに教皇が辞表を受理したのは、ランカグア教区の Alejandro Goić Karmelić司教とタルカ教区のHoracio del Carmen Valenzuela Abarca司教。後者は、幼児性愛で悪名高いフェルナンド・カラディマ神父の取りまきの4人の司教の1人。4人の司教のうち、解任されたのはこれで2人となった。

 Goićは、チリの教会でもっとも影響力のある司教の1人。2004年から2010年にかけて同国司教協議会の議長を務めていた、また、この数週間前まで、チリの教会全体の性的虐待防止委員会の委員長だったが、司教の事実上の定年である75歳を越えてことが、辞表提出の理由だった。

 チリの司教団は今春、同国内での組織的な幼児性的虐待と隠ぺい、さらに権力の乱用による危機的状況をバチカンが聴取するために、召喚され、教皇ご自身が司教たちと話し合いを持たれた。その内容は、公表されていないが、関係筋が明らかにしたところによると、教皇は、チリの教会で過去数十年にわたり、数々の犯罪が行われ、証拠の隠滅もされてきた、として、司教団に厳しい反省と、信頼回復への番本的な対応を求めた、という。

 Goić は、本人も含む司教団がバチカンから帰国してまもなく、性的虐待防止委員会の長を辞任したが、その際、自身の教区で14人の司祭が幼児性的虐待を含む過ちを犯している、との信徒たちからの訴えを無視していたことを認めた Goić は二年前に司祭たちについての訴えを受けていたが、テレビ報道で明らかにされるまで、何らの措置も取らず、報道後になって、司祭としての職務停止の処分をしている。

 教皇は、Goićの後任司教に、首都サンチャゴのルイス・フェルナンド・ラモス・ぺレス補佐司教を選任した。だが、サンチャゴのリカルド・エザチ大司教も、虐待の被害者から、本人は否定しているが、性的虐待の事実を隠蔽し、訴えを無視したとして糾弾されている。

 今回、Goićとともに司教を解任されたValenzuelaは、64歳。長い間、カラディマ神父による性的虐待の犠牲者たちに、虐待を隠ぺいしたとして訴えられてきた。

 カラディマ神父から性的虐待を受けた犠牲者の1人、ホアン・カルロス・クルス氏は4月下旬に、他の被害者3人と共に教皇と会見し、その後の報道機関とのインタビューで、4人の司教たちは「カラディマがどのように、若者たちに触れ、性的虐待したかを知っており、その場にいた」ことを明らかにし、「そのことを教皇もご存知になった」と語っていたが、クルス氏は、今回の司教解任について、「教皇は、チリの教会の浄化に”ゆっくりだが、確実”に取り組んでくださっている」と評価した。

 チリの教会の性的虐待スキャンダルは2015年に発覚し、その年に教皇は、先に解任したバロスをオソルノ司教に任命した。教皇は今年1月中旬まで、彼を公けに弁護し、南米諸国訪問の際も、彼に対する批判は「中傷」だ、としていた。だが、1月下旬になって、事態が一変。教皇が大司教をトップとする現地調査団をチリに派遣して、バロス問題を調べる、とバチカンが発表。調査団は帰国後、2300ページに上る報告書を教皇に提出。さらに6月初めに、二度目の現地調査が行われた。その間、教皇はチリの司教全員をバチカンに召喚し、全員が辞表を提出する一方、教皇はカラディマの犠牲者の信徒たち、犠牲者5人と彼らを支援した司祭二人と一般信徒二人を個別にバチカンに呼んで話を聞いている。

(「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

2018年7月3日

・「栄光と十字架は共にあり、切り離せない」-教皇、菊地大司教ら首都大司教のパリウム祝別

バチカン、6月29日、使徒聖ペトロ・聖パウロ祭日のミサ、教皇フランシスコと首都大司教たち – AP

(2018.6.29バチカン放送)

 カトリック教会の典礼暦が29日、使徒聖ペトロ・聖パウロの祭日を迎えた。同日午前、教皇フランシスコは、バチカンの聖ペトロ広場で、ローマの保護者である両聖人を祝うミサを捧げられ、菊地功・東京大司教はじめ最近任命された首都大司教たち、また大阪大司教・前田万葉枢機卿など前日28日の公開枢機卿会議(コンチストーロ)で叙任さ れた新枢機卿たち、世界各地の多くの枢機卿・司教による共同司式をされた。

 バチカンと同総主教庁間では、聖ペトロ・聖パウロの祭日と聖アンデレの祭日に、毎年使節が交換されており、儀式には、正教会のエキュメニカル総主教庁から使節が参列したいと思います。また、日本の巡礼団も参加し、共同祈願では、日本語による祈りも唱えられた。

 この日のミサの伝統として、教皇は式中、首都大司教らに授与する「パリウム」を祝別された。

「パリウム」は、白く細長い帯状の肩掛けで、キリストの傷跡を象徴して、6箇所に黒い絹糸で十字架が刺繍されている。毎年聖アグネスの日(1月21日)に教皇に祝別された子羊の毛を用い、作られる。カズラ(祭服の一種)の上から肩に掛けるパリウムは、羊を肩の上に背負う「善き羊飼い」の姿を象徴している。

 パリウムを祝別された教皇は、ミサの終わりにそれを首都大司教一人ひとりに手渡された。首都大司教らはパリウムを各教区に持ち帰り、後日、その国に駐在する教皇大使の手を通して、信者たちの前で肩にかける式を行う。

 ミサの説教で、この日の福音朗読を取り上げた教皇は「それでは、あなた方は私を何者だと言うのか」(マタイ福音書16章15節)というイエスの問いに、シモン・ペトロが「あなたはメシアです」(同16章16節参照)と答える場面を観想され、「あなたはメシアです」というペトロの答えは、「その時、彼が考えつく限りの最も偉大な呼び名を、イエスに与えるものでした」と振り返られた。

 さらに、興味深いことに、「ペトロがこのように信仰を表した後に、イエスがご自分の死と復活を予告し、弟子たちに説明し始めている」ことを指摘された。ペトロが、イエスのこの思いがけない予告に対し、「主よ、とんでもないことです。そんなことがあってはなりません」(同16章22節)といさめ始めると、イエスはペトロに「サタン、引き下がれ」と言われたことを取り上げ、「信仰を表したばかりのペトロが、すぐにメシアの道を邪魔する『つまずきの石』となり、知らぬ間にイエスの敵になってしまった」ことに注目。

 「ペトロの生涯と信仰告白を観想することは、使徒の人生につきまとう誘惑について学ぶことでもあるのです」と話され、「ペトロのように、教会もまた、宣教のつまずきとなる悪のささやきに、常にさらされている」と注意された。

 教皇は、「メシアであるキリストの業に参与することは、キリストの栄光、すなわち十字架に参与すること」と強調され、イエス・キリストにおいて「栄光と十字架は常に共にあり、それらは切り離すことができません」と説かれた。そして、「キリスト者でありながらも、主の傷と適度な距離を保とうとする誘惑」に注意を促され、「人間の苦しみに触れるイエスは、私たちにご自身と共に隣人の苦しみに触れるようにと招いておられます」と訴えられた。

(「カトリック・あい」が編集)

2018年6月30日

・「信頼に値する権威は身をかがめることから生まれる」‐前田枢機卿ら新枢機卿叙任

前田万葉枢機卿に緋色のベレッタを与える教皇フランシスコ、6月28日、バチカン・聖ペトロ大聖堂 – REUTERS

(2018.6.28 バチカン放送)

 教皇フランシスコが28日、バチカンで新枢機卿の叙任式をとり行われた。同日午後、教皇は聖ペトロ大聖堂で公開枢機卿会議(コンチストーロ)を開催。この中で大阪教区大司教・前田万葉枢機卿を含む14人の新枢機卿を叙任する儀式を行われた。

 教皇は5月20日に、教皇選挙(コンクラーベ)の投票権を持つ80歳未満の枢機卿11人と、選挙権を持たない80歳以上の枢機卿3人の名前を発表されていた。

 28日の枢機卿叙任式には、教皇と新枢機卿らを囲んで、教皇庁や世界各国の枢機卿たちが出席。式の初めに、ルイス・ラファエル・サコ、カルデア典礼バビロニア総大司教が、新枢機卿を代表し、教皇に感謝の言葉を述べ、マルコ福音書(10章32‐45節)が朗読された後、教皇は説教をなさった。

 教皇は「一行がエルサレムへ上っていく途中、イエスは先頭に立って進んで行かれた」(マルコ10章32節)という福音書の言葉から、「唯一無比の教えをもってご自分の民を顧み、先頭に立って皆を導く主の姿」を観想され、一方で、「イエスがご自分の死と復活について三度目の予告をするという緊張に満ちた状況にもかかわらず、自分の地位をイエスに願い出たり、そのことで腹を立てる弟子たちの争い」も見つめられた。

 イエスはこのような弟子たちに対し、「支配者たちは民を支配し権力をふるっているが、あなた方の間では、そうではない。あなた方の中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になりなさい」(参照:マルコ10章43節)と言われた。

 教皇はここでイエスが語られている「あなた方の間では、そうではない」という言葉をとらえ、「共同体の中での無用な議論や自己優先的態度をとることなく、人々に奉仕する者となる」ように招く、主の教えを示された。そして「主のこの言葉は、共同体が自分自身だけを見つめることから抜け出し、眼差しを本当に大切なもの、すなわちミッションへと向けるように助けるものです」と話された。

 そして、「真に信頼に値する権威は、キリストに奉仕するために人々の足元に身をかがめることから生まれます」とされ、「神の忠実な民の中で、飢えた人、忘れられた人、受刑者、病者、麻薬中毒患者など、希望や失望、苦しみや傷を抱えた具体的な人々の中で、キリストに仕える」ように、と新枢機卿たちに求められた。

 説教に続き、教皇は、枢機卿叙任のためのラテン語の式文を述べ、新枢機卿たちの名前を読み上げられ、新枢機卿たちは信仰宣言を唱え、教皇への忠実と従順を宣誓。この後、帽子と指輪の授与が行われた。教皇は、枢機卿のシンボルである緋色の帽子「ベレッタ」と、指輪、任命書を一人一人に手渡し、温かい抱擁を与えられた。またこの際、教皇は、それぞれの枢機卿に象徴的に託されるローマの名義教会名を告げられ、前田万葉枢機卿には、モンティ地区の聖プデンツィアーナ教会のタイトルが与えられた。この後、新枢機卿たちは、枢機卿団に迎えられ、そのメンバーたちとも平和の抱擁を交換した。

 叙任式を終えた新枢機卿たちは、同日夕方、バチカンのパウロ6世ホールなどを会場に、関係者や信者たちの祝いの訪問を受け、29日は、ローマの保護者、使徒聖ペトロと聖パウロの祭日に当たり、教皇は新枢機卿、菊地功・東京大司教はじめ最近任命された各国の首都大司教たちと共に、バチカンの聖ペトロ広場でミサを捧げられる。

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 28日に教皇フランシスコにより叙任された新しい枢機卿は次の通り。(儀式における発表順・敬称略、括弧内は出身国・年齢・所属修道会等)

・ルイス・ラファエル・サコ、カルデア典礼バビロニア総大司教(イラク、69) ・ルイス・ラダリア、教理省長官(スペイン、74、イエズス会) ・アンジェロ・デ・ドナーティス、ローマ教区教皇代理(イタリア、64) ・ジョヴァンニ・アンジェロ・ベッチウ、国務省総務局長官代理、駐マルタ騎士団特別使節(イタリア、70) ・コンラート・クライェウスキ、教皇慈善活動室責任者(ポーランド、54) ・ジョセフ・コーツ、カラチ大司教(インド、72) ・アントニオ・ドス・サントス・マルト、レイリア=ファティマ司教(ポルトガル、71) ・ペドロ・バレート、ワンカヨ大司教(ペルー、74、イエズス会) ・デシレ・ツァラハザナ、トゥアマシナ大司教(マダガスカル、64) ・ジュゼッペ・ペトロッキ、ラクィラ大司教(イタリア、69) ・トマス・アクィナス・前田万葉、大阪大司教(日本、69) ・セルジョ・オベソ・リヴェラ、ハラパ名誉大司教(メキシコ、86) ・トリビオ・ティコナ・ポルコ、コロコロ司教(ボリビア、81) ・アクィリーノ・ボコス・メリノ、クラレチアン宣教会・司祭(スペイン、80)

(「カトリック・あい」が編集)

2018年6月29日

・教皇、東京大司教区の幸田和生補佐司教の引退を承認

(2018.6.23 バチカン放送)

 教皇フランシスコは、東京大司教区の補佐司教、幸田和生司教の引退を承認された。教皇庁は、6月23日付の人事に関する文書で、教皇が幸田司教の同教区・補佐司教職からの引退願いを認められたことを発表した。ヤコブ幸田和生(こうだかずお)司教は、1955年3月生まれ。1985年3月、司祭叙階。2004年11月に東京大司教区の補佐司教に任命され、2005年2月、司教叙階。

2018年6月23日

☩「非カトリック教徒への聖体拝領を判断するのは、司教団でなく、現地の教区司教」機上会見で

Pope says local bishop should make the call on intercommunion

Pope Francis is welcomed by the President of the Swiss Confederation Alain Berset, right, as he steps out of the plane after landing at the Geneva International Airport for a one-day visit at the invitation of the World Council of Churches (WWC), Thursday, June 21, 2018, in Geneva, Switzerland. (Credit: Tony Gentile/pool photo via AP.)

  • (2018.6.21 Crux National Corresponden Christopher White) ジュネーブからの帰途、教皇と同行の機上にて- キリスト教徒たちが大いなる一致を共有したジュネーブ一日訪問の後も、教会一致を進めるという公約が、教皇フランシスコがバチカンの教理の番人-プロテスタントとの相互交流の提案について慎重な態度をとるよう強く主張する-を支持しないようにすることはなかった。

  •  教皇は、ジュネーブで開かれた世界教会協議会(WCC)創設70周年のキリスト教諸教会の代表たちとの教会一致を祈る集いに参加するため、一日の教会一致の巡礼の旅をされたが、21日夕の帰国途上の機上会見で、バチカン教理省のルイス・ラダリア長官を支持する、と語った。ドイツ司教団がこのほど、バチカンに対して、「一定の条件付きでカトリック信者以外にも聖体拝領を認める」ことを希望する旨の提案を策定したが、ラダリア長官はこれについて、同司教団に考え直すように求めている。

  •  ドイツ司教団の提案は、今春開かれた司教団の会議で、全司教の4分の3の圧倒的多数の賛成を得ていたが、教理省は先月、その受け入れを拒否していた。その際の書簡は、今月になって公開され、その中で長官は、この提案は「まだ公開の機が熟していない」と述べている。

  •  この問題について、教皇は「長官は勝手にそうしたのではなく、教皇の許可を得ている」とするとともに、教会法の規定では、どのような条件で、非カトリック教徒に聖体拝領を認めることができるかの判断を、現地の司教団ではなく、現地の司教に任すことになっている、とし、「教会法の規定は、特定の教会-『特定』は重要な意味を持つ言葉で、『教区』を意味している-の司教が、これについての責任を持っている…彼の手の中にある、としています」と説明した。

  •  さらに、教皇は、司教団が全体としてこのような課題を扱うことの問題は、「司教会議として決められたことが、瞬く間に、教会全体に通用するようになる」ことにある、と指摘された。ただし、この一方で、教皇はドイツ司教団の努力を称え、その提案文書は「キリストの精神をもって良く考え抜かれたもの」としたうえで、ドイツの司教団がどのような結論に達したとしてもそれはあくまで一つの方向を示すものであり、「教区司教は教会法が認めるところに従って、自身の判断でどうするかを決められるでしょう」と改めて確認した。

  •  この30分間の機上会見では、他に世界の移民・難民の実情についても取り上げられ、教皇は、これについては、トランプ米大統領の移民・難民に対する強硬な対応を批判する米国の司教団を、核兵器の脅威への批判も含めて、支持する意向を強調した。

  •  米国とメキシコの国境における状況について、教皇は米国の司教団の対応を明確に支持して「私は彼らの側に立ちます」と感情を交えずに語り、ロイター通信が教皇との独占会見として20日に配信した内容を繰り返し、そして「私は、米国の司教たちが言明したことを誇りに思います」と付け加えた。

  •  さらに、移民・難民問題に言及し、「どの国も、統治の美徳、忍耐の美徳をもって(新たに入国しようとする人々を歓迎)すべきです。なぜなら、可能な限り多くの難民を歓迎し、教育し、受け入れ、飢えを無くし、職を見つけるのを助けるべきです」「これこそが、難民の人々のための穏健な計画であると言いたい。私たちは、戦争から逃れ、飢えから逃れようとする難民の人たちの波と共に生きているのです」と訴えた。

    また、記者団からの「教会が『正義の戦争』論から距離を置く可能性があるか」との問いに対しては、直答を避けたが、「第三次世界大戦があれば、それは核兵器によって戦われることになる、と私たちは知っています」と語り、さらに、もしも第四次、というものがあれば、「棒を使っての戦いとなるでしょう」と第三次世界大戦で核兵器が使われれば(世界は)徹底的な破滅に追い込まれる、と見ていることを示唆した。

 だが、地球的規模の多くの課題は解決可能だ、と強調し、「戦争、中東やナイジェリアでのキリスト教徒の迫害、飢えの問題は、解決することが可能です。多くの国が、こうした問題を抱えた国にどのように投資をしたらいいか、賢明な投資をするか…雇用と教育を提供するために、と考えています」と訴えた。教皇はまた、同日昼に世界中から集まったキリスト教諸教会の代表たちと食事をした時のことを振り返り、その席にいたある人が「最も大事な人権は、希望を持つ権利です」と語ったことを明らかにして、「私はまさにその通りだと思う」と語った。

 記者会見の終わりに、教皇は、自身の”参謀総長”役を務めるアンジェロ・ベッキユ師に言及し、来週、彼を新任される13人と共に、枢機卿とすることを明らかにした。

(「カトリック・あい」南條俊二)

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2018年6月22日